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【コラム】「宇宙7大強国」誇張した宣言、順位にこだわりすぎるな=韓国(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
映画『オデッセイ』のマーク・ワトニーはことごとく不運な男だ。ワトニーが所属している米航空宇宙局(NASA)のチーム「アレス3」が火星に着陸して6日目を迎えた日、悪名高い砂嵐に遭遇する。唯一の脱出手段であるロケットが風で倒れる危機一髪の状況で隊員は撤退を決心する。ちょうど強風で飛んできたアンテナがワトニーを直撃し、宇宙服に取り付けられていた生命維持装置が消えたことを確認した仲間は火星を離れる。ところがワトニーは九死に一生を得て、傷から出た血が服に空いた穴を遮断し、かろうじて一命をとりとめた。549日間の火星生活はこのようにして始まる。

◇映画『オデッセイ』と『インターステラー』の違い

次は『インターステラー』だ。遠くない未来、人類は気候変動と食糧難で絶滅の危機に直面する。生存のために農業を復興したが宇宙探査はもう用無しとなった。元テストパイロットのジョセフ・クーパーは農夫をしていたが、遠い銀河系に通じる最短航路を切り開く秘密ミッションに参加することになる。彼は絶叫する娘を後にしたまま約束のない時空の旅に出発する。驚くべきことに『インターステラー』は韓国で動員観客数1000万を突破したが、『オデッセイ』は490万に終わった。本場・米国では正反対だった。


ある韓国のSF評論家が次のような解釈を出した。「米国では『オデッセイ』が数年内に起きる現実だが、『インターステラー』は依然として遠い未来だ。米国人が『オデッセイ』に熱狂する理由だ。我々韓国人にとっては2本の映画が同じようにはるか遠い未来ではあるが、『インターステラー』は特に感情を刺激した。英雄主義よりも家族と大義のために犠牲をいとわない東洋的価値が韓国の観客を感動させた」

あれから7~8年が流れた。昨年、韓国政府は2032年の無人月面着陸に続いて光復(解放)100周年(2045年)に「火星に太極旗を立てる」と発表した。2本の映画の続編が公開されれば、韓国では『オデッセイ2』のほうが高い関心を集めるかもしれない。

◇人文学者と科学者の対話不在

火星に着陸するということは我々にどんな意味があるのだろうか。我々自らそのような質問をして、答えたことがあっただろうか。宇宙は我々に何の意味があり、なぜ月に行くのか、なぜ火星に行くのか、そのはっきりした理由と哲学と含意が込められた文書を見た記憶がない。科学者とエンジニア以外に哲学者や社会学者・経済学者を含む人文社会分野の専門家たちが額を突き合わせたこともなかった。

韓国政府は5年内に宇宙予算を2倍に増やして2045年までには100兆ウォンを超える投資を誘致するという。なぜか。その目的は「宇宙経済を活性化するため」だ。しかし宇宙経済が何か、どのように実現しなければならないのか、集大成した報告書はまだ見たことがない。2023年現在、韓国国内総生産(GDP)に対する宇宙分野の政府研究開発予算比重は世界12位、2027年までには1兆5000億ウォンに増えるという。

韓国には経済政策を専門的に担当する50年にもなる国策機関と10カ所以上の民間経済研究所がある。過去にこれら国策研究機関と民間研究所は政策アジェンダを提示し、マクロ経済と産業の流れを分析するシンクタンクを自認した。彼らが出した報告書は経済官僚にとっても立派な参考書だった。

だが、通貨危機や国際金融危機を体験した後、民間ではグループ内部事業を支援する役割にその機能が縮小された。

数年前、筆者は仲間と一緒に国策機関と民間経済機関の研究者を招請して宇宙探査に関する企画研究を行った。彼らは理工系研究者の鈍い感覚を呼び覚ます洞察とインスピレーション、そして思考の転換を見せてくれた。貴重な試みだったが、物足りなさが残る。政府が「宇宙経済」を最優先課題にするというので、これら「シンクタンク」の役割を期待せざるをえない。それなりの誘引策も用意しなければならない。

◇順位は実力を保障しない

最近、韓国が6大強国の仲間入りを果たしたという消息が聞こえる。米国時事週刊誌「USニューズ&ワールド・レポート」が発表した結果だ。85カ国の政治・経済・軍事影響力を総合評価する時、米国・中国・ロシア・ドイツ・英国に続き韓国が、そしてフランスと日本・アラブ首長国連邦(UAE)・イスラエルがその後に続いた。だが冷静になる必要がある。実はこの調査は10分野の領域で行われたが、韓国は国民の冒険への積極性(51位)や事業開放性(76位)、生活の質(24位)、人権のような社会構成員が共有する目標(42位)では低い点数に留まった。

このように「順位」が「実力」をゆがめることは宇宙分野でも起きている。韓国政府は羅老(ナロ)号と月軌道船(タヌリ号)の相次ぐ成功に自信を得て「7大宇宙強国」として生まれ変わるだろうとぶちあげた。1トンを越える人工衛星を軌道に上げることができるというのがその根拠だ。しかし、ほとんどの専門家はこれに同意しない。「7大強国」の本質的意味とその「成績」が国際社会でも有効なのか返答に困るためだ。

トン(t)級発射体の開発力量だけを問題にするなら韓国はすでに7位(2022年)の席を確保した。韓国の宇宙分野予算は11位(2022年)、人工衛星打ち上げ件数は14位(2022年)だ。どうにかここまでは韓国がライバルに追いつくことができるだろう。


【コラム】「宇宙7大強国」誇張した宣言、順位にこだわりすぎるな=韓国(2)

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