◇イ・ソヨンに続く宇宙飛行士、まだ出て来ず
だが、韓国が38人目として有人宇宙ミッションに参加した後、いかなる活動もないという事実を思い出さなくてはならない。イ・ソヨン博士は2008年世界で475人目、女性として49人目の宇宙飛行士になった。2022年だけでも14カ国出身63人の宇宙飛行士が国際宇宙ステーションと天宮のミッションに参加した。そんな中で「順位」に何の意味があるだろうか。そのうえ米国・中国・日本・インド・UAE、欧州宇宙機関(ESA)は2020年代に60個以上の月探査船や太陽系探査船を打ち上げるが、韓国はタヌリ号が唯一の太陽系探査船だ。
なぜ順位にこだわるのだろうか。ちゃんと組まれた戦略がないからだ。哲学がないからだ。国権侵奪と韓国戦争(朝鮮戦争)を体験した後、すべてのことが焦土化した韓国は高度成長で産業社会に進入した。急げば副作用はつきものだ。我々の価値観は単純化・画一化し、内面よりも外見に、無形の価値や内実よりも数字や指標を重視することになったかもしれない。
このようなことは政治と教育にそのルーツを求めることができる。そのため最上位の価値に悩むよりは数字に執着する文化が席を占めた。そのうえ、すべての構成員が参加して塀を崩し、100年を見通す統合戦略を立てる方法に対する訓練を受けたことがない。
◇米国NASAから本当に学ぶべきこと
韓国政府はNASAをモデルにした宇宙専門担当機関を設立する。60年を超える歴史や圧倒的な研究成果はもちろん、人材や予算・施設・技術の側面で1対1で比較するのは難しいが、参考にする必要はある。ホワイトハウスは議会にNASAの2023年予算を提出した。ホワイトハウスが出した「米国の宇宙活動優先順位フレームワーク」を見ると、米国は宇宙活動で恩恵を享受すると同時に、宇宙を国際社会におけるリーダーシップと国力の源泉と規定する。
この文書には技術や革新、民間宇宙活性化、国民の安全と安全保障、気候変動、宇宙監視と宇宙交通、国際協力、後続世代、持続可能性のようなキーワードが見える。米国宇宙分野「グローバル戦略」はホワイトハウスと議会で樹立して決定する。「地域戦略」と「国家戦略」はNASA本部で、「プログラム」は本部傘下10カ所のセンターで、下位「プロジェクト」は研究グループが責任を持つ。2022年「NASA戦略計画」にはホワイトハウスが規定したフレームワークを履行するための詳しい内容が含まれ、NASAの哲学は「人類のために宇宙を探求する」というビジョンにもよく表われている。
NASAはミッションを次のように定義している。「NASAは地球大気と宇宙で未知の世界を探険する。そして革新と発見を通じて人類に利益を、世界にインスピレーションを与える」
◇国際宇宙ステーションの「搭乗券」手に入れられない
2000年代初期、NASAは韓国に国際宇宙ステーション(ISS)に参加してほしいと要請したが、政府は応じることができなかった。硬直した行政体系と予算執行方式では出口を見つけるのが難しかったはずだ。20年が過ぎた今、韓国は月軌道宇宙ステーション「ゲートウェイ」への参加を望んでいる。しかしISS建設と運営で呼吸を合わせたISSコンソーシアム参加国だけが招待されたため、まだ韓国は「搭乗券」を手に入れることができていない。
韓国政府の「宇宙開発振興基本計画」はNASAのように長期計画(プログラム)単位ではなく個別事業(プロジェクト)を羅列した文書だった。事業の予算を取るためには、道路・港湾・鉄道・空港のような社会間接資本事業を審査するために作った予備妥当性調査を通過しなければならない。しかしこの調査はR&D事業目的と「哲学」とは相容れないものとして設計された。最近政府は「第4次宇宙開発振興基本計画」を5つの長期ミッション、すなわちプログラム単位として大幅に手を入れた。このような変化から一縷の望みを持つことができる。
昨年NASAは「月から火星まで」(M2M)という新規プログラムを提案して海外に協力を要請した。韓国政府も参加を望んでいる。そうするためには、法的・制度的な障壁と古いしきたりを崩さなければならない。その上位にある哲学は目的と法・制度・組織・予算と同じ下位概念を統治する。改めて問い直したい。我々は、なぜ火星に行こうとするのか。
ムン・ホンギュ/韓国天文研究員・宇宙探査グループ長
【コラム】「宇宙7大強国」誇張した宣言、順位にこだわりすぎるな=韓国(1)
