北朝鮮外務省が最近「反撃能力」保有を宣言した日本に向け、「日本の不当で欲深い野望実現企図に対して朝鮮民主主義人民共和国がどれほど憂慮し、不快に思っているのかを実際の行動で見せ続けるであろう」と警告した。北朝鮮は特にこの過程で事実上の韓半島（朝鮮半島）赤化統一を意味する「領土完整」という表現まで使った。

◇対日追加挑発示唆

北朝鮮外務省は２０日、朝鮮中央通信を通じて公開した報道官名義の談話で、１６日に日本が国家安保戦略など安保３文書改定案に反撃能力を明示したことと関連し、「日本が主張するいわゆる『反撃能力』は、主権国家の合法的な自衛権保有とは全く無縁であり、他国の領域を打撃するための先制攻撃能力」「侵略路線の公式化」と非難した。


北朝鮮外務省は続けて「日本は、遠からず覚えることになる身震いする戦慄を通じて、確かに間違っていてあまりにも危険な選択をしたことを自ら悟るようになるであろう」と威嚇した。

北朝鮮は自分たちの核・ミサイル開発と無差別的挑発に対しては「合法的な自衛権行使」と正当化し、日本の再武装化の可能性に対しては「国連憲章に対する乱暴な侵害」と責め立てた。

その上で「朝鮮人民に計り知れない不幸と苦痛を強要した過去の罪科をいまだに誠実に清算していない戦犯国、国連憲章に敵国と烙印を押された日本のような国が公然と危険な自分の野望を隠すことなくさらけ出したのは、誰も歓迎できないことである」と主張した。

◇赤化統一意味する「領土完整」に言及

北朝鮮はこの日の談話で「日本の野心」を非難しながら事実上赤化統一を意味する自分たちの「野心」を表わしたという指摘もある。

この日北朝鮮外務省は「朝鮮民主主義人民共和国は、日本が取っている不正の行動を厳しく批判、糾弾するとともに、それによる地域安全環境の複雑さに備えて国家主権と領土完整、根本利益を守るための果敢で決定的な軍事的措置を断行する権利を保有していることを今一度明白にする」と明らかにした。

外務省が言及した「領土完整」は辞典的には「領土を完全に整理する」という意味で、事実上韓半島赤化統一路線を意味するという解釈が出ている。

実際に中国と北朝鮮は「ひとつの中国」の原則に基づき台湾統一に言及した際に領土完整という表現を使ってきた。北朝鮮の金正恩（キム・ジョンウン）国務委員長は９月に習近平中国国家主席に送った書簡でも台湾問題と関連し「国家の主権と領土完整を頼もしく保証するための偉業の遂行でさらなる成果を収めることを願う」と書いたりもした。

チョン・ソンフン元統一研究院長は「領土完整とは金日成（キム・イルソン）時代の『国土完整』の延長線上の概念で、『北朝鮮主導の国土統一』戦略。特に北朝鮮は伝統的に赤化統一を成し遂げる場合、これを土台に日本を事実上無力化できると信じてきた」と話した。

これをめぐり外交界では北朝鮮が「日本の軍事大国化」を口実に露骨な核挑発を展開するかもしれないとの懸念が出ている。

北朝鮮は９月に先制核攻撃を法制化した核武力政策文書でも「核武力は領土完整を守る国家防衛の基本的力量」と明らかにしたが、改めて「領土完整」に言及したこの日も労働党機関紙労働新聞を通じ「避けられない状況が造成されればやむを得ず強力な核先制攻撃を加えることができる」として先制核攻撃の可能性を持ち出した。

◇韓米日共助に警戒

特に北朝鮮はこの日の談話で「ほとんど全てのアジア諸国のこみ上げる憤怒と警戒心を呼び起こす日本の軍備への欲念について唯一、米国だけが『胆大で歴史的な措置』として称揚している」として日本の再武装の可能性の背後として米国を直接名指しした。これに対し談話全体で韓国に対する直接的な言及はなかった。

これについて外交界では「日本の安保政策転換を歓迎する米国と違い、韓国は韓米日安保協力を支持しながらも日本の韓半島軍事介入の可能性などに対しては慎重にならざるを得ない点を狙った戦略」という解釈が出ている。日本の防衛力増強に対する韓米日の立場の違いに食い込んだ離間戦略である可能性が大きいという意味だ。

実際に北朝鮮はこの日の外務省談話を通じ日米をまとめて非難する一方、韓国に対しては金与正（キム・ヨジョン）労働党副部長の声明で罵倒に近い別途の対南非難戦を繰り広げた。韓米日を同時に圧迫しながらも韓国と日米を離間させようという試みと分析される。

これに対し韓米日は最近になり３カ国共助をむしろ持続的に強化するジェスチャーを発信している。３カ国は１３日にインドネシアのジャカルタで６カ国協議首席代表による協議を対面で行い、これに先立ち２日には同時多発的に独自の対北朝鮮制裁案を相次いで発表するなど団結した対北朝鮮共助を展開した。