尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と岸田文雄首相
◆徴用問題に対する日本の立場を包容
尹大統領は首脳会談を控え、日本メディアのインタビューで第三者弁済が「1965年の国交正常化当時の合意、2018年の韓国大法院(最高裁)判決をすべて満たすために努力した結果」と説明した。先月21日の国務会議の冒頭発言でも言及したこの言葉が事件の本質に接近する通路となる。
まず、尹大統領は徴用者問題に対する日本の主張を認めて包容した。韓国は1965年の請求権協定を遵守し、この問題に関する限り韓国が自ら処理する方針を確定した。これと同時に尹大統領は大法院の歴史的な判決を尊重し、植民支配の不法性を韓国政府が堅持する原則と明らかにした。
この2つは日本を相手にした外交交渉の論題である前に、韓国の国家アイデンティティを構成する事項だ。取引を通じて日本とやり取りする性質のものではなく、韓国が自ら決める国家の存在理由(Raison d’ Etat)に該当する。
尹大統領は訪日前に日本メディアを通じてこの点を明確に表明した。「徴用問題の解決策は韓国政府が国益の観点で、国民のために大局的レベルで下した決断だ」。国際法を遵守し、国際規範を先導するという最高統治権者の意志を表出した政治的行為だったというのがこの事件の本質だ。
これで大法院の判決による法的問題が解消され、両国間の経済・安保懸案も解決の道に入った。さらに韓日米の三角協力体制を構築するロードマップも描かれた。大統領が多様な側面を考慮して悲壮な覚悟で下した先制的決断に対して評価を低める理由はない。
尹大統領の包容的決断が見せた最も大きな意味は、第3の韓日歴史和解へ向かう扉を開いたという点にみることができる。1965年の国交正常化が最初の歴史和解で、1998年の金大中(キム・デジュン)-小渕パートナーシップ宣言が2番目の歴史和解だったなら、尹大統領は3番目の歴史和解に向けた出発ラインに立ち、同時に岸田首相を出発ラインに立たせた。
【韓半島平和ウォッチ】日本人の人間らしさと日本の国家らしさを問う(2)
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