韓国が隣国の侵入で悲惨に荒廃した代表的な例が壬辰倭乱(文禄・慶長の役)だ。1592年だから430年前のことだ。朝鮮が開国してからちょうど200年後にあった外敵の侵入で朝鮮の人口は約30%減少し、当時の人口の約1%に相当する10万人が日本の捕虜となり、ほとんどが帰ることができなかった。
もう一つの惨事は韓国戦争(朝鮮戦争)だ。南北の軍人70万人、米軍4万人と中国共産軍20万人を含めて100万人以上の軍人と、南北合わせて200万人以上の民間人が死亡・行方不明で犠牲になった第2次世界大戦以降の最大の戦争だった。
韓国戦争は同族間の争いの内戦といわれるが、韓国側には米軍をはじめ16カ国で構成された国連軍、北朝鮮側には中国・ソ連などが参戦した国際戦だった。壬辰倭乱も日本と朝鮮の間の戦争ではなく、100年間の戦国時代を終えて日本を統一した豊臣秀吉が傾く明国を侵攻しようという野心がもたらした国際戦だった。
米国、中国、日本、ロシアに囲まれた韓半島(朝鮮半島)の地政学的運命はいつもこのように風前の灯火のようだ。旧ソ連を牽制するために全世界の生産基地になるよう中国を支援した米国が、今では中国を再び牽制する戦略的変化を進めている。20年間ほど中国の市場開放と投資を積極的に支援し、中国の留学生と技術人材を優待した基調が、今は急激に変わっている。米国、日本、オーストラリア、インドが参加するクアッド軍事同盟と、韓国、米国、日本、台湾が参加する半導体技術チップ4同盟を結成し、中国に対する牽制を強めている。
一方、、中国はナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問をきっかけに米国と台湾に激しい反応を見せ、台湾上空を通過するミサイル示威までしている。2日には東海(トンヘ、日本名・日本海)北部の極東海域でロシアの「ボストーク(東方)2022」に参加し、中露合同軍事訓練を敢行した。韓日米と中露朝が新冷戦体制を構築する局面だ。
グレアム・アリソンの著書『米中戦争前夜(Destined for War)』に見られるように、新興勢力の中国と既存勢力の米国がトゥキディデスの罠にかかれば戦争の可能性も排除できない。この場合、戦場は米国や中国の本土でなく台湾をはじめとする南シナ海や韓半島になる可能性が高い。実際に戦争が起きなくても、技術と貿易をめぐる米国と中国の韓国に対する圧力は前例なく強まるはずだ。特に習近平主席が来月の第20回中国共産党全国代表大会で初めて3期目を実現させ、毛沢東以来の最高権力者として登場すれば、「中国の夢」を前に出して強硬的な姿勢を見せる可能性が高い。そうなれば米中の対立は激化し、その間に挟まれて選択を強要される韓国は深刻な外交ジレンマに陥るだろう。
昨年1月当時、ウクライナ外相はロシアの侵攻はあり得ないと公言した。しかし今は残酷な戦争でウクライナは廃虚になっている。第2次世界大戦後に続いた世界平和が崩れて力の論理で新しい国際秩序がうごめいていているが、韓国の政治指導者は今どんな考えで政治をしているのか。与野党は次の総選挙や大統領選挙ばかりを考える時なのか。民生を良くするという名分でポピュリズム国内政治だけをして地政学的危機は度外視してもいいのか。メディアはなぜ幼稚な国内政界の泥仕合ばかりを連日主要ニュースで報道するのか。なぜ1700万人が観覧した映画『鳴梁(ミョンリャン)』が歴代観客動員1位、1400万人の『国際市場で逢いましょう』が4位、最近上映された『閑山:龍の出現』がすでに700万人以上を集めたのか考えないのか。
【コラム】地政学的危機と政治指導者=韓国(2)
もう一つの惨事は韓国戦争(朝鮮戦争)だ。南北の軍人70万人、米軍4万人と中国共産軍20万人を含めて100万人以上の軍人と、南北合わせて200万人以上の民間人が死亡・行方不明で犠牲になった第2次世界大戦以降の最大の戦争だった。
韓国戦争は同族間の争いの内戦といわれるが、韓国側には米軍をはじめ16カ国で構成された国連軍、北朝鮮側には中国・ソ連などが参戦した国際戦だった。壬辰倭乱も日本と朝鮮の間の戦争ではなく、100年間の戦国時代を終えて日本を統一した豊臣秀吉が傾く明国を侵攻しようという野心がもたらした国際戦だった。
米国、中国、日本、ロシアに囲まれた韓半島(朝鮮半島)の地政学的運命はいつもこのように風前の灯火のようだ。旧ソ連を牽制するために全世界の生産基地になるよう中国を支援した米国が、今では中国を再び牽制する戦略的変化を進めている。20年間ほど中国の市場開放と投資を積極的に支援し、中国の留学生と技術人材を優待した基調が、今は急激に変わっている。米国、日本、オーストラリア、インドが参加するクアッド軍事同盟と、韓国、米国、日本、台湾が参加する半導体技術チップ4同盟を結成し、中国に対する牽制を強めている。
一方、、中国はナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問をきっかけに米国と台湾に激しい反応を見せ、台湾上空を通過するミサイル示威までしている。2日には東海(トンヘ、日本名・日本海)北部の極東海域でロシアの「ボストーク(東方)2022」に参加し、中露合同軍事訓練を敢行した。韓日米と中露朝が新冷戦体制を構築する局面だ。
グレアム・アリソンの著書『米中戦争前夜(Destined for War)』に見られるように、新興勢力の中国と既存勢力の米国がトゥキディデスの罠にかかれば戦争の可能性も排除できない。この場合、戦場は米国や中国の本土でなく台湾をはじめとする南シナ海や韓半島になる可能性が高い。実際に戦争が起きなくても、技術と貿易をめぐる米国と中国の韓国に対する圧力は前例なく強まるはずだ。特に習近平主席が来月の第20回中国共産党全国代表大会で初めて3期目を実現させ、毛沢東以来の最高権力者として登場すれば、「中国の夢」を前に出して強硬的な姿勢を見せる可能性が高い。そうなれば米中の対立は激化し、その間に挟まれて選択を強要される韓国は深刻な外交ジレンマに陥るだろう。
昨年1月当時、ウクライナ外相はロシアの侵攻はあり得ないと公言した。しかし今は残酷な戦争でウクライナは廃虚になっている。第2次世界大戦後に続いた世界平和が崩れて力の論理で新しい国際秩序がうごめいていているが、韓国の政治指導者は今どんな考えで政治をしているのか。与野党は次の総選挙や大統領選挙ばかりを考える時なのか。民生を良くするという名分でポピュリズム国内政治だけをして地政学的危機は度外視してもいいのか。メディアはなぜ幼稚な国内政界の泥仕合ばかりを連日主要ニュースで報道するのか。なぜ1700万人が観覧した映画『鳴梁(ミョンリャン)』が歴代観客動員1位、1400万人の『国際市場で逢いましょう』が4位、最近上映された『閑山:龍の出現』がすでに700万人以上を集めたのか考えないのか。
【コラム】地政学的危機と政治指導者=韓国(2)
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