だが、韓国が38人目として有人宇宙ミッションに参加した後、いかなる活動もないという事実を思い出さなくてはならない。イ・ソヨン博士は2008年世界で475人目、女性として49人目の宇宙飛行士になった。2022年だけでも14カ国出身63人の宇宙飛行士が国際宇宙ステーションと天宮のミッションに参加した。そんな中で「順位」に何の意味があるだろうか。そのうえ米国・中国・日本・インド・UAE、欧州宇宙機関(ESA)は2020年代に60個以上の月探査船や太陽系探査船を打ち上げるが、韓国はタヌリ号が唯一の太陽系探査船だ。
なぜ順位にこだわるのだろうか。ちゃんと組まれた戦略がないからだ。哲学がないからだ。国権侵奪と韓国戦争(朝鮮戦争)を体験した後、すべてのことが焦土化した韓国は高度成長で産業社会に進入した。急げば副作用はつきものだ。我々の価値観は単純化・画一化し、内面よりも外見に、無形の価値や内実よりも数字や指標を重視することになったかもしれない。
このようなことは政治と教育にそのルーツを求めることができる。そのため最上位の価値に悩むよりは数字に執着する文化が席を占めた。そのうえ、すべての構成員が参加して塀を崩し、100年を見通す統合戦略を立てる方法に対する訓練を受けたことがない。
◇米国NASAから本当に学ぶべきこと
韓国政府はNASAをモデルにした宇宙専門担当機関を設立する。60年を超える歴史や圧倒的な研究成果はもちろん、人材や予算・施設・技術の側面で1対1で比較するのは難しいが、参考にする必要はある。ホワイトハウスは議会にNASAの2023年予算を提出した。ホワイトハウスが出した「米国の宇宙活動優先順位フレームワーク」を見ると、米国は宇宙活動で恩恵を享受すると同時に、宇宙を国際社会におけるリーダーシップと国力の源泉と規定する。
この文書には技術や革新、民間宇宙活性化、国民の安全と安全保障、気候変動、宇宙監視と宇宙交通、国際協力、後続世代、持続可能性のようなキーワードが見える。米国宇宙分野「グローバル戦略」はホワイトハウスと議会で樹立して決定する。「地域戦略」と「国家戦略」はNASA本部で、「プログラム」は本部傘下10カ所のセンターで、下位「プロジェクト」は研究グループが責任を持つ。2022年「NASA戦略計画」にはホワイトハウスが規定したフレームワークを履行するための詳しい内容が含まれ、NASAの哲学は「人類のために宇宙を探求する」というビジョンにもよく表われている。
NASAはミッションを次のように定義している。「NASAは地球大気と宇宙で未知の世界を探険する。そして革新と発見を通じて人類に利益を、世界にインスピレーションを与える」
◇国際宇宙ステーションの「搭乗券」手に入れられない
2000年代初期、NASAは韓国に国際宇宙ステーション(ISS)に参加してほしいと要請したが、政府は応じることができなかった。硬直した行政体系と予算執行方式では出口を見つけるのが難しかったはずだ。20年が過ぎた今、韓国は月軌道宇宙ステーション「ゲートウェイ」への参加を望んでいる。しかしISS建設と運営で呼吸を合わせたISSコンソーシアム参加国だけが招待されたため、まだ韓国は「搭乗券」を手に入れることができていない。
韓国政府の「宇宙開発振興基本計画」はNASAのように長期計画(プログラム)単位ではなく個別事業(プロジェクト)を羅列した文書だった。事業の予算を取るためには、道路・港湾・鉄道・空港のような社会間接資本事業を審査するために作った予備妥当性調査を通過しなければならない。しかしこの調査はR&D事業目的と「哲学」とは相容れないものとして設計された。最近政府は「第4次宇宙開発振興基本計画」を5つの長期ミッション、すなわちプログラム単位として大幅に手を入れた。このような変化から一縷の望みを持つことができる。
昨年NASAは「月から火星まで」(M2M)という新規プログラムを提案して海外に協力を要請した。韓国政府も参加を望んでいる。そうするためには、法的・制度的な障壁と古いしきたりを崩さなければならない。その上位にある哲学は目的と法・制度・組織・予算と同じ下位概念を統治する。改めて問い直したい。我々は、なぜ火星に行こうとするのか。
ムン・ホンギュ/韓国天文研究員・宇宙探査グループ長
【コラム】「宇宙7大強国」誇張した宣言、順位にこだわりすぎるな=韓国(1)
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