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「死ななければイシューにならないのか」 韓国有名アニメ作家を死に追いやった著作権紛争

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

劇場版『黒いゴム靴:楽しい私の家』のスチールカット。

◇「あの人たちの言うようにもうキャラクターを描くことができなくなるのかと心配で…」

今月11日、ソウル北東に位置する江華島(カンファド)の自宅で遺体のまま見つかった韓国アニメ『黒いゴム靴(コムジョン・ゴムシン)』の原作キャラクターデザインを担当した漫画家イ・ウヨンさん(享年51歳)は生前に著作権紛争について苦悩する内容を描いた漫画を書いていた。『黒いゴム靴』のキャラクター著作権をめぐって出版社と争っていたイさんが悩みを吐露するために描いた未公開の原稿の一部だ。

12日、焼香所で会ったイさんの夫人は「訴訟によって夫のプライドはズタズタだった。酒一杯飲めば倒れていた人が、ある瞬間から大酒飲みになっていた」とし「裏切りと怒りを感じていたようだ。『人が死ななければイシューにならないのだろうか』と時々話していた」と伝えた。イさんは結局、9日の裁判所弁論期日に出席した2日後に冷たい亡骸となってしまった。


イさんは2019年6月、出版社代表のチャン氏(53)から訴えられていた。アニメ製作のために2008年に提携したチャン代表が「イさんの『黒いゴム靴』著作権使用を禁じてほしい」としながら民事訴訟を起こしたのだ。チャン代表が同作の主人公「キヨン」など9つのキャラクターに対する著作権の株53%を有しているので、許可を取らないと漫画は描けないという趣旨だった。チャン代表は「イさんが無断で『黒いゴム靴』のキャラクターを使って著作権を侵害した」とし、1億ウォンの損害賠償もあわせて請求した。

原作者ではないチャン代表が著作権を所有していたのは契約のためだ。2007~2008年3回にわたって結んだ事業権設定契約書には「『黒いゴム靴』に対するすべての事業に対する権利をチャン氏に委任する」「出版しようと思う本についてはチャン氏が優先権を持つ」という内容が含まれていた。特に2008年、株を36%に設定したチャン代表は2011年黒いゴム靴のシナリオ作家イ・ヨンイルさん(65)の株17%を追加で買収した。イさんは未公開原稿で「この時からチャン代表はまるで自分が黒いゴム靴を作った原作者のように振る舞い始めた」と描いていた。イさん側は「2015年以降、漫画原作アニメなどでもらったお金は収益の約0.5%水準」と主張した。

ウェブトゥーン協会法律諮問であるチャン・チョルヨン弁護士は「2次的著作物作成権が移る契約を結んだ」としながら「今でも(作家は)このような契約書にたびたびサインする。交渉力が足りない場合、サインせざるをえない」と話した。チャン代表側にも立場を聞くために連絡を試みたが、連絡がつかなかった。

◇新人作家を対象とした不公正契約の慣行…買取契約も横行

漫画界では原作者に不利な著作権契約が慣行のように横行しているとの指摘が出る。ウェブトゥーン作家になって約6年目のAさんは「著作権でもあればマシなほう」としながら「出版社が著作者に一定の金額だけを支払ったらその後の著作物を利用して得る収益をすべて独占する『買取契約』に誘導する会社も多い」と話す。

ウェブトゥーン協会のクォン・チャンホ事務局長は「買取契約は不法ではないが、著作権譲渡に相当する正当な報奨を支払わない」とし「作家が後で契約に対して抗議すると『大事になっても作業はできるのか』と言って圧迫することもある」と述べた。

実際、2021年文化体育観光部のウェブトゥーン作家実態調査の結果、回答した作家の21%は年間収入が2000万ウォン(約205万円)未満であることが分かった。8.2%は年間1000万ウォンの収入もなかったと答えた。デビュー年次で見てみると、1~3年目で年間1000万ウォンの収入もないという比率が11.8%で最も高かった。作家はこれまで経験した不公正契約として「2次的著作権、海外版権など製作会社に有利な一方的契約」(23.2%)、「売上精算内訳未提供」(17.5%)などを挙げた。

文化体育観光部は関連団体、専門家業界などと協力して標準契約書の改正に出たが遅々として進んでいない。ソウル大学法学専門大学院公益法律センターでウェブトーン作者不公正契約事例を分析してきたボム・ユギョン弁護士は「2次著作物に対する契約は別途合意がなければならないのに行われていない。明示的な規定が必要だ」とし「契約時にプラットフォーム-製作会社-作家の三主体が集まって公正な契約書を作成するようにしなければならない」と話した。



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