日増しに高度化する北朝鮮の核兵器の脅威と米国の「核の傘」の信頼性に絶えず提起される懸念を見ると、大韓民国で独自の核武装についての議論があるのは十分に理解できる。主権国家の選択事項だが、韓国がいくつかの含意を綿密に考慮すれば核武装を選択する可能性は非常に低いとみる。北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)が米国本土を脅かすレベルに達すると、韓国では米国の都市が攻撃を受けても米国が果たして核兵器使用まで含む韓米相互防衛条約に基づき韓国を守るだろうかという懸念を提起されている。北朝鮮よりはるかに多くの核兵器を保有するソ連が米国を脅かした冷戦時代に、米国の北大西洋条約機構(NATO)同盟国が抱いた疑問でもある。当時、NATO同盟国は米国の核拡大抑止に頼る形で解決策を見いだした。
韓国も変わらない。韓米同盟独特の連合防衛体制、在韓米軍2万8500人、在韓米国人数十万人、歴代最高の両国関係と共同の価値を考えると、朝鮮半島での軍事衝突は米国の核心価値に直ちに影響を与えるため米国は断固対応するしかない。
韓米は北朝鮮の攻撃に効果的な抑止力をすでに共に保有している。韓米の通常兵器の軍事力は堅固であり、韓国軍が独自軍事力を増強させるにつれてさらに強まっている。ICBM、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、戦略爆撃機など強力な威力を持つ米国の核戦争力は有事の際、朝鮮半島に展開することができる。
韓米同盟と北朝鮮の軍隊が衝突すれば、いかなる場合にも北朝鮮軍が完敗するという点を、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は気づかなければいけない。北朝鮮が核兵器に手をつける瞬間、北朝鮮政権の壊滅に米国があらゆる努力を傾けるいう点も金委員長は知るべきだ。
韓国が核武装をすると韓米相互防衛条約自体が終結するわけではないが、韓米同盟に対する米国の支持は弱まるはずだ。韓国人が自衛力を備え、米国の朝鮮半島守護意志を疑うものと認識されれば、多くの米国人は大きな費用をかけながら在韓米軍を危険にさらすことに疑問を抱くことになるだろう。
韓国の核武装論者は、北朝鮮が南北交渉テーブルに出てきて核兵器を縮小したり、さらには完全に除去するという約束を引き出すのに核武装論が誘引策になると主張する。しかしこれは北朝鮮が核ミサイル開発を加速して朝鮮半島の安定を脅かす、高くて危険な核競争を触発すると予想される。
核武装は韓国の最大貿易相手国である中国との関係も阻害する。韓国は核武装について北朝鮮だけが目標であり中国は含まれないと主張するだろうが、中国はそのように受け止めない。米国主導連合勢力の対中国封鎖戦略の一環と見なす。韓国が核武装すれば高高度防衛ミサイル(THAAD)体系導入当時よりも激しい報復が予想される。
また、韓国の核拡散防止条約(NPT)脱退は世界不拡散体制に大きな打撃を与える。日本などが先例を追うのを防ぐことがさらに難しくなる。核兵器導入自体も費用・速度・過程の面で容易でない。韓国は世界最高の原子力技術を持つが、核物質製造のための特別施設がないため作れない。核兵器開発および実験、信頼できる十分な抑止力の確保、存続可能な報復能力を備えるには長い歳月がかかる。そして従来の軍事力と国家の優先部門から財政と人材を送り出さなければいけない。
核武装に伴う処罰も避けられないだろう。原子力供給国グループ(NSG)は核で武装した韓国との原子力協力を中断するしかない。濃縮ウラン全量を海外の供給に依存し、国内電力の3分の1の責任を負う韓国の原子力プログラムはほとんど中断するだろう。
