北朝鮮が休戦以降、初めて北方限界線(NLL)南側にミサイルを発射し、全国が激憤している。筆者は韓国軍合同参謀本部議長だった当時、似た事例を経験した。当時、延坪島(ヨンピョンド)砲撃挑発事件で緊張が高まった状況で、北朝鮮は西海(ソヘ、黄海)でNLL南側に大量の砲撃をしてきた。韓国は直ちにNLL北側のさらに遠い距離に10倍近い対応射撃をした。南北間の緊張が大きく高まり、停戦管理責任を負うスカパロッティ国連軍司令官兼韓米連合司令官から比例性に背くという強い抗議を受けた。しかし北朝鮮の悪いクセを直すためにはそうするしかないと主張し、断固対応した。
現在の南北間のチキンゲームは北朝鮮の7回目の核実験を防ぐための駆け引きだ。絶対に押されてはいけない。北朝鮮は戦術核を確保する瞬間、自由自在に核兵器を利用して威嚇と挑発をするだろう。戦術核の開発を防ぐものの、最悪の場合、核を使用できないよう実質的な抑止力を確保しなければならない。韓米間の多様な抑止案に追加し、韓国独自の能力と意志で施行できるカードが強く要求される。
◆北朝鮮の戦術核開発、韓国には恐怖
戦争史に核兵器が登場・拡散し、人類が恐怖を感じている。その破壊力は日本に投下された原子爆弾による損傷以外には正確に伝えられていない。正確な計算が難しく、ただ想像を超越するという考えだけだ。誰もこれを使用できないと考えられているが、全く可能性がないわけではない。米ソ間のキューバ核ミサイル事件に続き、中国・ソ連、インド・パキスタン間で核戦争の危機があった。
相互確証破壊(MAD)の概念まで生じたほどだ。これは恐怖の均衡(Balance of Terror)で、相手の1次攻撃で生き残って2次攻撃で共倒れになるという恐怖を助長し、核戦争を防ごうというものだ。このために大陸間弾道ミサイル貯蔵庫を地下バンカー化するなど多様な対策を講じたが、精密攻撃武器の開発と防御体系の不均衡などで問題点が多かった。
この過程で最も信頼できる抑止案として登場したのが戦略原潜だ。その後、核を保有した強大国はSLBM確保に注力し、今では北朝鮮がここに合流しようとしている。MADはまた別の問題点があり、戦術核兵器を使用する場合、同じ概念を適用できるかという点だ。戦術核兵器の破壊力を考慮するとMADは過度だという見方が多く、北朝鮮の戦術核兵器開発が与える含意は大きい。
◆北朝鮮のSLBM脅威、深刻に受け止めるべき
1962年にMADの問題点と核兵器管理の困難を解決するために米ソ間の戦略兵器制限交渉(SALT)が始まった。当時、米国は2万5540発、ソ連は3346発の核弾頭を保有していた。1991年に交渉を通じて核兵器運搬手段(大陸間弾道ミサイルICBM、潜水艦発射弾道ミサイルSLBM)、戦略爆撃機と核弾頭をそれぞれ縮小することに合意した。2018年まで米国は1350個、ロシアは1444個の核弾頭を減らしたが、運搬手段は例外だった。
特に戦略原潜については最初から言及を避けた。両国ともにSLBMを核戦争に対応した最後の砦と判断したからだ。当時、米国はソ連の戦略原潜を随時監視していた。ジョン・レーマン米海軍長官は1985年「戦争が発生すれば米国の原子力攻撃潜水艦は5分以内にソ連の戦略潜水艦を攻撃することになっている」と述べた。SLBMが敵の核攻撃を抑止するための捨てられないカードになったのだ。
北朝鮮は韓国より30年前の1960年代から潜水艦を建造・運用した。韓国も潜水艦を確保するために努力したが、潜水艦を攻撃武器と見なす米国の立場で遅れた。現在70余隻の潜水艦を保有する北朝鮮の潜水艦建造・運用能力を決して軽視してはいけない。たとえ原始的で初歩的なレベルだとしても、とにかく潜水艦は水中で作戦を展開できる。それ自体が深刻な脅威だ。特に海洋環境の特性上、潜水艦の天国と呼ばれる東海(トンヘ、日本名・日本海)での対潜水作戦環境を考慮すると深刻な脅威となる。これは韓米連合対潜水艦訓練をしながら米海軍が出した評価だ。
さらに北朝鮮は2021年初め、原子力潜水艦を開発すると宣言した。核兵器開発を通じてすでにウラン濃縮技術を確保しただけに10年以内に達成すると予想される。これは従来のディーゼル潜水艦を運用する韓国にとって大きな衝撃だ。原子力潜水艦と通常動力型潜水艦の作戦能力の差が非常に大きいからだ。周期的に浮上してバッテリー充電をする必要がある通常型潜水艦の場合、隠密性と機動性、作戦持続能力の側面で比較にならない。
北朝鮮のSLBM開発は、2014年8月に米国の人工衛星が潜水艦弾道ミサイル垂直発射管を発見して知られた。2015年から2019年まで6回にわたる試験発射があり、同年7月23日に北朝鮮は新型潜水艦で射程距離7000キロのSLBM発射に成功したと公開した。北朝鮮がSLBM開発を完了する場合、韓米による北朝鮮の核の脅威への対応は根本的な変化が必要となる。
