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「投資はしたが供給はいつ」…テスラに足引っ張られる韓国企業

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

テスラ車の半自動運転を可能にするFSDチップが搭載されたHW3.0チップセットボード。[写真 テスラ]

中堅自動車部品メーカーのA社は昨年から米テスラの次世代モデルに使われる部品の供給に向け研究開発や製造設備などに少なくない投資を進めた。問題は新しいモデルの量産が遅れている上に生産量も予想より減り投資金の回収が難しくなった点だ。A社関係者は「電気自動車転換に投資費用が多くかかってもテスラに部品を供給するという期待が大きかったのに量産が延期延され金利も上がり流動性負担が大きくなった」と話した。

27日の関連業界によると、最高経営責任者(CEO)リスクと予想を下回る業績、株価急落などによりテスラが苦戦し、「テスラ生態系」に参加した韓国企業が頭を痛めている。「最も革新的な電気自動車」と呼ばれ快調だったテスラだが最近の雰囲気は尋常でない。

7-9月期のテスラの引き渡し台数は世界で34万3830台となり市場見通しの37万台より少なかった。半導体需給難と全生産能力の半分近くを占める中国の新型コロナウイルス封鎖が長引いてだ。


次期モデル発売が遅れているのは「テスラ供給網」に参加した企業に直接的な負担になる。テスラは今年電気ピックアップトラックの「サイバートラック」を発売すると公言したが延期が続いている。現時点では来年上半期の発売も難しい見通しだ。テスラの新車は2020年の「モデルY」が最後だ。

韓国大企業も事情は同様だ。テスラの走行補助装置(ADAS)の「HW3.0」システムには現在サムスン電子が委託生産するFSDチップセットボードが使われる。サイバートラックには次期バージョンであるHW4.0システムと新たなFSDチップセットボードが搭載される予定だ。

当初サムスン電子はHW4.0のFSDチップを委託生産する予定だったが、サイバートラックの量産が延期され一部を競合である台湾TSMCに渡すことになりかねないという見通しが出ている。業界関係者は「サムスン電子が7ナノメートル工程で生産する予定だったが発売が遅れ初期分はサムスン電子が、後期型にはTSMCの4ナノメートルチップセットが使われる可能性がある」と話した。

TSMCは米アリゾナ工場で4・3ナノメートル超微細工程の半導体を生産する予定だ。すでにテスラと自動運転チップセット分野の2大メーカーであるエヌビディアの「ハイペリオン」「ソー」のハードウエアを生産している。フォードやGMなど大手自動車メーカーも顧客として確保した。未来の収益源とされる車載半導体でもTSMCが一歩リードしているという意味だ。

テスラの自動運転システムの核心で、カメラで撮った情報を自動運転技術に活用するビジョンセンシング部品業界も厳しい状況だ。テスラの次世代自動運転用カメラモジュールはLGイノテックとサムスン電機が受注したとされる。だが新車量産が延期され投資金回収日程に影響が出ている。

バッテリー業界でも同様の状況が起きている。テスラは2020年の「バッテリーデー」で、直径46ミリメートル、高さ80ミリメートルの円筒形の「4680バッテリー」という新たなフォームファクターを発表した。乾燥式電極技術を活用して走行距離は16%増やしエネルギー密度は5倍に増やすという計画を出した。

以前まではパウチ型と角形バッテリーが円筒形バッテリーと主導権を争ったが、テスラが4680バッテリーを発表してから主流は円筒形バッテリーになった。問題は4680バッテリーの量産に技術的困難があるという点だ。

次世代テスラモデルの空調装置、熱管理システム、シャーシー部品を生産する韓国企業も不確実性が大きくなっている。発注量が流動的で契約内容さえ秘密にするテスラの特性上、部品メーカーの気苦労も大きくなる。韓国の電装企業関係者は「サイバートラックとその後の新車量産が遅れるほど金融負担が大きくなる」と話す。

専門家らはテスラに足かせをかけられたとしても電気自動車・デジタル転換に持続的に投資すべきと指摘する。ハイ投資証券リサーチセンター長のコ・テボン氏は「中国市場封鎖と米中対立、そして次世代技術の量産困難が重なりテスラ供給網に入っている韓国企業も苦しい状況にある。それでも電気自動車・自動運転車や人工知能(AI)、スーパーコンピュータのようなデジタル転換には逆らうことはできない流れ」と話した。



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