【岸田首相・洪錫炫会長特別対談】洪会長「過去史問題に反省・おわび表現使わなかったが…」岸田首相「歴代内閣引き継ぐ立場は揺るがない」(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
2023.05.15 09:38
◇韓日関係と福島汚染水
▽洪会長=両国関係は過去史を超えて未来に進まなければならない。「金大中・小渕宣言」 25周年を迎える秋ごろにこれに比肩する「尹錫悦・岸田、岸田・尹錫悦宣言」を期待してみても良いか。1963年のフランスのドゴール大統領と西ドイツのアデナウアー首相が両国間の敵対関係を清算して結んだ「エリゼ条約」が思い起こされる。
▽岸田首相=日韓、そして日韓米の協力がこれほど重要な時はないと考える。こうした中多様な分野で協力を進めていきたい。今後の具体的な外交日程や、会長がおっしゃった成果(尹錫悦・岸田宣言)についていまの時点で予断することは控えたいが、今回の訪韓を通じて尹大統領との信頼関係をさらに深めるとともに地域情勢などに関し意見を交わし、国際社会が直面した諸課題についても協力していくことで一致した。引き続き緊密なやりとりを通じて具体的な日韓間の協力関係を進展させ適切な形で対外的に示していきたい。
▽洪会長=大型事故が起きた原発から出た水を放流するのはただごとではない。安全の問題では科学的根拠に基づくことができるが、「安心」の問題は別の問題とみることができないだろうか。今回の首脳会談で韓国の専門家の現場視察団派遣を受け入れたが、韓国では単に単純な視察にとどまるのではないかという指摘も出ている。首相はソウルでの首脳会談で「韓国国民の健康や、海洋環境に悪影響を与えるような形での放出を認めることはない」としたが、そのような次元からもしや韓日共同調査、共同検証まで受け入れる考えはあるか。
▽岸田首相=日本は原子力分野の国際的な権威である国際原子力機関(IAEA)のレビューを受けつつ高い透明性を持って科学的根拠に基づく誠実な説明をしてきた。日本の首相として自国民および韓国国民の健康、海洋環境に悪影響を与える形での放出を認めることはないということを改めて申し上げたい。今回の視察は日韓双方がIAEAの権威を共通の前提としている。IAEAのレビューには韓国の専門家も参加していただいている。ALPS(多核種除去設備)処理水分析には韓国の機関が参加して貢献している。今回はそれに加えて韓国専門家現地視察団派遣などを通じて透明に科学的根拠に基づく説明をすることでALPS処理水の海洋放出の安全性だけでなく「安心」についても韓国の方々の理解が深まるように努力していきたい。
◇経済安保協力
▽洪会長=両国企業は米国のインフレ抑制法と半導体支援法の影響圏内に入っている。両国政府が共同で対応する意向があるか。
▽岸田首相=半導体やバッテリーのサプライチェーンの強靱化に向けては有志国・地域とともに連係して取り組むことが重要だと考える。特に日米韓3カ国はこれら分野における重要なパートナーだ。お互いの強みを尊重して補完し合っていくことが重要だ。
▽洪会長=グローバル半導体サプライチェーン構築と関連し日米間の協力が具体化している。過去には半導体やディスプレー部門で韓日間の協力が活発になされた。人工知能(AI)自動運転車開発協力に向けた韓日両国の「半導体同盟」ができると考えるか。
▽岸田首相=半導体分野では日本企業の製造装置と部素材を活用して韓国企業が半導体を製造し、それを日本企業が活用する互恵的なサプライチェーンが構築されている。自動運転実現、IoT(モノのインターネット)端末の多様化、AI活用拡大などに向けては半導体の安定的供給確保が必要で、世界有数の半導体企業を有する日韓両国が連係して供給網強靱化をするのは重要なことだ。日本から韓国、韓国から日本への双方向の投資が活性化するよう韓国政府とも連係しながら検討していきたい。
◇G7サミットと北朝鮮問題
▽洪会長=首相は拉致問題を含んで北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と対話するという意思を何度も表明した。北朝鮮との会談に対してどう考えるか。
▽岸田首相=日朝平壌(ピョンヤン)宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して日朝国交正常化を実現することを目指す考えだ。私自身、条件を付けずに金委員長と直接向き合う決意だ。
▽洪会長=韓国内ではG7に韓国が新たに加わり「G8」(主要8カ国)を作ることに米国は賛成するが、日本は反対するだろうという見方もある。(日米豪印の安全保障の枠組みである)クアッドも同様だ。
▽岸田首相=G7内でメンバー拡大議論をしたことはなく、米国は賛成で日本は反対という構図は事実ではないと思う。また、クアッドについては、現在4カ国の間で実践的協力の具体的な成果を出すべく取り組むことで一致しており、参加国拡大に向けた議論は行われていない。今後どのような議論が進んでいくのか注視したい。
対談を終えた岸田首相は「貴重で有意義な質問に心から感謝申し上げる。さまざまなレベルと分野で意思疎通することが日韓関係全体の底上げにつながると考え期待する。今後も貴重なアドバイスをお願いする」と話した。洪会長が「両首脳が今回良い関係を作っただけに今後もこの良い機会を継続するように願う」と述べると、岸田首相は「努力する」と答えた。
