日々加速する米中覇権競争で既存の世界安保・経済秩序が急速に瓦解・再編されている。特にインド太平洋地域ではすでに13カ国が参加するインド太平洋経済枠組み(IPEF)、日米豪印4カ国の安全保障の枠組みであるクアッド、米英豪が参加するAUKUS安保同盟がスタートした。
そして北東アジア地域では半導体をはじめとする最先端技術製品の供給網再編が急速に進んでいる。その上この地域は北朝鮮の核攻撃威嚇にともなう深刻な安保危機を迎え、既存の韓米、日米、そして韓米日安保協力体制のアップグレードが避けられない状況に置かれている。
したがっていま韓米日協力体制の弱点となる韓日関係の改善は「選択ではなく必須」に浮上している。こうした各国の政策と市場機能により進められる供給網と経済体制再編も既存の包括的多国間主義の代わりに自由民主主義市場経済体制の価値を共有する国を中心になされるのが特徴だ。
それならばこうした世界史的大変革の主要因である米中覇権競争はいつまで続くだろうか。習近平中国国家主席は中国共産党が建てた新中国が1949年に建国されてから100周年となる2049年までに国際社会で影響力、特に軍事力の面で世界最強国になるという「中国夢」を2012年に提示した。その後中国式大長征が続いている。
当初、中国夢の目標は全く達成不可能なものとは見られなかった。しかしその後米中覇権競争が本格展開し米国と西側諸国の軍事力増強で核心となる最先端技術覇権主義が強化された。これに伴いこれら製品の供給網が中国に不利に再編されている。
このような対外経済と安保環境の変化とともに中国式国家資本主義が市場と効用性を重視するよりは習近平1人体制の共産党理念と国家主義側に傾いている点などを考慮するとその大長征期間がはるかに延びる可能性が高く見える。しかしわれわれが忘れてはならない事実は、たとえ中国夢が実現されるにしてもさらに拮抗した覇権競争は続き、その結果世界経済・貿易・安保体制はさらに不安定になると見なければならないということだ。
このような世界と地域で広がる経済・安保の環境変化を考慮すると韓日関係改善は韓日両国と韓米日3カ国の経済・安保協力強化に向けた「選択ではなく必須」だ。韓日政府ともに与えられた時代的使命と言っても過言でないだろう。
このような背景で日本を韓国の経済・安保と世界的リーダーシップパートナーとして見る基本姿勢を確立する必要がある。これとともに韓日関係正常化に障害となる強制徴用被害補償解決策を含む尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の「韓日関係改善イニシアチブ」が出てきたのは時宜適切だと考える。
問題は韓国政府の国民説得だ。一部世論調査を見れば韓国の国民10人中7人が韓日関係改善の必要性を認めていることがわかる。それでも今回政府が提示した徴用被害補償案に対しては国民の多数が否定的意見を持ったことがさまざまな世論調査で現れた。日本は過去数回にわたり精製され節制された修辞(レトリック)次元の謝罪をした。しかし1970年12月7日に当時の西ドイツのブラント首相がポーランドのワルシャワを訪問し、ユダヤ人犠牲者追悼碑の前で献花し突然ひざまずいた場面に匹敵する心からの反省と謝罪で韓国と世界に感動を与えられなかったのも事実だ。
日本国内には韓日両国間の協約を政権が変わるたびにひっくり返す韓国にこれ以上の譲歩は許容できないという相当な世論があるということはわかる。しかし米国をはじめとした世界の視線が集中する中で近く開かれる予定の韓日首脳会談で真正性が込められた尹錫悦イニシアチブに対する岸田文雄首相の「感動ある回答」を期待する。「普通の国」として国力に見合った影響力とリーダーシップを国際社会で発揮できるよう国格を向上する絶好の機会に活用するという日本政府の勇断を期待してみることができるためだ。1970年以降のドイツのようにだ。
司空壱(サゴン・イル)/世界経済研究院名誉理事長
そして北東アジア地域では半導体をはじめとする最先端技術製品の供給網再編が急速に進んでいる。その上この地域は北朝鮮の核攻撃威嚇にともなう深刻な安保危機を迎え、既存の韓米、日米、そして韓米日安保協力体制のアップグレードが避けられない状況に置かれている。
したがっていま韓米日協力体制の弱点となる韓日関係の改善は「選択ではなく必須」に浮上している。こうした各国の政策と市場機能により進められる供給網と経済体制再編も既存の包括的多国間主義の代わりに自由民主主義市場経済体制の価値を共有する国を中心になされるのが特徴だ。
それならばこうした世界史的大変革の主要因である米中覇権競争はいつまで続くだろうか。習近平中国国家主席は中国共産党が建てた新中国が1949年に建国されてから100周年となる2049年までに国際社会で影響力、特に軍事力の面で世界最強国になるという「中国夢」を2012年に提示した。その後中国式大長征が続いている。
当初、中国夢の目標は全く達成不可能なものとは見られなかった。しかしその後米中覇権競争が本格展開し米国と西側諸国の軍事力増強で核心となる最先端技術覇権主義が強化された。これに伴いこれら製品の供給網が中国に不利に再編されている。
このような対外経済と安保環境の変化とともに中国式国家資本主義が市場と効用性を重視するよりは習近平1人体制の共産党理念と国家主義側に傾いている点などを考慮するとその大長征期間がはるかに延びる可能性が高く見える。しかしわれわれが忘れてはならない事実は、たとえ中国夢が実現されるにしてもさらに拮抗した覇権競争は続き、その結果世界経済・貿易・安保体制はさらに不安定になると見なければならないということだ。
このような世界と地域で広がる経済・安保の環境変化を考慮すると韓日関係改善は韓日両国と韓米日3カ国の経済・安保協力強化に向けた「選択ではなく必須」だ。韓日政府ともに与えられた時代的使命と言っても過言でないだろう。
このような背景で日本を韓国の経済・安保と世界的リーダーシップパートナーとして見る基本姿勢を確立する必要がある。これとともに韓日関係正常化に障害となる強制徴用被害補償解決策を含む尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の「韓日関係改善イニシアチブ」が出てきたのは時宜適切だと考える。
問題は韓国政府の国民説得だ。一部世論調査を見れば韓国の国民10人中7人が韓日関係改善の必要性を認めていることがわかる。それでも今回政府が提示した徴用被害補償案に対しては国民の多数が否定的意見を持ったことがさまざまな世論調査で現れた。日本は過去数回にわたり精製され節制された修辞(レトリック)次元の謝罪をした。しかし1970年12月7日に当時の西ドイツのブラント首相がポーランドのワルシャワを訪問し、ユダヤ人犠牲者追悼碑の前で献花し突然ひざまずいた場面に匹敵する心からの反省と謝罪で韓国と世界に感動を与えられなかったのも事実だ。
日本国内には韓日両国間の協約を政権が変わるたびにひっくり返す韓国にこれ以上の譲歩は許容できないという相当な世論があるということはわかる。しかし米国をはじめとした世界の視線が集中する中で近く開かれる予定の韓日首脳会談で真正性が込められた尹錫悦イニシアチブに対する岸田文雄首相の「感動ある回答」を期待する。「普通の国」として国力に見合った影響力とリーダーシップを国際社会で発揮できるよう国格を向上する絶好の機会に活用するという日本政府の勇断を期待してみることができるためだ。1970年以降のドイツのようにだ。
司空壱(サゴン・イル)/世界経済研究院名誉理事長
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