再び通貨危機に対する懸念が大きくなっている。韓国政府と韓国銀行は▽外貨準備高が2008年の金融危機当時より2倍に増え▽対外債務で占める短期債務の割合が28%と低く▽国際格付け会社の格付けや不渡りリスクを示すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)金利も問題がないとして危機の可能性を一蹴する。しかし最近ノーベル経済学賞を受賞したバーナンキ元米連邦準備制度理事会(FRB)議長は米国の利上げで来年に世界の景気がハードランディングする可能性が高く、新興市場国は資本流出によって金融危機と通貨危機の危険が大きくなっていると警告する。また、米国の利上げが来年上半期まで続き下半期も利下げがなく高金利基調が続き世界経済沈滞局面は長期化するという見通しも出ている。
韓国経済は再び危機のリスクに直面するだろうか。危機の可能性を懸念する背景は何だろうか。
まず危機は現在の経済のファンダメンタルズだけでなく未来の経済状況によっても影響を受ける。通貨危機の原因を分析した第2世代通貨危機モデルでも、現在の経済のファンダメンタルズが良好でも未来が危険な場合、期待による自己実現的危機が発生する可能性があることを強調する。これは最近の英国の場合、減税政策で未来の財政健全性悪化が懸念され為替相場が急騰するなど外国為替市場が混乱に陥ったのを見てもよくわかる。
◇輸出環境悪化し双子の赤字懸念
韓国経済は今年、貿易赤字幅は大きくなったが、年間経常収支は黒字が見込まれ、対外信用度は維持されている。しかしパーフェクトストームは押し寄せ続けている。特に来年の経済は安心できない。9月に米国のコアインフレは6.6%に高まり、FRBの利上げ基調が来年上半期まで続く可能性が大きくなったためだ。来年には米国との金利差がさらに広がり、ドル高により資本流出が加速化する恐れがある。
ここに経常収支悪化も予想される。世界の景気沈滞は輸出依存度が高い韓国経済には致命的だ。特に米国が中国を排除した新たな世界的供給網を構築して中国の対米輸出が急減すると予想される。この場合中国の成長率が鈍化し韓国の対中輸出減少で韓国の経常収支は赤字幅が大きくなる可能性がある。財政赤字に経常赤字まで双子の赤字が持続する場合、韓国経済の対外信用度は低くなり、資本流出と為替不安が大きくなりかねない。国際通貨基金(IMF)も韓国の経済成長率が今年の2.6%より来年が2.0%で鈍化すると予想する。
◇外貨準備高、1年で524億ドル減少
外貨準備高減少とウォン急落もまた危機のシグナルだ。外国為替当局は外貨準備高は十分だと強調する。しかし外貨準備高の減少幅が大きかったりあるいはウォンが急落する場合、外為市場圧力(EMP)指数はこれを危機のシグナルとみる。実際に韓国は昨年10月から今年9月までで外貨準備高が524億ドル減り、9月の1カ月だけで197億ドル減少した。ここに為替相場もまた、年初より20%以上ウォン安に振れ1ドル=1400ウォン水準を大きく上回っている。今後米国の利上げが持続する場合、ドル高でウォン安がさらに進み外為市場介入で外貨準備高はさらに減少することが懸念される。
使える政策手段が制約されるのも危険だ。韓米間の金利差を減らして資本流出を防ぎインフレを低くするために韓国銀行は金利を大幅に引き上げなければならない。しかし金利を上げる場合、国内総生産(GDP)の104%と経済協力開発機構(OECD)加盟国で最も高い割合の家計負債が不健全化し、不動産バブルが崩壊して金融危機に陥る可能性が大きい。通貨危機を避けるために金利を大幅に引き上げる場合、金融危機を懸念しなければならないジレンマに陥ることになったのだ。
