日本政府は福島原発の放射性汚染水を浄化し、今年下半期から30年間にわたり海に放出すると発表した。セシウムなど62種の放射性物質を「多核種除去設備(ALPS)」で除去した処理水は安全だというのが日本政府と東京電力の立場だ。国際原子力機関(IAEA)と米国はこうした計画を承認した。しかし韓国・中国・台湾など周辺国は強く懸念している。ALPSではトリチウム(三重水素)を処理できず、浄化した汚染水を長期間にわたり海に放出する場合、生態系にいかなる影響を及ぼすか分からないという理由からだ。韓日両国は今月初めの首脳会談での合意に基づき、23、24日ごろ20人ほどの専門家で構成された現場視察団を福島に派遣する。これを控え、中央SUNDAYは処理水の安全性をめぐる論争について専門家の意見を聞いた。
事故後に発電所冷却と地下水流入で発生する汚染水を多核種除去設備(ALPS)というろ過装置でろ過すれば処理水になるが、ろ過された処理水のうち放流基準をクリアした部分が放流対象だ。現在トリチウム(三重水素)と炭素を除いてはろ過できる。したがって放流時の危険性は放流対象処理水の放射性物質の総量と濃度によって決定される。
現在タンク内に貯蔵されたトリチウムの濃度は概ね1リットル当たり62万ベクレル程度だが、これを海水で薄めて1500ベクレル以下にして放流することになる。1ベクレルは1秒に1個の放射線を放出することを意味する。最悪の場合を仮定して放流水1リットルを飲んだならばトリチウムによる影響はどれほどになるのか。
私たちが飲食するすべてのものには放射性物質が含まれている。例えばイオン飲料にはカリウムが入っており、放射性カリウムも自然に存在する。イオン飲料を1リットル飲んだ場合、被爆量は1500ベクレルでトリチウム水を摂取する時の被爆量と同じ水準だ。放射性カリウムとトリチウムが人体に入ってから排出されるまで人体の細胞にベータ線とガンマ線により発生する健康への影響が同じということだ。
放流口から出る水をそのまま汲んで1日2リットルずつ365日飲むならばトリチウムによる影響は清浄なアワビ1個を食べる時にアワビの中に存在する放射性ポロニウムによる被爆量と同じ水準だ。ポロニウムは自然放射能でトリチウムは人工放射能のため危険性が異なるというのは典型的な誤解だ。人工の野球のボールに当たれば負傷して自然の石に当たれば負傷しないだろうか。物体の種類と重さ、飛んでくる速度、当たった部位により負傷する水準が決まる。
放射線の影響は結局放出される放射線の種類、エネルギー、当たった人体の部位によりその影響が決まるだけに、その根源が自然なのか人工なのか人体の細胞は区分する方法がない。当たって痛いのか、もっと痛いのかだけ知ることができる。自然のポロニウムから出るアルファ線はトリチウムのベータ線よりはるかに強力だ。ポロニウムで人を毒殺したりもした。
そしてトリチウムは自然でも作られる。空で作られ雨となって降ってくるが、雨水1リットルには1ベクレルほど含まれている。そのため淡水1リットル当たり1ベクレル程度のトリチウムがある。これに対し海水には0.1ベクレルほど含まれている。放流水が海水で薄められ放流地点から数キロメートル離れるだけで濃度は1リットル当たり1ベクレルに下がる。ちょうど川の水の水準になるのだ。その後は川の水の水準にも満たない。したがって海流が韓国にくると仮定しても韓国に及ぼすトリチウムの影響は川の水が海に流れて行く影響水準にすぎない。総量もまたとても少ない。貯蔵されたトリチウムは2.2グラムだが東海(日本海)に雨として降るトリチウムは年間3グラムを超える。
トリチウムのほかにもろ過が困難な放射性炭素もある。現在タンクに貯蔵された放射性炭素濃度は1リットル当たり40ベクレル程度になる。魚や肉に自然に存在する放射性炭素の濃度は1キログラム当たり40~70ベクレル程度だ。すなわち、貯蔵された水の放射性炭素濃度は同じ体積の清浄な魚や肉水準にすぎないのだ。放流時に薄められるため濃度はさらに無視できる水準になるだろう。貯蔵された放射性炭素総量は0.3グラム程度なのに自然には75トンもあり毎年10キログラムが生成されている。総量でも影響はありえない。
骨に蓄積されて危険だという放射性ストロンチウムの放流基準は1リットル当たり30ベクレルだ。放流基準の水1リットルを飲んだとすればその被爆量はバナナ8本を食べる時と同じだ。したがって放流基準さえクリアするならば放流口ですら影響がないもので、その後薄められた後に懸念することはない。
生体内濃縮を懸念する声もある。海水のストロンチウム濃度に比べ魚類に濃縮される割合は3倍程度であることは事実だが、海水のストロンチウム濃度が下がればともに下がっていくことになるため海水の濃度に意味がなければ濃縮された濃度も意味がないのは同じだ。いくら濃縮されても放流口の濃度に至る可能性すらもない。
