梨泰院駅1番出口方向から見た事故前の人波
2014年版には「多数の人波が集まる行事ではささいなきっかけによっても急迫した混乱状態が発生するか死亡者発生など大型惨事につながる場合もある」という一文が出てくる。警察はマニュアルで「多重雲集」の概念を「未組織の多数の群衆が集まることが予想される祭り、公演、体育競技、行事などを意味する」と定義していて、「政府・民間、屋内・屋外、国内・国際、収益・公益性の有無を問わない」という但し書きまでついている。
マニュアルはこのような多重雲集行事の安全管理に対して「各種行事のために一時的に集まった群衆によって発生しうる自然的・人為的混乱状態を事前に予防・警戒して、危険な事態が発生した場合には迅速に措置して被害が拡大することを防止する警察活動を意味する」と説明している。
特にマニュアルは多重雲集行事の危険を基準として警察介入の有無およびその水準を判断しなければなければならないと強調している。安全事故および犯罪・テロ・行事妨害・集団衝突などのさまざまな要素と交通混雑・交通安全に対する脅威などを総合的に検討して警察人員配置および行政指導などを遂行しなければならないということだ。
巨大な人波が殺到するか極端に混雑した状況が発生する場合には地下鉄の入口などに警察人員を先占配置して事故を予防し、人波が片側に傾かないように警察官や施設で安全空間・通路を確保しなければならないという内容もマニュアルに含まれている。
マニュアルは法的根拠として災難および安全管理基本法・警察法・警察官職務執行法・道路交通法などを羅列した。国民の生命・身体・財産保護と交通安全確保などが警察任務という趣旨だ。それでも梨泰院(イテウォン)惨事当時、警察は任務を遂行できなかった。13万の人波が梨泰院一帯に集まったが、警察は137人だけだった。これさえも麻薬の取り締まりに焦点が合わされた。
警察はこれまで主催者がいる行事は「受益者負担原則」により行事管理の1次責任が主催者にあるとし、梨泰院惨事の場合、小商工人と市民が「自発的に開いた行事」なので警察が積極的に出る余地が不明だったと主張した。警察庁関係者は先月31日のブリーフィングで「主宰側がない人波事件に対応するマニュアルはない」と説明していた。前述のマニュアルによると多重雲集行事の主催者の有無は区分していない。
警察庁は「マニュアルは『主催者』が1次的な責任を負うという『行事主催者責任』を大原則としている」と説明した。警察庁関係者は「梨泰院惨事のような状況を念頭に置いたマニュアルではない」とし「内部参考用文書なので格別な意味がなく、今は警察も行政安全部の地域祭のマニュアルに従う」と話した。
2015年10月警察庁の研究用役として大邱(テグ)カトリック大学産学協力団が発行した報告書「多重雲集行事安全管理のための警察介入水準に関する研究」には「行事の主催が不明な多重雲集状況、毎年特定場所に新年カウントダウンのために若者が自然的に集まる場合には、所轄警察署長の責任として事件・事故防止のための活動計画を自主的に樹立している」とし、大阪の事例を挙げている。研究陣は「行事の類型と主体に関係なく危険の判断と管理および監督を担当するのは安全専門家である警察の任務」と提案した。
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