結局、米国の拡張抑止力に依存し続けるのが良い選択だ。拡張抑止力をさらに強化して対北抑止力を高めれば、韓国人は安心できるはずだ。そのための一つの方法は、朝鮮半島で核兵器使用が考慮される場合、最高水準の危機通信に参加し、計画および実行過程に韓国がより大きな声を出すことだ。このようにすれば、核武装など望ましくない他の選択肢に対する韓国の関心を減らす効果があるだろう。
ロバート・アインホーン/米ブルッキングス研究所首席研究員
◇外部者執筆のコラムは中央日報の編集方針と異なる場合があります。
韓国も変わらない。韓米同盟独特の連合防衛体制、在韓米軍2万8500人、在韓米国人数十万人、歴代最高の両国関係と共同の価値を考えると、朝鮮半島での軍事衝突は米国の核心価値に直ちに影響を与えるため米国は断固対応するしかない。
韓米は北朝鮮の攻撃に効果的な抑止力をすでに共に保有している。韓米の通常兵器の軍事力は堅固であり、韓国軍が独自軍事力を増強させるにつれてさらに強まっている。ICBM、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、戦略爆撃機など強力な威力を持つ米国の核戦争力は有事の際、朝鮮半島に展開することができる。
韓米同盟と北朝鮮の軍隊が衝突すれば、いかなる場合にも北朝鮮軍が完敗するという点を、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は気づかなければいけない。北朝鮮が核兵器に手をつける瞬間、北朝鮮政権の壊滅に米国があらゆる努力を傾けるいう点も金委員長は知るべきだ。
韓国が核武装をすると韓米相互防衛条約自体が終結するわけではないが、韓米同盟に対する米国の支持は弱まるはずだ。韓国人が自衛力を備え、米国の朝鮮半島守護意志を疑うものと認識されれば、多くの米国人は大きな費用をかけながら在韓米軍を危険にさらすことに疑問を抱くことになるだろう。
韓国の核武装論者は、北朝鮮が南北交渉テーブルに出てきて核兵器を縮小したり、さらには完全に除去するという約束を引き出すのに核武装論が誘引策になると主張する。しかしこれは北朝鮮が核ミサイル開発を加速して朝鮮半島の安定を脅かす、高くて危険な核競争を触発すると予想される。
核武装は韓国の最大貿易相手国である中国との関係も阻害する。韓国は核武装について北朝鮮だけが目標であり中国は含まれないと主張するだろうが、中国はそのように受け止めない。米国主導連合勢力の対中国封鎖戦略の一環と見なす。韓国が核武装すれば高高度防衛ミサイル(THAAD)体系導入当時よりも激しい報復が予想される。
また、韓国の核拡散防止条約(NPT)脱退は世界不拡散体制に大きな打撃を与える。日本などが先例を追うのを防ぐことがさらに難しくなる。核兵器導入自体も費用・速度・過程の面で容易でない。韓国は世界最高の原子力技術を持つが、核物質製造のための特別施設がないため作れない。核兵器開発および実験、信頼できる十分な抑止力の確保、存続可能な報復能力を備えるには長い歳月がかかる。そして従来の軍事力と国家の優先部門から財政と人材を送り出さなければいけない。
核武装に伴う処罰も避けられないだろう。原子力供給国グループ(NSG)は核で武装した韓国との原子力協力を中断するしかない。濃縮ウラン全量を海外の供給に依存し、国内電力の3分の1の責任を負う韓国の原子力プログラムはほとんど中断するだろう。
結局、米国の拡張抑止力に依存し続けるのが良い選択だ。拡張抑止力をさらに強化して対北抑止力を高めれば、韓国人は安心できるはずだ。そのための一つの方法は、朝鮮半島で核兵器使用が考慮される場合、最高水準の危機通信に参加し、計画および実行過程に韓国がより大きな声を出すことだ。このようにすれば、核武装など望ましくない他の選択肢に対する韓国の関心を減らす効果があるだろう。
ロバート・アインホーン/米ブルッキングス研究所首席研究員
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