ハリウッド初のアジア系女優がまた別の「初めて」の記録を立てた。今度は米国の貨幣に初めて登場するアジア人となってだ。主人公は中国系ハリウッド女優のアンナ・メイ・ウォン（１９０５～１９６１）。米造幣局は２４日から彼女の顔が刻まれた２５セント硬貨を生産するとニューヨーク・タイムズが１８日に報道した。この硬貨は３億枚以上発行される予定だ。

米造幣局は性差別を禁止した修正憲法１００周年を記念して２０２０年に通過した法律を受け、今年から２０２５年まで米国の歴史上重要な女性２０人を選定し特別硬貨を製作する。今年の主人公はウォンのほか、詩人で人権運動家のマヤ・アンジェロウ、米国初の女性宇宙飛行士人サリー・ライドなどだ。

◇学校さぼって撮影見物に行き怒られる日常


ウォンはハリウッド名声の歩道に名前を刻んだ最初のアジア系女優で、生涯を通じ人種差別と戦ってきた。ウォンは中国移民３世で、１９０５年に米ロサンゼルスでクリーニング店の娘として生まれた。ロサンゼルスに映画制作会社が集まり始めるころだった。ウォンは「学校をさぼって撮影を見物して先生と父から殴られたりもした」と後に振り返っている。

ウォンは１４歳の時に映画『紅燈祭』でエキストラとして初めて出演した後、３年後に映画『恋の睡蓮』で主役の座を獲得したが、ロマンス映画の主人公にはなれなかった。当時の法律は異なる人種同士のキスを禁止していたためだ。ウォンが演じた役はどの作品でも殺された。彼女が「１０００回は死んだ」と話したほどだ。結局限界を感じて１９２８年に欧州に進出しシェークスピア作品の大家と呼ばれる英国俳優ローレンス・オリビエと演劇の舞台で共演したりもした。

彼女がハリウッドに戻った後も障壁は相変わらずだった。１９３２年の映画『上海特急』では主人公である白人俳優マレーネ・ディートリヒが７万８１６６ドルの出演料を得ていた時彼女の出演料は６０００ドルにとどまった。彼女は１９３６年に中国大陸で中国人の人生を描いた映画『大地』に主人公の妻役にキャスティングされたが、主人公が白人俳優に確定すると人種間結婚禁止法により彼女の出演は取り消された。ウォンの代わりに出演したルイーゼ・ライナーは１９３８年にオスカー賞を受賞した。

◇名声の歩道のプレート設置１年後に死去

ウォンは１９３３年のロサンゼルス・タイムズとのインタビューで「なぜ映画の中の中国人は常に悪党なのか。私たちはそのような人ではない」と抗弁したりもした。彼女はハリウッドデビューから３０年になろうとする１９５０年に主役を演じ米国初のアジア系主演ドラマを記録した。１９６０年にはハリウッド名声の歩道にプレートが設置されたが、翌年５６歳で心臓まひにより死去した。ニューヨーク・タイムズは当時「大きくて深い目と（力強い）新女性時代スタイルでハリウッド全盛期の最も忘れられない女優」と彼女を賛えた。

２０１９年、ハリウッド名声の歩道には２人目のアジア系米国人女優のプレートが設置された。ウォンのプレートが設置されてから５９年ぶりだ。ルーシー・リュー（５４）は当時、自身の名前のすぐそばにあるウォンのプレートを見て「これからここで私たちだけの小さなチャイナタウンを始められる」と冗談を言いながら、「他の俳優のために率先してくれたウォンに感謝する」と話した。