昨年１１月に公開活動を始めた北朝鮮の金正恩（キム・ジョンウン）国務委員長の娘のキム・ジュエ氏に対する北朝鮮住民らの好奇心と肯定的な関心が懸念に変わっている。１０歳の女の子が年配の幹部からあいさつを受けたり、尊称を付けて称賛を受けたりする姿をめぐり、「こんな行動は金日成（キム・イルソン）、金正日（キム・ジョンイル）もしなかった」という非難が出てきた。



米政府系ラジオ・フリー・アジア（ＲＦＡ）が１３日に報じたところによると、両江道（ヤンガンド）のある住民消息筋は１１日、「２月８日の軍事パレードがあった後、住民の中で金正恩の幼い娘に対する態度と反応が変わっている。娘を電撃公開したことに対する驚きと肯定的な関心から、非難と懸念に変わっている」と現地の状況を伝えた。


消息筋は「昨年１１月に金正恩の娘がミサイル発射場に初めて現れた時、住民たちは幼い娘のすべてに関心を見せ好奇心にあふれた反応を見せた。金正恩の幼い娘に関心を見せたのは過去に金正日が自分の子どもを全く公開しなかったのと対照的なためで、父親で金正恩をそっくりだったため」と説明した。

だが最近軍事パレードなど主要行事に娘が相次いで登場しメディアで華々しい尊称を付けて称賛するのを見て露骨に非難する住民はいないが、「初級中学生（中学生）が大人のような素振りを見せながら華麗な服を着て登場し金正恩のように名誉衛兵隊（儀仗隊）を査閲し白髪の幹部が頭を下げてあわてる姿は住民らに良い認識を与えられなかった」と消息筋は伝えた。その上で「金正恩が１０歳を超えたばかりの幼い娘を主要行事場所に連れ歩きながら特別な存在であることいっぱい出している。こうした行動は金日成、金正日もしなかったこと」と強調した。

咸鏡北道（ハムギョンブクド）のある住民消息筋も１２日、「金正恩の娘が初めて登場した時、彼女の顔付きと身なりなどに対して関心を見せ肯定的に評価する人が多かった。普通の子どもと特に変わらない姿で登場した時、住民、特に若い女子学生が親近感を覚え彼女が着た服と靴に関心を見せた」と話した。だが今回の軍事パレードでは「金正恩の娘は子どもらしさが全くなく、高級な洋服とコートのような贅沢な服にブローチまで付けこれ見よがしに振る舞った」として現在の世論はそれほど良くない方だと説明した。

キム・ジュエが公式の席に初めて姿を見せたのは昨年１１月１８日の新型大陸間弾道ミサイル（ＩＣＢＭ）「火星１７型」の試験発射現場だった。当時キム・ジュエが着た白いダウンジャケットは北朝鮮で流行の兆しを見せた。朝鮮労働党機関紙の労働新聞は１２月１日、白やピンクなど多様なカラーのダウンジャケットを着て街を歩く北朝鮮女性の写真を６面に掲載したりもした。

その後も同月２６日に金委員長とＩＣＢＭ開発・発射功労者との記念写真撮影行事に同行したキム・ジュエは過去の李雪主（リ・ソルジュ）夫人と同じように高級な毛皮をあしらった黒いコートと端正なヘアスタイルを演出して目を引いた。

北朝鮮で「キム・ジュエ推し」は軍事パレード後に急浮上している。８日に建軍節記念で開かれた夜間軍事パレードにはキム・ジュエが乗るものとみられる白馬が登場し、一部では北朝鮮当局がキム・ジュエと同じ名前を持つ住民に改名を強要しているという主張まで提起されている。この日にはキム・ジュエの写真が含まれた新たな切手図案８種が公開された。

こうした中、金委員長の妹である「ナンバー２」の金与正（キム・ヨジョン）党副部長は軍事パレードでキム・ジュエと金委員長の妻李雪主が式場に入場する間、軍人の後方に１人で立っている姿がとらえられ、「白頭血統」の嫡統とは距離があることを見せたという分析が出ている。