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【時論】ウクライナへの武器支援、岐路に立つ韓国外交

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

【時論】ウクライナへの武器支援、岐路に立つ韓国外交

生きていれば仕方のない選択の岐路に置かれる時がある。その選択は私たちの人生を大きく変えることがある。米国の作家ウィリアム・スタイロンの小説『ソフィーの選択』には胸が痛む話がある。ユダヤ系ポーランド女性のソフィーは第2次大戦当時にナチス・ドイツに逮捕され、幼い息子と娘とともにアウシュビッツに送られた。収容所の入口でドイツ軍将校は2人の子どものうちガス室に送る子どもを選択しろと脅迫する。ソフィーは仕方なく病弱な娘を選択するが、母の手を離れてドイツ軍将校に連れて行かれ声を上げる娘を見てソフィーは嗚咽する。この事件はソフィーが一生背負わなければならないくびきとして残ることになる。

1月末にオースティン米国防長官とストルテンベルグ北大西洋条約機構(NATO)事務総長が訪韓しウクライナへの武器支援を要請した。その後英時事週刊誌エコノミストは普遍的価値守護に向けNATOと協力するという韓国政府が武器支援を拒否したとして批判的な記事を書いた。ロシアのプーチン大統領は昨年10月のバルダイクラブ会議で、韓国がウクライナに武器と弾薬を支援すれば両国関係は破綻するだろうと警告した。北朝鮮との軍事協力の可能性も示唆した。

尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の「価値外交」はいまや武器支援問題で国際的試験台に立った様相だ。ソフィーの選択は二者択一の選択だ。ソフィーがアウシュビッツで直面した苦しい状況が韓国外交の前に置かれた格好だ。韓国が西側の民主主義同盟に従い武器を支援すればロシアとの関係が破綻しかねない。


北朝鮮の弾道ミサイル発射を糾弾する国連安保理議長声明がロシアと中国の拒否で失敗に終わったが、ロシアはさらに進んで北朝鮮が必要なミサイル技術を提供することもできる。韓国が輸入する天然ガスなど化石燃料、濃縮ウラン、二次電池原料と半導体工程に使われる希少ガス供給をロシアが断つこともできる。これに対しロシアを意識して西側の武器支援要請を断っても後の影響は大きいかもしれない。西側との関係が疎遠になり、安全保障の根幹である韓米同盟に否定的な影響を与えるだろう。韓国政府はどのようにするべきか。

筆者は、韓国政府の価値外交と韓米同盟などを考慮すると、時間が経つほど武器支援オプションは避けにくくなると予想する。今年の春はロシアのウクライナ侵略戦争の行方が決まる分岐点だ。戦争で必要な多くの武器を生産する防衛産業大国である韓国が武器支援を拒否すれば後に韓国が侵略を受けた時にNATOが武器支援を拒否しかねない。今後ウクライナ再建過程に韓国企業が参加するには何か役割をしなければならない。もちろんこうした選択の場合にも韓ロ関係が破局に進まないよう管理する外交的努力を並行する必要がある。筆者が見るとNATOが切実に望む砲弾と弾薬を中心に米国などを通じて間接支援するのが望ましい。世界的な軍備縮小の流れの渦中にも砲弾と弾薬を大量に生産してきた国は南北だ。特に北朝鮮がすでにロシアに砲弾や弾薬などの武器を送っていると米国が暴露している状況で同盟国である米国などに砲弾と弾薬を販売するのは名分がある。

武器を支援してもロシアの反発を最小化するために先制的武器支援ではなく西側の要請でやむを得ず武器を支援するほかないという点を明確に見せる必要がある。ドイツは米国が先にウクライナに戦車支援を発表すればドイツも支援可能だと固執し、結局貫徹した事例がある。

攻撃用武器よりは防衛用武器を支援する方が良い。西側も戦争初期に戦争拡大を懸念して主に防衛用武器を支援し後から攻撃用武器を支援した。武器を支援する場合、ロシアの経済制裁に備え天然ガスなど化石燃料と産業用主要原材料の代替調達先をあらかじめ確保しなければならないだろう。

ソフィーの選択のような二者択一がもたらす衝撃は今後長く韓国の外交・安全保障の影響を与える恐れがある。中国がロシアに武器を支援する可能性まで提起され新冷戦構図がさらに固着しかねない。こうしたタイミングで自由民主主義陣営の支援要請からひたすら目をそらすのは難しい。尹政権が知恵を発揮して価値外交が直面した試験台を賢明に乗り越えていくことを望む。

権奇昌(クォン・ギチャン)/前駐ウクライナ韓国大使

◇外部執筆者のコラムは中央日報の編集方針と異なる場合があります。



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