今月８日（現地時間）に起きたクリミア大橋（ケルチ海峡大橋）爆破事件についてロシアのプーチン大統領はウクライナ特殊機関の仕業だと非難したが、ミステリーな点が多いとＢＢＣとフィナンシャルタイムズ（ＦＴ）が９日報じた。事件の背後はもとより、爆発の経緯自体も迷宮として残る可能性がある。

ロシアは、クリミア大橋の車両用橋梁を通過していたトラックから爆弾が爆発し、橋梁の一部が崩れ、近くのタンカーに火が燃え移ったとし、これがウクライナ側の仕業だと主張した。ロシア政府調査委員会のアレクサンドル・バストリキン委員長は「ウクライナ特殊機関がロシアの主要民間インフラ施設を破壊しようとする目的でこれを準備した」とし「該当トラックはブルガリア・ジョージア・アルメニア・北オセチア・クラスノダールなどを通過した。トラックを運転し、テロ行為を組織した容疑者の身元を把握した」と明らかにした。

しかしＢＢＣは爆発専門家を引用してロシアが名指したトラックは今回の爆発に関与しなかったと伝えた。ＢＢＣは映像を分析した結果、爆発はロシアが名指したトラックの後ろで発生したと付け加えた。英国陸軍に服務した爆発物専門家はＢＢＣに「これまで車両に積まれて運搬される即席爆発装置（ＩＥＤ）を多く見てきたが、今回の爆発は車両を利用した爆弾によるものとはみられない」と話した。


トラックが直接的な原因ではないが、被害を大きくしたのは事実だという分析もある。ウクライナ内務省顧問を務めたヴィクトル・アンドルーシフ氏はＦＴに「トラックに農薬など化学物質が積まれていた可能性がある」とし「このために爆発規模が大きくなっただろう」と話した。

クリミア大橋はロシアが本土とクリミア半島を結ぶために開通した長さ１９キロの橋だ。ロシアが２０１４年クリミア半島を武力併合した後の２０１６年着工され、道路橋は２０１８年、鉄道橋は２０１９年にそれぞれ開通した。道路橋開通式の翌日、プーチン大統領がオレンジ色のトラックを運転して橋を渡るイベントを演出し、「プーチンの橋」という象徴性を得た。

一部の専門家は、爆発の形態などを見ると、上板ではなく橋の下で爆発が起きたと分析した。ある専門家は「橋梁は下から上に向かう衝撃により弱い」と話した。映像を見れば、爆発数秒前にクリミア大橋を支える支持台の横で小さな船によって生じた波のように見えることが確認される。ＢＢＣは「ウクライナが海上で遠隔操縦可能な監視・打撃運送手段を備えたという根拠のある報告がある」とし「この作戦は数年にわたり開発されたもの」と伝えた。　ＦＴもウクライナ軍が数年前から橋梁爆破を研究するチームを運営してきたと報じた。

９月２１日、ロシア黒海艦隊本部が位置するクリミア半島セヴァストポリ付近では潜望鏡に似たような装置を搭載した無人ボートが発見されたりもした。当時、ロシア軍はこのボートを調査した後、海上で爆破した。

ウクライナはクリミア大橋の爆発に沈黙している。ウクライナは４月、ロシアの黒海旗艦モスクワ艦沈没事件と８月クリミア半島内の海軍飛行場爆発の時も同じ立場を示した。ＣＮＮモスクワ支局長を務めたジル・ドハティ氏は、「（プーチン大統領は）クリミア大橋に対する攻撃がロシア領土に対する攻撃であるだけでなく、自分を狙った侮辱だと受け止め、無慈悲な報復をする公算が大きい」と述べた。