相対的に安全地帯とされてきた台湾東部海岸が中国軍の空母から発進した戦闘機に初めて露出した。台湾国防部は１０日、前日３５機の中国軍の軍用機が防空識別区域（ＡＤＩＺ）に進入したと発表し、このうち４機が初めて南東部の空中に進入した事実を公開した。５日に台湾とフィリピンの間のバシー海峡を通過して西太平洋に進出していた中国独自建造の空母「山東」から発進したＪ１５戦闘機だ。

これらはマッカーシー米下院議長と蔡英文台湾総統の米国の経由地での会談に対する報復措置として中国が行った台湾包囲軍事演習により展開した。８日に始まった演習は１０日に終了した。

この日演習を主導した中国人民解放軍東部戦区は、メッセンジャーアプリのウィーチャットの公式アカウントに空母山東が初めて台湾本島の周囲で戦闘に備えた警戒パトロールと合同演習に参加したとし、１５秒の艦載機離陸映像も合わせて公開した。東部戦区は「連合空中封鎖、信号打撃を模擬実施した。合同作戦システムの支援の下、合同偵察、合同指揮、合同行動、合同保障を全面点検した」と重点訓練内容を公開した。


日本の防衛省統合幕僚監部も１０日、前日午後８時ごろに山東の空母編隊を宮古島南部２３０キロメートル海上で確認したと発表した。また、山東の空母編隊が７日から９日まで艦載戦闘機約８０回、ヘリコプター４０回など１２０回に達する離着艦演習を行ったと伝えた。

この日中国軍事問題専門家の張弛氏は「山東が演習した台湾東側はのどのような要衝地。外部干渉勢力を阻止して、『台湾独立』分裂勢力を封じ込める大変重要な役割をできる」と環球時報に話した。

台湾はこれまで島の中央を分ける山脈の東側を中国軍のミサイル空襲を避けられる安全地帯と考えてきた。多くの基地と防衛施設を設置し主力戦闘機を分散配備してきた。だが今回中国軍の空母編隊が東部海域に出現しこうした安全区域という意味を失うことになったと香港紙の明報が１０日に指摘した。

演習最終日に中国軍は空母編隊のほかに空中爆撃と心理戦を誇示した。東部戦区はこの日午前にウィーチャットアカウントを通じ、核兵器の搭載が可能なＨ６爆撃機が前日午前に離陸する場面と指揮センターと通信しながらミサイル発射ボタンを押す場面など３６秒の映像を公開した。続けて正午には演習初日である８日に陸海空軍とロケット軍の演習場面を編集した映像を、「剣を研いで剣を輝かせトラを追い出しキツネを叩く（砺剣亮剣駆虎打狐）」という題名で公開した。

◇可視距離９キロメートル挟んで中国と台湾の軍艦が対峙

中国と台湾の軍艦の際どい対峙も発生した。演習２日目の９日、台湾東部海域で中国の軍艦「徐州」と台湾海軍所属の「宜陽」が可視距離である５カイリ（約９．２６キロメートル）の間でにらみ合った。対峙場面は中国が公開した映像にそのまま写された。

台湾は中国軍の攻勢に警備を強化した。台湾国防部はパトリオットミサイル防衛システム、無人偵察ドローンと中国軍艦艇偵察映像など演習警戒映像を公開して積極的に対応した。台北１０１ビルを背景にした防空砲訓練の写真も公開し台湾の民心安定に注力した。

米国も積極的に対応した。インド太平洋を管轄する米第７艦隊は１０日、アーレイバーク級ミサイル駆逐艦「ミリウス」が南シナ海の南沙諸島で航行の自由作戦を遂行したと発表した。この作戦区域は中国が滑走路を建設した人工島ミスチーフ礁（中国名・美済礁）の１２カイリ内側に当たる。米国は国際海洋法条約によると満潮時に水面下に沈むミスチーフ礁は中国側の主張と違い領海対象でないと明らかにした。