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【コラム】ジェントル微笑で韓国電気自動車に衝撃…バイデンは「謙虚なトランプ」だった

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
「我々は未来を建設する。ここ米国で、米国人労働者と、米国企業と、米国産製品でだ」。

米ホワイトハウスのサウスローンに集まった数百人の前で米大統領がマイクを握ってこのように演説した。この大統領は誰だろうか。

「米国」と「米国人」に繰り返し言及したところから「米国を再び偉大に(MAGA)」または「米国優先主義(America First)」を主張したドナルド・トランプ前大統領を思い出すかもしれないが、この演説の主人公はジョー・バイデン現大統領だ。


バイデン大統領は13日(現地時間)、ホワイトハウスに民主党の政治家と有権者を招いて「2022年のインフレ抑制法(IRA)」立法を祝う盛大な行事を開いた。バイデン大統領はIRAについて「米国で作られる未来に関するものだ」と強調した。

IRAはバイデン大統領と民主党の大統領選挙公約と政治的アイデンティティーを集大成した法だ。庶民のための薬価引き下げ、製造業雇用創出、二酸化炭素排出削減、大企業・富裕層増税など民主党の核心アジェンダを幅広く反映させた。

バイデン大統領が演説で「この法は米国で作られた電気自動車や燃料電池自動車を購入すれば7500ドルの税金控除をする」と紹介すると、拍手が起こった。

米国・カナダ・メキシコ以外で生産された電気自動車の税制優遇除外は差別だと主張して抗議する韓国政府の立場は立ち入る隙がないような場面が演出された。

バイデン大統領は昨年1月の就任直後、世界舞台に「米国が帰ってきた」と叫びながらトランプ政権の政策との断絶を宣言したが、今までの対外・経済政策からはトランプ大統領に劣らず濃厚な保護主義カラーが見える。

昨年7月、連邦政府が公共物資を調達する場合は米国産製品を優先購入して米国産部品の比率を増やす「バイ・アメリカン(Buy American)」政策を始めたのが代表的だ。昨年11月のインフラ法案には、新規連邦インフラ建設事業に使用されるすべての鉄鋼は米国で調達されるべきだとした。

連邦政府のインフラ事業や公共調達市場に限定していた「メード・イン・アメリカ」「バイ・アメリカン」要求は、先月議会を通過して発効したIRAで「メード・イン・アメリカ」電気自動車だけに税制優遇をすることにし、民間消費市場にまで拡大した。

トランプ政権の政策を継承して今まで維持している対中国高率関税も代表的な保護貿易装置だ。大統領候補時代のバイデン氏はトランプ大統領が中国などライバルだけでなく欧州連合(EU)や韓国など同盟に賦課した関税を「無謀」「災難的」と批判したが、今でも関税を撤回していない。

トランプ大統領が離脱した多国間貿易協定の環太平洋経済連携協定(TPP)にバイデン大統領が復帰しないのも同じ例だ。バイデン大統領はその代わりに商品とサービスの市場開放を扱わないインド太平洋経済枠組み(IPEF)を創設した。

バイデン大統領の経済・通商政策は概してトランプ政権の基調を維持して米国優先主義をとっているが、異なる点があるとすればその態度だ。トランプ前大統領のトーレードマークだった短いツイートで24時間いつでも相手に屈辱感を与えるような「サプライズ」政策発表は見られなくなった。

バイデン大統領は最大限の礼儀を尽くし、与えられた制度と意思疎通チャンネルの中で公式的に手続きを踏むスタイルを見せた。これをジェームズ・バッカス元世界貿易機関(WTO)上級委員会は「謙虚な保護貿易(polite protectionism)」と呼ぶ。

バッカス元議長はケイトー研究所に掲載した政策分析報告書で、「残念ながらバイデン大統領は貿易政策で失敗したトランプ前大統領の一方主義と保護貿易主義政策をほとんど受け継いだ」とし「彼と彼の政府はトランプ大統領の誇張を除いて丁重にしているが、結果はほとんど同じ」と評価した。

米国が保護貿易とより多くの制約を加える積極的な産業政策を展開し、世界貿易機関(WTO)の監督を受ける多国間貿易体系を弱めていると批判した。

下院議員(フロリダ州)を務めた民主党員のバッカス元議長はバイデン政権の通商政策について「トランプ前大統領の『アメリカファースト』保護主義の最も鋭い部分を削ったもので、広い世界に背を向ける点は同じだが、よりソフトで洗練されたバージョンだ」と表現した。そして「柔らかい声と微笑で伝える謙虚な保護貿易主義」と定義した。

トランプ前大統領が「米国優先主義」基調で同盟とも意思疎通しながら「単独」「孤独」な保護主義の道を進んだとすれば、バイデン大統領は新型コロナで鮮明に表れた産業サプライチェーン問題への対応をきっかけに「同じ考えを持つ(like-minded)」国々が米国を中心に一つになることを提案したことも異なる点だ。

トランプ政権が国内的には「米国優先主義」を推進しながら対外的に中国を牽制する政策を始めたとすれば、国際関係に明るいバイデン政権の首脳部は米国が独自で中国の挑戦に対抗するのが難しいことを認め、同盟に手を差し出したという見方もある。

11月の中間選挙を控えてバイデン大統領の「メード・イン・アメリカ」主張はさらに強まると予想される。最近、米国各地を回って大衆演説をするたびに米国と米国人に有利な政策を展開すると声を高めている。バイデン大統領の外交・安全保障の頭脳、ジェイク・サリバン国家安全保障担当補佐官が政権の序盤から強調した「中産層のための外交」が具体化する状況だ。

ここには半導体・電気自動車・バッテリーなど先端製造業の雇用を増やし、税制優遇などで米国産を購入するように奨励する案が含まれる。中国・韓国・台湾など他国が半導体など製造業が活発なのは国家主導で産業を支援したためだとし、米国も過去のように先端産業育成を支援する産業政策を積極的に展開すると公言した。

匿名を求めた専門家は「過去の数十年間、米国の技術、韓国の製造力で相性を合わせてきた韓米経済が、ある時点には相互補完的でなくなることも考えられる」とし「韓国政府は米国の保護主義的な通商政策が長期化する状況に備える必要がある」と述べた。

パク・ヒョンヨン/ワシントン特派員



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