日本の今週は作曲家でありピアニストである故坂本龍一氏の追慕週間だった。
特派員で東京にいる間にさまざまな有名人が亡くなったが、1週間にもわたって新聞やテレビ番組で追慕が続くのは今回が初めてかもしれない。
4日夜にはNHKが彼の生涯を扱ったドキュメンタリーと今年1月に放送した最後のコンサート「NHK MUSIC SPECIAL 坂本龍一 Playing the Piano in NHK & Behind the Scenes」を放映し、毎日新聞は追慕の社説を書いた。東京新聞は10年前、原発反対運動に熱心に取り組んでいた坂本氏が東京新聞記者100人と会って対談した記事を改めて要約して掲載した。
それだけ大きく深かった人生だった。青年時期は実験的な電子音楽で世の中を揺さぶった「アンファン・テリブル」(恐るべき子供たち)だったし、『戦場のメリークリスマス』『ラストエンペラー』などで世界映画賞を総なめにした映画音楽家であり俳優だった。
坂本氏は日本では珍しく社会問題に直接声を出した芸術家でもあった。2011年東日本大震災後、反核運動の中心に立ち、2015年には安倍晋三当時政権の安保法案処理に反対して路上に出た。3月には明治神宮野球場再開発を中断してほしいという手紙を東京都知事に送った。
なぜ社会的なイシューに声をあげるのかという質問に坂本氏はこのように答えたという。「おかしいことはおかしいと言うべきだから」。私は彼の音楽が好きだった数多くのファンの1人にすぎないが、彼の知人たちが書いた美しい追慕の文を繰り返し読むことになった。
批評家の浅田彰氏は朝日新聞に「まさに坂本龍一こそ、自らの人生を見事に芸術作品として完結させた人だと思います」と書いた。個人的に最も感動的な評価はこれだった。著述家でありプロデューサーである湯山玲子氏の言葉だ。「誰に対してもびっくりするくらい対等な態度をとる人だった。(中略)一人ひとりをフェアに立てる本物のリベラリストだった」。
彼は他界直前まで音楽の中にいた。今年6月に日本で公開される是枝裕和監督の映画『怪物』の音楽を遺作として残した。だが、彼の本当の意味での最後の曲は今月開校した徳島県神山町の「神山まるごと高専」の校歌だった。
同校はテクノロジー企業家の育成を目標に設立され、一生をテクノロジーの先端に立った坂本氏に校歌を作ってほしいと依頼した。病状が悪化した坂本氏が最後まで完成できずこの世を去った校歌は今後音楽家と学生たちが一緒に完成する予定だという。「真のリベラリスト」らしい最期だった。
イ・ヨンヒ/東京特派員
特派員で東京にいる間にさまざまな有名人が亡くなったが、1週間にもわたって新聞やテレビ番組で追慕が続くのは今回が初めてかもしれない。
4日夜にはNHKが彼の生涯を扱ったドキュメンタリーと今年1月に放送した最後のコンサート「NHK MUSIC SPECIAL 坂本龍一 Playing the Piano in NHK & Behind the Scenes」を放映し、毎日新聞は追慕の社説を書いた。東京新聞は10年前、原発反対運動に熱心に取り組んでいた坂本氏が東京新聞記者100人と会って対談した記事を改めて要約して掲載した。
それだけ大きく深かった人生だった。青年時期は実験的な電子音楽で世の中を揺さぶった「アンファン・テリブル」(恐るべき子供たち)だったし、『戦場のメリークリスマス』『ラストエンペラー』などで世界映画賞を総なめにした映画音楽家であり俳優だった。
坂本氏は日本では珍しく社会問題に直接声を出した芸術家でもあった。2011年東日本大震災後、反核運動の中心に立ち、2015年には安倍晋三当時政権の安保法案処理に反対して路上に出た。3月には明治神宮野球場再開発を中断してほしいという手紙を東京都知事に送った。
なぜ社会的なイシューに声をあげるのかという質問に坂本氏はこのように答えたという。「おかしいことはおかしいと言うべきだから」。私は彼の音楽が好きだった数多くのファンの1人にすぎないが、彼の知人たちが書いた美しい追慕の文を繰り返し読むことになった。
批評家の浅田彰氏は朝日新聞に「まさに坂本龍一こそ、自らの人生を見事に芸術作品として完結させた人だと思います」と書いた。個人的に最も感動的な評価はこれだった。著述家でありプロデューサーである湯山玲子氏の言葉だ。「誰に対してもびっくりするくらい対等な態度をとる人だった。(中略)一人ひとりをフェアに立てる本物のリベラリストだった」。
彼は他界直前まで音楽の中にいた。今年6月に日本で公開される是枝裕和監督の映画『怪物』の音楽を遺作として残した。だが、彼の本当の意味での最後の曲は今月開校した徳島県神山町の「神山まるごと高専」の校歌だった。
同校はテクノロジー企業家の育成を目標に設立され、一生をテクノロジーの先端に立った坂本氏に校歌を作ってほしいと依頼した。病状が悪化した坂本氏が最後まで完成できずこの世を去った校歌は今後音楽家と学生たちが一緒に完成する予定だという。「真のリベラリスト」らしい最期だった。
イ・ヨンヒ/東京特派員
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