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【社説】韓国最大野党の外交長官解任建議、一線を越えた

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

韓国の朴振(パク・ジン)外交部長官

韓国野党第一党の共に民主党が29日、朴振(パク・ジン)外交部長官解任建議案を単独で通過させた。国会で長官解任建議案が通過した前例は1948年の国会開院以降7回しかなく、現行の87年憲法体制の下では3回にすぎない。国政の責任を負う国務委員の解任建議は、国民の大多数が同意するほど重大な事由があるべきという点に与野党が同意してきたからだ。このように超党派的に守られてきた原則を破って民主党単独で朴長官解任建議案を上程して通過させたというのは極めて遺憾だ。

民主党が前に出す解任建議の表面的な理由は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の歴訪外交が「惨事」だったため主務部処の長官が責任を負うべきというものだ。エリザベス2世英女王の弔問をめぐる問題、バイデン米国大統領との「48秒の歓談」、岸田文雄首相との30分の略式会談および俗語をめぐる論争などを民主党は「惨事」と規定している。野党として批判することができる懸案だ。特に俗語をめぐる論争は大統領室と与党の激しい対処方式が問題を膨らませた。

しかしこうした論争が外交部長官の解任を建議するほど大きな問題という主張には同意できない。29日に訪韓したハリス米副大統領は俗語論争について「全く意に介さない」と明らかにした。岸田首相も「(尹大統領に会ってみると)日韓関係改善への意志を感じることができた」と述べたという。民主党が主張するように尹大統領の歴訪が「惨事」だったのなら、相手国の首脳からこうした反応は出てこなかっただろう。


民主党は正義党が解任建議案表決に加わらなかった事実を直視する必要がある。張恵英(チャン・ヘヨン)正義党院内首席副代表は「外交惨事は大統領が謝ることだが、外交部長官の解任を建議したことは、王子の代わりにむちで打たれる子どもを罰するようだ」とし、不参加の理由を明らかにした。続いて「今回の表決は国会だけでなく政治そのものをオールストップさせる悪い寸劇で終わるだろう」と述べた。国民の常識に正確に一致する主張ではないだろうか。

いま国は累卵の危機だ。高金利・ウォン安・物価高という3つの悪材料が国民の生活を締めつけている。こうした状況で民主党が議席数を武器に解任建議案を強行したのは、政派的な利益のために民生を無視し、外交を政争手段として利用した巨大野党の横暴という批判を避けにくい。

解任建議案が通過したが、尹大統領は拒否権を行使する可能性が高い。結局、民主党の解任建議は与野党間の対立を深めるだけだ。その被害はそのまま国民に向かう。民主党は実益も名分もない朴長官解任建議を今からでも撤回するべきだろう。尹大統領も俗語をめぐる論争について遺憾を表し、政争を決着させて国政にまい進することを望む。



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