ウォン
また「一度の(物価指標)改善だけで物価上昇率が落ち着いたと確信するには大きく不足する」「立ち止まったり休んだりする時ではない」などの強硬発言をし、緊縮緩和の動きを期待した市場に衝撃を与えた。8分間の演説は市場の雰囲気を一変させた。米ドルに対して世界各国の通貨は急落し、株式市場も大幅に下落した。パウエル議長の演説から1週間で全世界の株式時価総額は約5兆ドル(約6800兆ウォン、約700兆円)減少した。
最近、世界各国は物価の高騰を抑えようと注力している。韓国の消費者物価上昇率は1月の3.6%から7月には6.3%に急騰した。8月には原油価格下落の影響で5.7%とやや低下したが、まだ不安定な状況が続いている。今年1-8月の物価上昇率は前年同期比5.0%にのぼる。韓国銀行(韓銀)は先月発表した修正経済見通しで今年の消費者物価上昇率を5.2%と提示した。年間予測値として1998年(9.0%)以降最も高い。
米国も6月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比9.1%上昇し、1981年11月以降の最大水準となり、7月には8.5%と小幅低下した。欧州はさらに深刻だ。ウクライナ侵攻で欧州の制裁を受けたロシアが報復性で欧州向け天然ガスのバルブを閉めているからだ。8月のドイツの物価は前年同月比で7.9%上昇した。第1次オイルショック当時の1973年以来49年ぶりの最高水準だ。
各国は新型コロナの影響による景気沈滞を憂慮し、その間、大規模な金融緩和をした。世界各地に大量の通貨が供給されたため物価が上がり始め、ロシアーウクライナ戦争が始まって原油価格・穀物価格が急騰した。さらにドル高が物価上昇に油を注ぐ形になった。物価への対応に追われるFRBが急いで政策金利を引き上げると、ドル高が急激に進んだ。
ブルームバーグ通信が米ドルに対する主要31通貨の騰落率を集計したところ、韓国ウォンは今年に入って今月2日まで下落幅が8番目に大きかった。下落幅が大きい国のうちトルコとアルゼンチンは経済危機状況であり、ハンガリー・ポーランドはウクライナ戦争でエネルギー危機を迎えているため、事実上、韓国ウォンは主要国のうち日本、スウェーデン、英国に次いで4番目に下落幅が大きいということだ。年初(1月3日)は1ドル=1191.8ウォンだったが、今月5日には1ドル=1371.4ウォンと、15%ほどウォン安ドル高が進んだ。原材料を輸入して加工後に輸出する韓国のような国は為替レートの変動性が大きい。
【コラム】ウォン安ドル高で苦痛を受ける弱者=韓国(2)
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