【岸田首相・洪錫炫会長特別対談】洪会長「過去史問題に反省・おわび表現使わなかったが…」岸田首相「歴代内閣引き継ぐ立場は揺るがない」(1)
▽洪会長=両国関係は過去史を超えて未来に進まなければならない。「金大中・小渕宣言」 25周年を迎える秋ごろにこれに比肩する「尹錫悦・岸田、岸田・尹錫悦宣言」を期待してみても良いか。1963年のフランスのドゴール大統領と西ドイツのアデナウアー首相が両国間の敵対関係を清算して結んだ「エリゼ条約」が思い起こされる。
▽岸田首相=日韓、そして日韓米の協力がこれほど重要な時はないと考える。こうした中多様な分野で協力を進めていきたい。今後の具体的な外交日程や、会長がおっしゃった成果(尹錫悦・岸田宣言)についていまの時点で予断することは控えたいが、今回の訪韓を通じて尹大統領との信頼関係をさらに深めるとともに地域情勢などに関し意見を交わし、国際社会が直面した諸課題についても協力していくことで一致した。引き続き緊密なやりとりを通じて具体的な日韓間の協力関係を進展させ適切な形で対外的に示していきたい。
▽洪会長=大型事故が起きた原発から出た水を放流するのはただごとではない。安全の問題では科学的根拠に基づくことができるが、「安心」の問題は別の問題とみることができないだろうか。今回の首脳会談で韓国の専門家の現場視察団派遣を受け入れたが、韓国では単に単純な視察にとどまるのではないかという指摘も出ている。首相はソウルでの首脳会談で「韓国国民の健康や、海洋環境に悪影響を与えるような形での放出を認めることはない」としたが、そのような次元からもしや韓日共同調査、共同検証まで受け入れる考えはあるか。
▽岸田首相=日本は原子力分野の国際的な権威である国際原子力機関(IAEA)のレビューを受けつつ高い透明性を持って科学的根拠に基づく誠実な説明をしてきた。日本の首相として自国民および韓国国民の健康、海洋環境に悪影響を与える形での放出を認めることはないということを改めて申し上げたい。今回の視察は日韓双方がIAEAの権威を共通の前提としている。IAEAのレビューには韓国の専門家も参加していただいている。ALPS(多核種除去設備)処理水分析には韓国の機関が参加して貢献している。今回はそれに加えて韓国専門家現地視察団派遣などを通じて透明に科学的根拠に基づく説明をすることでALPS処理水の海洋放出の安全性だけでなく「安心」についても韓国の方々の理解が深まるように努力していきたい。
◇経済安保協力
▽洪会長=両国企業は米国のインフレ抑制法と半導体支援法の影響圏内に入っている。両国政府が共同で対応する意向があるか。
▽岸田首相=半導体やバッテリーのサプライチェーンの強靱化に向けては有志国・地域とともに連係して取り組むことが重要だと考える。特に日米韓3カ国はこれら分野における重要なパートナーだ。お互いの強みを尊重して補完し合っていくことが重要だ。
▽洪会長=グローバル半導体サプライチェーン構築と関連し日米間の協力が具体化している。過去には半導体やディスプレー部門で韓日間の協力が活発になされた。人工知能(AI)自動運転車開発協力に向けた韓日両国の「半導体同盟」ができると考えるか。
▽岸田首相=半導体分野では日本企業の製造装置と部素材を活用して韓国企業が半導体を製造し、それを日本企業が活用する互恵的なサプライチェーンが構築されている。自動運転実現、IoT(モノのインターネット)端末の多様化、AI活用拡大などに向けては半導体の安定的供給確保が必要で、世界有数の半導体企業を有する日韓両国が連係して供給網強靱化をするのは重要なことだ。日本から韓国、韓国から日本への双方向の投資が活性化するよう韓国政府とも連係しながら検討していきたい。
◇G7サミットと北朝鮮問題
▽洪会長=首相は拉致問題を含んで北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と対話するという意思を何度も表明した。北朝鮮との会談に対してどう考えるか。
▽岸田首相=日朝平壌(ピョンヤン)宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して日朝国交正常化を実現することを目指す考えだ。私自身、条件を付けずに金委員長と直接向き合う決意だ。
▽洪会長=韓国内ではG7に韓国が新たに加わり「G8」(主要8カ国)を作ることに米国は賛成するが、日本は反対するだろうという見方もある。(日米豪印の安全保障の枠組みである)クアッドも同様だ。
▽岸田首相=G7内でメンバー拡大議論をしたことはなく、米国は賛成で日本は反対という構図は事実ではないと思う。また、クアッドについては、現在4カ国の間で実践的協力の具体的な成果を出すべく取り組むことで一致しており、参加国拡大に向けた議論は行われていない。今後どのような議論が進んでいくのか注視したい。
対談を終えた岸田首相は「貴重で有意義な質問に心から感謝申し上げる。さまざまなレベルと分野で意思疎通することが日韓関係全体の底上げにつながると考え期待する。今後も貴重なアドバイスをお願いする」と話した。洪会長が「両首脳が今回良い関係を作っただけに今後もこの良い機会を継続するように願う」と述べると、岸田首相は「努力する」と答えた。
【岸田首相・洪錫炫会長特別対談】洪会長「過去史問題に反省・おわび表現使わなかったが…」岸田首相「歴代内閣引き継ぐ立場は揺るがない」(1)
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