ジャック・マー(馬雲)氏
アントは今月7日、自社ホームページに「会社ガバナンスの持続的改善に関する公告」を掲載。アントの主要株主の議決権が変化したと発表した。アントは「馬氏ら4人が議決権を共同で行使していたが、追加でアントの経営陣や社員代表らを合わせて10人の自然人が主要株主として独立的に議決権を行使するようにした」と明らかにした。
ロイター通信は「今回の調整でアントの議決権50%以上を実質的に保有していた馬氏の議決権が6.2%に減った」と伝えた。馬氏は以前は自身が支配権を持っている他の法人を通じてアントの議決権を保有することによって実質的にアントを統制することができた。
アントは2020年上海と香港証券市場に同時に上場して約350億ドル(約4兆6100兆円)の資金を確保しようとした。だが同年10月、馬氏が上海のあるフォーラムで「中国銀行は質屋のような運営を行っている」として中国金融当局の規制を批判した。馬氏の発言を挑戦的行為として受け止めた習近平国家主席はアリババを基点に「共同富裕」を前面に出してビッグテック企業を大々的に規制し始めた。これに対してアントの上場は取り消しになり、アリババとアントは当局の強力な監査を受けて大規模な課徴金も支払うことになった。
最近中国当局はアリババとアントに柔軟ジェスチャーを送っていた。中国政府は先月15~16日に開かれた中国経済工作会議で2023年経済政策で内需拡大を強調してプラットフォーム企業が経済成長と雇用創出、グローバル競争で力を発揮できるように支援すると明らかにした。先月30日には中国銀行保険監督管理委員会がアント・グループ系列会社であるアント消費者金融が自己資本を従来の80億元(約1552億円)から185億元まで増やすという増資案を承認した。
だが、7日の議決権調整措置で馬氏は今も中国当局から睨まれていることが確認された。馬氏の支配権喪失がアント上場の前提条件だったことになる。香港サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が「馬氏の支配権喪失を骨子とした今回の議決権調整がアントの上場を正常軌道にのせるのに必要な決定的措置」と評価した理由だ。
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