【韓半島平和ウォッチ】北核対応カードに原子力潜水艦の開発を(2)
現在の南北間のチキンゲームは北朝鮮の7回目の核実験を防ぐための駆け引きだ。絶対に押されてはいけない。北朝鮮は戦術核を確保する瞬間、自由自在に核兵器を利用して威嚇と挑発をするだろう。戦術核の開発を防ぐものの、最悪の場合、核を使用できないよう実質的な抑止力を確保しなければならない。韓米間の多様な抑止案に追加し、韓国独自の能力と意志で施行できるカードが強く要求される。
◆北朝鮮の戦術核開発、韓国には恐怖
戦争史に核兵器が登場・拡散し、人類が恐怖を感じている。その破壊力は日本に投下された原子爆弾による損傷以外には正確に伝えられていない。正確な計算が難しく、ただ想像を超越するという考えだけだ。誰もこれを使用できないと考えられているが、全く可能性がないわけではない。米ソ間のキューバ核ミサイル事件に続き、中国・ソ連、インド・パキスタン間で核戦争の危機があった。
相互確証破壊(MAD)の概念まで生じたほどだ。これは恐怖の均衡(Balance of Terror)で、相手の1次攻撃で生き残って2次攻撃で共倒れになるという恐怖を助長し、核戦争を防ごうというものだ。このために大陸間弾道ミサイル貯蔵庫を地下バンカー化するなど多様な対策を講じたが、精密攻撃武器の開発と防御体系の不均衡などで問題点が多かった。
この過程で最も信頼できる抑止案として登場したのが戦略原潜だ。その後、核を保有した強大国はSLBM確保に注力し、今では北朝鮮がここに合流しようとしている。MADはまた別の問題点があり、戦術核兵器を使用する場合、同じ概念を適用できるかという点だ。戦術核兵器の破壊力を考慮するとMADは過度だという見方が多く、北朝鮮の戦術核兵器開発が与える含意は大きい。
◆北朝鮮のSLBM脅威、深刻に受け止めるべき
1962年にMADの問題点と核兵器管理の困難を解決するために米ソ間の戦略兵器制限交渉(SALT)が始まった。当時、米国は2万5540発、ソ連は3346発の核弾頭を保有していた。1991年に交渉を通じて核兵器運搬手段(大陸間弾道ミサイルICBM、潜水艦発射弾道ミサイルSLBM)、戦略爆撃機と核弾頭をそれぞれ縮小することに合意した。2018年まで米国は1350個、ロシアは1444個の核弾頭を減らしたが、運搬手段は例外だった。
特に戦略原潜については最初から言及を避けた。両国ともにSLBMを核戦争に対応した最後の砦と判断したからだ。当時、米国はソ連の戦略原潜を随時監視していた。ジョン・レーマン米海軍長官は1985年「戦争が発生すれば米国の原子力攻撃潜水艦は5分以内にソ連の戦略潜水艦を攻撃することになっている」と述べた。SLBMが敵の核攻撃を抑止するための捨てられないカードになったのだ。
北朝鮮は韓国より30年前の1960年代から潜水艦を建造・運用した。韓国も潜水艦を確保するために努力したが、潜水艦を攻撃武器と見なす米国の立場で遅れた。現在70余隻の潜水艦を保有する北朝鮮の潜水艦建造・運用能力を決して軽視してはいけない。たとえ原始的で初歩的なレベルだとしても、とにかく潜水艦は水中で作戦を展開できる。それ自体が深刻な脅威だ。特に海洋環境の特性上、潜水艦の天国と呼ばれる東海(トンヘ、日本名・日本海)での対潜水作戦環境を考慮すると深刻な脅威となる。これは韓米連合対潜水艦訓練をしながら米海軍が出した評価だ。
さらに北朝鮮は2021年初め、原子力潜水艦を開発すると宣言した。核兵器開発を通じてすでにウラン濃縮技術を確保しただけに10年以内に達成すると予想される。これは従来のディーゼル潜水艦を運用する韓国にとって大きな衝撃だ。原子力潜水艦と通常動力型潜水艦の作戦能力の差が非常に大きいからだ。周期的に浮上してバッテリー充電をする必要がある通常型潜水艦の場合、隠密性と機動性、作戦持続能力の側面で比較にならない。
北朝鮮のSLBM開発は、2014年8月に米国の人工衛星が潜水艦弾道ミサイル垂直発射管を発見して知られた。2015年から2019年まで6回にわたる試験発射があり、同年7月23日に北朝鮮は新型潜水艦で射程距離7000キロのSLBM発射に成功したと公開した。北朝鮮がSLBM開発を完了する場合、韓米による北朝鮮の核の脅威への対応は根本的な変化が必要となる。
【韓半島平和ウォッチ】北核対応カードに原子力潜水艦の開発を(2)
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