景気低迷を防ぐための財政政策もまた制約されている。政府の過度な財政支出で財政健全性が悪化し財政支出を増やす余力が制限されているためだ。そのほかにも政治的不安定と北朝鮮の安保脅威も外国為替市場を不安にする。1997年の通貨危機も政権が交代し政治的に混乱した時期に発生した。今回も3月の大統領選挙後の政治的混乱は続いている。ここに最近北朝鮮の核攻撃の脅威が拡大し安保危険もまた高まっている。安保リスクが大きくなれば外為市場不安でウォンが急落する可能性がなお残る。
【コラム】韓国、今年より経済状況悪化…来年持ちこたえれば通貨危機防げる(2)
韓国経済は再び危機のリスクに直面するだろうか。危機の可能性を懸念する背景は何だろうか。
まず危機は現在の経済のファンダメンタルズだけでなく未来の経済状況によっても影響を受ける。通貨危機の原因を分析した第2世代通貨危機モデルでも、現在の経済のファンダメンタルズが良好でも未来が危険な場合、期待による自己実現的危機が発生する可能性があることを強調する。これは最近の英国の場合、減税政策で未来の財政健全性悪化が懸念され為替相場が急騰するなど外国為替市場が混乱に陥ったのを見てもよくわかる。
◇輸出環境悪化し双子の赤字懸念
韓国経済は今年、貿易赤字幅は大きくなったが、年間経常収支は黒字が見込まれ、対外信用度は維持されている。しかしパーフェクトストームは押し寄せ続けている。特に来年の経済は安心できない。9月に米国のコアインフレは6.6%に高まり、FRBの利上げ基調が来年上半期まで続く可能性が大きくなったためだ。来年には米国との金利差がさらに広がり、ドル高により資本流出が加速化する恐れがある。
ここに経常収支悪化も予想される。世界の景気沈滞は輸出依存度が高い韓国経済には致命的だ。特に米国が中国を排除した新たな世界的供給網を構築して中国の対米輸出が急減すると予想される。この場合中国の成長率が鈍化し韓国の対中輸出減少で韓国の経常収支は赤字幅が大きくなる可能性がある。財政赤字に経常赤字まで双子の赤字が持続する場合、韓国経済の対外信用度は低くなり、資本流出と為替不安が大きくなりかねない。国際通貨基金(IMF)も韓国の経済成長率が今年の2.6%より来年が2.0%で鈍化すると予想する。
◇外貨準備高、1年で524億ドル減少
外貨準備高減少とウォン急落もまた危機のシグナルだ。外国為替当局は外貨準備高は十分だと強調する。しかし外貨準備高の減少幅が大きかったりあるいはウォンが急落する場合、外為市場圧力(EMP)指数はこれを危機のシグナルとみる。実際に韓国は昨年10月から今年9月までで外貨準備高が524億ドル減り、9月の1カ月だけで197億ドル減少した。ここに為替相場もまた、年初より20%以上ウォン安に振れ1ドル=1400ウォン水準を大きく上回っている。今後米国の利上げが持続する場合、ドル高でウォン安がさらに進み外為市場介入で外貨準備高はさらに減少することが懸念される。
使える政策手段が制約されるのも危険だ。韓米間の金利差を減らして資本流出を防ぎインフレを低くするために韓国銀行は金利を大幅に引き上げなければならない。しかし金利を上げる場合、国内総生産(GDP)の104%と経済協力開発機構(OECD)加盟国で最も高い割合の家計負債が不健全化し、不動産バブルが崩壊して金融危機に陥る可能性が大きい。通貨危機を避けるために金利を大幅に引き上げる場合、金融危機を懸念しなければならないジレンマに陥ることになったのだ。
景気低迷を防ぐための財政政策もまた制約されている。政府の過度な財政支出で財政健全性が悪化し財政支出を増やす余力が制限されているためだ。そのほかにも政治的不安定と北朝鮮の安保脅威も外国為替市場を不安にする。1997年の通貨危機も政権が交代し政治的に混乱した時期に発生した。今回も3月の大統領選挙後の政治的混乱は続いている。ここに最近北朝鮮の核攻撃の脅威が拡大し安保危険もまた高まっている。安保リスクが大きくなれば外為市場不安でウォンが急落する可能性がなお残る。
【コラム】韓国、今年より経済状況悪化…来年持ちこたえれば通貨危機防げる(2)
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