高機動ロケット砲システム(HIMARS・ハイマース)の射撃場面。[写真 米陸軍ホームページ キャプチャー]
AFP通信やキーウ通信などは最近、ウクライナが開戦初期にロシアに奪われた南部要衝地ヘルソン地域を奪還するなど、意味ある勝利を収めている背景にパルチザン(partisan・非正規戦を遂行する遊撃隊員)の活躍があると伝えた。
◇ロシア兵の位置提供、ハイマースの攻撃力を最大化
パルチザンは正規軍ではなく民間人の身分で、侵略者に対抗して防御戦を遂行する遊撃隊を意味する。今年2月のロシア侵攻以降、数多くのウクライナ人がパルチザンに志願して活躍中だ。ロシア軍の位置情報収集・提供、ロシア重要人物の暗殺、拠点破壊などが彼らの主な任務だ。
パルチザンが収集・提供したロシア軍の位置はハイマースの攻撃効果を高めるのに必要な核心情報だ。ウクライナ軍事情報局のバディム・スキビツキー副局長はキーウポストとのインタビューで「ロシア軍の数字、移動経路を教える主な情報部員がこのパルチザン」としながら「米軍もパルチザンが提供した情報の量と正確性に驚いている」と付け加えた。
ヘルソンでパルチザンとして活動中の音楽家志望のティモールさん(19)は「過去数カ月間、ロシア軍が寝ている場所、酒を飲むところ、装備や弾薬の位置などの情報を把握してウクライナ軍に毎日のように送った」としながら「一日中歩き回って観察した内容を家に帰ってきて一つ残らずメモし、情報を送った後は証拠をすべて消去した」とAFPに伝えた。
ロシア側の要人暗殺にもパルチザンが積極的に関与している。米国シンクタンクである戦争研究所(ISW)によると、これまでパルチザンの活躍によって除去された親ロ高位要人は少なくとも11人にのぼる。パルチザンはロシア協力者の車両の車輪に爆弾を仕掛けたり、意図的に交通事故を起こしたりする方式で暗殺を積極的に実行中だ。毎日新聞は今月9日に交通事故で亡くなった親露派勢力幹部だったストレモウソフ氏もパルチザンによって除去されたとみられると伝えた。
パルチザンとして活動して両手を失ったウォロディミル・ジェムチュゴフ氏(52)はTBS放送とのインタビューで「(軍人でもないのに)人を殺すという行為に対して精神的に強い抵抗があったが、ウクライナ人の捕虜や遺体に対するロシア兵の残虐行為を目の当たりにして、その抵抗感が消え、夜中にロシア兵を襲うようになった」と打ち明けた。
ロシア軍の物資供給路を断つために鉄道など交通網もパルチザンが定期的に爆破している。ウクライナ軍参謀本部は今年4月メリトポリ地域鉄橋爆破、9月ルハンシク(ルガンスク)鉄道破壊などはパルチザンが起こしたものだと認めたことがある。
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