放流水の危険性は全く期待できないが、危険性がないからと隣国に了解を求めずに放流するのは間違いだ。日本は韓国に了解を求め、韓国政府は危険性がないということをしっかりと知らせて水産業界などが不必要な被害を受けないようにしなければならない。
チョン・ヨンフン/KAIST原子力・量子工学科教授
事故後に発電所冷却と地下水流入で発生する汚染水を多核種除去設備(ALPS)というろ過装置でろ過すれば処理水になるが、ろ過された処理水のうち放流基準をクリアした部分が放流対象だ。現在トリチウム(三重水素)と炭素を除いてはろ過できる。したがって放流時の危険性は放流対象処理水の放射性物質の総量と濃度によって決定される。
現在タンク内に貯蔵されたトリチウムの濃度は概ね1リットル当たり62万ベクレル程度だが、これを海水で薄めて1500ベクレル以下にして放流することになる。1ベクレルは1秒に1個の放射線を放出することを意味する。最悪の場合を仮定して放流水1リットルを飲んだならばトリチウムによる影響はどれほどになるのか。
私たちが飲食するすべてのものには放射性物質が含まれている。例えばイオン飲料にはカリウムが入っており、放射性カリウムも自然に存在する。イオン飲料を1リットル飲んだ場合、被爆量は1500ベクレルでトリチウム水を摂取する時の被爆量と同じ水準だ。放射性カリウムとトリチウムが人体に入ってから排出されるまで人体の細胞にベータ線とガンマ線により発生する健康への影響が同じということだ。
放流口から出る水をそのまま汲んで1日2リットルずつ365日飲むならばトリチウムによる影響は清浄なアワビ1個を食べる時にアワビの中に存在する放射性ポロニウムによる被爆量と同じ水準だ。ポロニウムは自然放射能でトリチウムは人工放射能のため危険性が異なるというのは典型的な誤解だ。人工の野球のボールに当たれば負傷して自然の石に当たれば負傷しないだろうか。物体の種類と重さ、飛んでくる速度、当たった部位により負傷する水準が決まる。
放射線の影響は結局放出される放射線の種類、エネルギー、当たった人体の部位によりその影響が決まるだけに、その根源が自然なのか人工なのか人体の細胞は区分する方法がない。当たって痛いのか、もっと痛いのかだけ知ることができる。自然のポロニウムから出るアルファ線はトリチウムのベータ線よりはるかに強力だ。ポロニウムで人を毒殺したりもした。
そしてトリチウムは自然でも作られる。空で作られ雨となって降ってくるが、雨水1リットルには1ベクレルほど含まれている。そのため淡水1リットル当たり1ベクレル程度のトリチウムがある。これに対し海水には0.1ベクレルほど含まれている。放流水が海水で薄められ放流地点から数キロメートル離れるだけで濃度は1リットル当たり1ベクレルに下がる。ちょうど川の水の水準になるのだ。その後は川の水の水準にも満たない。したがって海流が韓国にくると仮定しても韓国に及ぼすトリチウムの影響は川の水が海に流れて行く影響水準にすぎない。総量もまたとても少ない。貯蔵されたトリチウムは2.2グラムだが東海(日本海)に雨として降るトリチウムは年間3グラムを超える。
トリチウムのほかにもろ過が困難な放射性炭素もある。現在タンクに貯蔵された放射性炭素濃度は1リットル当たり40ベクレル程度になる。魚や肉に自然に存在する放射性炭素の濃度は1キログラム当たり40~70ベクレル程度だ。すなわち、貯蔵された水の放射性炭素濃度は同じ体積の清浄な魚や肉水準にすぎないのだ。放流時に薄められるため濃度はさらに無視できる水準になるだろう。貯蔵された放射性炭素総量は0.3グラム程度なのに自然には75トンもあり毎年10キログラムが生成されている。総量でも影響はありえない。
骨に蓄積されて危険だという放射性ストロンチウムの放流基準は1リットル当たり30ベクレルだ。放流基準の水1リットルを飲んだとすればその被爆量はバナナ8本を食べる時と同じだ。したがって放流基準さえクリアするならば放流口ですら影響がないもので、その後薄められた後に懸念することはない。
生体内濃縮を懸念する声もある。海水のストロンチウム濃度に比べ魚類に濃縮される割合は3倍程度であることは事実だが、海水のストロンチウム濃度が下がればともに下がっていくことになるため海水の濃度に意味がなければ濃縮された濃度も意味がないのは同じだ。いくら濃縮されても放流口の濃度に至る可能性すらもない。
放流水の危険性は全く期待できないが、危険性がないからと隣国に了解を求めずに放流するのは間違いだ。日本は韓国に了解を求め、韓国政府は危険性がないということをしっかりと知らせて水産業界などが不必要な被害を受けないようにしなければならない。
チョン・ヨンフン/KAIST原子力・量子工学科教授
この記事を読んで…