来年からの5年間の科学技術政策方向を盛り込んだ第5次科学技術基本計画が発表された。「科学技術が先導する大胆な未来」というビジョンで、任務中心に研究開発の戦略性を強化すること、民間中心の革新生態系を育成すること、科学技術で国家的懸案の解決を進めることを主な方向に設定した。
科学技術基本計画は科学技術版「経済開発5カ年計画」だ。もともと大統領の任期と周期に合わせていたが、大統領選挙が5月に変わったことで任期2年目から始まる計画になった。しかし大統領の国政課題との一貫性を確保するという長所が生じた。
今回の基本計画は技術覇権競争とサプライチェーン再編という政策環境との整合性および時宜性が立派だ。任務志向革新政策、技術主権論、炭素中立のための転換的革新政策など国内外の学界の最新の議論と指摘を積極的に反映した点も評価される。
◆先進国に劣らない科学技術革新
「計画は立派だが実行が問題だ」。一喝して文を終えれば容易だが、政府当局の実行力が相当なものであり、そうはできない。前の第4次基本計画で豪語した基礎研究予算2倍増額を世間の疑心を払拭して完遂し、日本の突然の輸出規制で発生した素材・部品・装備事態もまさに「任務中心型」で複数の部処が力を合わせて乗り越えた。大統領も半導体と原子力に大きな関心があり、韓国型ロケット「ヌリ号」と月探査船「タヌリ号」が国民の声援を受けていて、米国が半導体と二次電池を中心に安保同盟を科学技術および経済同盟に拡張しているため、力が抜けることもない。
「選択と集中」という古いスローガンがまた登場したのは歓迎できない。「排除と疎外」を連想させるからだ。今はもう「ない暮らし」でないにもかかわらずハングリー精神を強調するようだ。そうでなくとも理工系の人材が不足しているが、最近の若者たちに合わない20世紀の感性ではないだろうか。政府の資料は自責に満ちている。「ノーベル賞がない」「被引用上位1%論文が少ない」「大学の競争力が問題だ」などだ。満足を知らず自らに鞭を打つことが韓国の成長動力であるのは明らかだ。
◆被引用上位論文、日本を上回る
しかし韓国は健闘している。産業だけでなく基礎科学も先進国レベルに進入した。最近は被引用上位10%の論文数が人口2.4倍の日本を超えた。世界の未来科学者に言いたい。「韓国は国内総生産(GDP)の4.8%、総額では世界5位規模の研究開発費を支出する科学技術大国です。みなさん、希望する研究を思う存分できる韓国でフレックス(flex)してください」。
今回の計画は10月28日の国家科学技術諮問会議で発表された12件の戦略技術分野を改めて強調している。半導体・ディスプレー、二次電池、次世代原子力、水素、次世代通信、バイオ、宇宙航空・海洋、量子、先端ロボット、サイバーセキュリティー、先端モビリティー、人工知能がその12件だ。詳しく見ると12件より多い。「選択と集中」の趣旨に背かなりよう無理にまとめたものが12件だ。
この12件の技術の中身をみると、いま韓国が先導している技術、主要先進国と肩を並べる技術、依然として追撃者の立場にある技術、重要であるため含めた技術がある。全体的にみると、先進強大国、科学技術先導国のポートフォリオだ。ハングリー精神の先導国家。ミスマッチが明らかだが、見方によっては最強の組み合わせだ。
◆16世紀の英国の国家覇権戦略
任務中心の研究開発の開始は16世紀にさかのぼる。英国王ヘンリー8世は新大陸開発競争のための海上進出を控え、国防技術覇権の確保に動く。艦砲として使用する鋳鉄大砲の性能を高めるため、当時零細だったイングランド製鉄業界を対象に公募展を開き、優勝者に排他的独占生産権と軍納権を付与した。技術流出を防ぐために技術者を管理した。新型大砲開発という任務を設定し、最近の方式でいえば民間中心の戦略的研究開発、知識財産権保障、革新誘導公共調達、技術セキュリティー政策をパッケージで展開したのだ。
任務中心の研究開発は20世紀のマンハッタンプロジェクトに結びつき、その後、アポロ計画、さらに最近のパンデミック終息任務をしたワクチン開発プロジェクトのワープスピード作戦(Operation Warp Speed)につながった。すなわち、任務中心の研究開発は戦時または準戦時の国家的動員体制から始まったのだ。人類が直面した気候変動危機は一国の範囲を超えて全地球的な動員体制を必要とする。いわゆる「新しい任務志向革新政策」が登場した背景だ。科学技術革新政策の国際標準である革新システム観点も国家的動員体制が根本にある。
国家革新システム(ナショナル・イノベーション・システム)観点を唱えたクリストファー・フリーマンは第2次世界大戦前後から1980年代まで日本の輝かしい成功を分析し、政府と産業界、そして科学技術研究界の三角協業システムに注目した。韓国国内で最近出版された野口悠紀雄・東京大教授の『戦後経済史』(翻訳版タイトル『1940年体制』)は、日本の革新システムは太平洋戦争に臨んだ日本軍国主義の国家的動員体制が戦争の代わりに経済発展を任務に設定・持続したものだったと主張する。結局、任務中心研究開発や国家革新生態系のような21世紀の科学技術革新政策も、国家や人類の存亡がかかる戦時動員体制と軌を一にする。
