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【コラム】韓国20代の死亡原因57%は極端的選択、孤独死は9年間で3.4倍増(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

先月自ら命を絶ったパク・スギョンさん(仮名・33)が家に残した遺品。

死には影が残る。闇の中にぽつんと置かれた遺品には亡者の最後の様子が残されている。リビングに転がる酒の瓶は現実から逃避したかった寂しさを、台所の古くなった食べ物は人生の意志がゆっくりと消えていったことを現わしている。反対に日常の生活がそのまま染み込んでいる遺品の様子は、全く準備されていなかった突然の別れを意味している。

◆遺品に含まれた死の意味

パク・スギョンさん(仮名・33)の最期がそうだった。リビングの化粧台はウェットティッシュと化粧品のように普段使っていた物が整頓整頓された状態だった。向かいの部屋の物干しラックには畳んでくれる主人を失い、固く乾燥したタオルと服類がそのままになっていた。先月16日、パクさんの遺品整理を引き受けた遺品整理会社キーパーズコリアのキム・ソクジュン代表は「故人が最後まで生きようともがいていた」とした。


--パクさんはなぜ極端的選択をしたのだろうか。

「初めて家に入ったとき、銀行の書類がたくさん見えた。年俸2000万ウォン(約209万円)で借入金だけで1億ウォンを超えていた。その近くには賃貸借契約書があった。調べてみるとチョンセ詐欺に遭ったようだ。家の至るところに、一生懸命に生きようとした痕跡が見られたが、突然の大きな衝撃がパクさんの生きる意欲を奪い取ったようだ」

--一生懸命生きようとした痕跡というのは。

「精神科の診療を継続して受けていた。医務記録があったが、父親が極端的選択をして一人取り残された後の衝撃が大きかったという。故人も同じような試みをしたことがあり、病院検査書には『自我が不安定で刺激に大きく動揺する』と記録されていた。それにもかかわらず一生懸命に仕事をして病院に通い続けて耐えていたようだ」

キム代表は日本で遺品整理の仕事を始めた2006年から亡者の旅路の荷造りを手伝っている。中でも5月に亡くなったキム・ジヨンさん(仮名・34)のことが記憶に残っていると話した。「死ぬ前にすべての遺品を前もってきちんと整理していたのです。丁寧に包装して誰に譲るのか、詳しい説明まで付けていました。死ぬ前までキムさんはずっと一人でした」。

離婚後、一人で生計を立てていたキムさんは最後の瞬間まで死を迷っていた。「ゴミ袋に途中まで書いて丸めて捨てた遺書がありました。死の前に悩んでいたということでしょう」。キム代表は遺品の間から別々に暮らしている娘に残した本と手紙を発見した。「孤独なときは詩を読めという題名でしたが、多分自分自身に言いたかったことのようです」。

また別の遺品整理会社であるエバーグリーンのキム・ヒョンソプ代表は6月に30代初めの男性の遺品を整理していて悲しみと涙がこみ上げてきたという。部屋片方にはフィギュアがところ狭しと並んでいたが、弟と同じくらいの故人が平凡に生きている同じ年頃の人たちと変わらないように見えたためだ。

キム代表は「各種告知書や債務書類が多く、空の焼酎瓶が10本ほど散らかっていた」とし「株式の本もあったが金銭的問題が原因だったようだ」と話した。あわせて「老人は病死が多く、若者は極端的選択を主にするが、ほとんどが経済的問題が原因」と話した。

◆青年孤独死の多くが極端的選択

孤独死は「社会から孤立したまま単独で死に至ること」を意味する。しかしまだ明確な集計基準がなく、正確な統計は別途ない。そのため普通は無縁故死亡者を孤独死とみなす。基本所得党のヨン・ヘイン議員が保健福祉部から受け取った資料によると、無縁故死亡者は2012年1025人から2021年3488人に急増した。

孤独死の原因を調べると、病気の比率が最も高いが、青年層に限定すれば自ら命を絶ったケースが多い。実際、先月統計庁が発表した2021年全体死亡原因統計資料によると、20代(56.8%)と30代(40.6%)の死亡原因1位は極端的選択が圧倒的だった。

ゆるやかな減少傾向にある他の年齢帯とは違い、20代の自殺率は急増している。10万人当たりの20代自殺者は2017年(16.5人)まで減ったが、2018年から増え始めて2021年23.5人にもなった。4年間で42.4%も増加したのだ。不況や就職難、新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)まで重なり、青年が崖っぷちに追い込まれた。

昨年、韓国経済研究院が発表した経済苦痛指数は青年層(15~29歳)が27.2で全年齢帯で最も高かった。これは2015年(22.2)集計以降、最も高い数値だ。反面、60代(18.8)と50代(14)、40代(11.5)は青年層に比べると安定していた。若者世代が体験する苦痛の大きさが中壮年層よりもはるかに大きいという意味だ。

20代自殺者の職業を分析した警察庁統計(2020年)によると無職者が55.3人(10万人当たり)で最も多い。次いで学生(17.5人)、遊興業などその他被雇用者(10.5人)、日雇い労働者(7.1人)、専門職(5.2人)などの順となった。職業と一定の所得がないほど自殺率が高い。

これは青年自殺が単に個人だけの問題に終わらない点を見せている。自殺を個人の逸脱ではない社会的問題でみるべきだという意味だ。このような主張を初めてしたのは19世紀イタリアの精神医学者ヘンリー・モルシャルだ。モルシャルは1879年に書いた『自殺の研究』で「自殺は決して個別的なことではなく、社会的現象として研究しなければならない」とした。

その後、フランスの社会学者エミール・デュルケームは1897年発刊した『自殺論』でさまざまな統計資料と実証研究で自殺の原因を分析した。デュルケームは自殺の類型を大きく利己的自殺と利他的自殺、アノミー的自殺に区分して共同体の統合と結束力を強調した。競争が激しく他人に無関心な社会環境が自殺率を高めるという意味だ。


【コラム】韓国20代の死亡原因57%は極端的選択、孤独死は9年間で3.4倍増(2)

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