中国ビッグ３の電子商取引企業「●（手へんに并）多多（ピンドゥオドゥオ）のアンドロイドアプリが個人情報を抜き出す悪性ソフトウェアを内在していることが明らかになった。このショッピングアプリは中国で広く使われているだけでなく、姉妹会社「Ｔｅｍｕ」が最近米国などで勢力を拡大していて論争が加熱するものとみられる。

２日（現地時間）、ＣＮＮは欧州・アジアの各専門家と同社の前・現職職員を取材した結果、中国で最も人気があるショッピングアプリの一つである●多多からスパイウェア（個人情報を秘密裏に抜き出すソフトウェア）が見つかったと報じた。これに先立ち、先月２１日にはグーグル（Ｇｏｏｇｌｅ）がマルウエア（悪意のあるコード）を理由に自社アプリストア「グーグルプレイ（Ｇｏｏｇｌｅ　Ｐｌａｙ）から●多多アプリのダウンロードを中断した。

該当のスパイウェアはアンドロイドＯＳの弱点を悪用し、各種メッセージはもちろんユーザーの携帯電話活動状態や設定変更に至るまですべて監視できることが確認された。一度設置すれば消去するのも大変だという。ＣＮＮは「多くのアプリが明示的な同意なく広範囲なユーザー情報を収集することがあるが、●多多は前例のない水準で個人情報を侵害している」と指摘した。


ＰＤＤホールディングスの電子商取引プラットフォーム「●多多」はアリババ、京東ドットコムに続き中国内３位のショッピングアプリで月平均利用者が７億５０００万人に達する。専門家は●多多側が競争企業を牽制（けんせい）して販売量を伸ばすためにこのようなスパイウェアを利用したとみている。個人情報を奪取してこれをそれぞれの消費者に合った広告を出すのに使ったという意味だ。

また、●多多が奪取したユーザー情報が中国政府側に渡ったという証拠はまだないが、政府が企業に大きな影響力を持つ中国社会の特性上、政府が必要だと判断した場合、いつでもユーザー情報に接近できるとＣＮＮはみている。現在、グーグルプレイではこのアプリをダウンロードすることはできないが、中国消費者はスマートフォンメーカーのアプリストアを通じてアプリをダウンロードして使用しており、●多多の中国内ユーザーの流入には今現在も支障はない。

問題はＰＤＤホールディングスが西欧進出のために設立した●多多の姉妹会社「Ｔｅｍｕ」が米国で大きな人気を集めていて、●多多のセキュリティ関連論争が米国でも大きくなるとみられる点だ。

昨年９月に米国に進出したＴｅｍｕは「１０ドルのワイヤレスイヤホン」「５ドルのサングラス」など超低価格戦略を掲げ、特にＺ世代を攻略した戦略で旋風的な人気を集めている。現在、米国アプリ市場でダウンロード１位にランクインしているほど、脅威的な拡張力を見せているというのが外信の分析だ。Ｔｅｍｕはカナダとオーストラリア、ニュージーランドにも営業領域を拡大している。

ＣＮＮは「今回の論争にＴｅｍｕが直接関連しているわけではないが、グローバル市場は今後Ｔｅｍｕに注目するだろう」としながら「●多多の行為はＴｅｍｕの西欧進出に否定的な影響を及ぼすだろう」と指摘した。ＴＩＭＥ（タイム）誌はＴｅｍｕの成功秘訣を分析した最近の報道で「このアプリの個人情報収集は平凡ではない」としてセキュリティ懸念を伝えたことがある。

そうでなくてもＴｉｋＴｏｋによって中国アプリ全般のデータセキュリティに対する懸念が高まっている状況なので、中国アプリの信頼性・セキュリティ論争はさらに大きくなるだろうとＣＮＮはみている。米国ではＴｉｋＴｏｋ、Ｔｅｍｕだけでなくショッピングアプリ「Ｓｈｅｉｎ」など各種中国アプリが若者世代を中心に人気を呼んでいる。２０１５年に設立された●多多はアリババや京東ドットコムが占領した中国電子商取引業界で「低所得農村地域」というターゲットに集中する戦略で３位に食い込んだ企業だ。現在、中国オンライン市場利用者の４分の３ほどが●多多を使っていて、全体取引規模はイーベイ（ｅＢａｙ）の３倍に達することが分かった。親会社のＰＤＤホールディングスはグーグル開発者出身のコリン・ファン（Ｃｏｌｉｎ　Ｈｕａｎｇ）氏が２０１４年設立し、２０１８年ナスダックに上場された。