【コラム】韓国はすでに科学先導国…成果主義を警戒すべき(2)
科学技術基本計画は科学技術版「経済開発5カ年計画」だ。もともと大統領の任期と周期に合わせていたが、大統領選挙が5月に変わったことで任期2年目から始まる計画になった。しかし大統領の国政課題との一貫性を確保するという長所が生じた。
今回の基本計画は技術覇権競争とサプライチェーン再編という政策環境との整合性および時宜性が立派だ。任務志向革新政策、技術主権論、炭素中立のための転換的革新政策など国内外の学界の最新の議論と指摘を積極的に反映した点も評価される。
◆先進国に劣らない科学技術革新
「計画は立派だが実行が問題だ」。一喝して文を終えれば容易だが、政府当局の実行力が相当なものであり、そうはできない。前の第4次基本計画で豪語した基礎研究予算2倍増額を世間の疑心を払拭して完遂し、日本の突然の輸出規制で発生した素材・部品・装備事態もまさに「任務中心型」で複数の部処が力を合わせて乗り越えた。大統領も半導体と原子力に大きな関心があり、韓国型ロケット「ヌリ号」と月探査船「タヌリ号」が国民の声援を受けていて、米国が半導体と二次電池を中心に安保同盟を科学技術および経済同盟に拡張しているため、力が抜けることもない。
「選択と集中」という古いスローガンがまた登場したのは歓迎できない。「排除と疎外」を連想させるからだ。今はもう「ない暮らし」でないにもかかわらずハングリー精神を強調するようだ。そうでなくとも理工系の人材が不足しているが、最近の若者たちに合わない20世紀の感性ではないだろうか。政府の資料は自責に満ちている。「ノーベル賞がない」「被引用上位1%論文が少ない」「大学の競争力が問題だ」などだ。満足を知らず自らに鞭を打つことが韓国の成長動力であるのは明らかだ。
◆被引用上位論文、日本を上回る
しかし韓国は健闘している。産業だけでなく基礎科学も先進国レベルに進入した。最近は被引用上位10%の論文数が人口2.4倍の日本を超えた。世界の未来科学者に言いたい。「韓国は国内総生産(GDP)の4.8%、総額では世界5位規模の研究開発費を支出する科学技術大国です。みなさん、希望する研究を思う存分できる韓国でフレックス(flex)してください」。
今回の計画は10月28日の国家科学技術諮問会議で発表された12件の戦略技術分野を改めて強調している。半導体・ディスプレー、二次電池、次世代原子力、水素、次世代通信、バイオ、宇宙航空・海洋、量子、先端ロボット、サイバーセキュリティー、先端モビリティー、人工知能がその12件だ。詳しく見ると12件より多い。「選択と集中」の趣旨に背かなりよう無理にまとめたものが12件だ。
この12件の技術の中身をみると、いま韓国が先導している技術、主要先進国と肩を並べる技術、依然として追撃者の立場にある技術、重要であるため含めた技術がある。全体的にみると、先進強大国、科学技術先導国のポートフォリオだ。ハングリー精神の先導国家。ミスマッチが明らかだが、見方によっては最強の組み合わせだ。
◆16世紀の英国の国家覇権戦略
任務中心の研究開発の開始は16世紀にさかのぼる。英国王ヘンリー8世は新大陸開発競争のための海上進出を控え、国防技術覇権の確保に動く。艦砲として使用する鋳鉄大砲の性能を高めるため、当時零細だったイングランド製鉄業界を対象に公募展を開き、優勝者に排他的独占生産権と軍納権を付与した。技術流出を防ぐために技術者を管理した。新型大砲開発という任務を設定し、最近の方式でいえば民間中心の戦略的研究開発、知識財産権保障、革新誘導公共調達、技術セキュリティー政策をパッケージで展開したのだ。
任務中心の研究開発は20世紀のマンハッタンプロジェクトに結びつき、その後、アポロ計画、さらに最近のパンデミック終息任務をしたワクチン開発プロジェクトのワープスピード作戦(Operation Warp Speed)につながった。すなわち、任務中心の研究開発は戦時または準戦時の国家的動員体制から始まったのだ。人類が直面した気候変動危機は一国の範囲を超えて全地球的な動員体制を必要とする。いわゆる「新しい任務志向革新政策」が登場した背景だ。科学技術革新政策の国際標準である革新システム観点も国家的動員体制が根本にある。
国家革新システム(ナショナル・イノベーション・システム)観点を唱えたクリストファー・フリーマンは第2次世界大戦前後から1980年代まで日本の輝かしい成功を分析し、政府と産業界、そして科学技術研究界の三角協業システムに注目した。韓国国内で最近出版された野口悠紀雄・東京大教授の『戦後経済史』(翻訳版タイトル『1940年体制』)は、日本の革新システムは太平洋戦争に臨んだ日本軍国主義の国家的動員体制が戦争の代わりに経済発展を任務に設定・持続したものだったと主張する。結局、任務中心研究開発や国家革新生態系のような21世紀の科学技術革新政策も、国家や人類の存亡がかかる戦時動員体制と軌を一にする。
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