こうしたマクロ経済指標を根拠に韓国政府は経済危機論に線を引いている。この日国会予算決算特別委員会に出席した秋慶鎬(チュ・ギョンホ)副首相兼企画財政部長官は「国際機関や米国など主要国で韓国を評価する際、外国為替健全性にも問題はなく十分な外貨準備高もあるので大丈夫だ(と評価する)。貿易収支赤字が経常収支赤字を増幅させた通貨危機の時とは違う」と強調した。
だが過去の危機とは様相が違い、マクロ健全性指標が良好だという理由で生半可に安心する状況ではない。同じ形態の経済危機が繰り返されたことは一度もないからだ。韓国経済を冷え込ませた1970~80年代のオイルショック、1990年代後半の通貨危機、2000年代後半の金融危機のいずれも違った。原因、衝撃の強さと範囲、回復期間はまちまちだった。
通貨危機は韓国を含むアジアの一部の国の問題であり、金融危機は米国内部の不動産・金融不良が震源だった。今回は違う。コロナ禍の影響、サプライチェーン不安、ロシア・ウクライナ戦争、記録的日照りなどのさまざまなリスク変数が一気に押し寄せた。欧州、日本、中国など先進国と新興国を分かたず影響圏にある。
韓国ももちろんだ。1998年以降で最も高い5%台の消費者物価上昇率を記録すると予想されるなど嵐の真ん中にいる。政府の警戒感も以前より一層高まった。パン次官はこの日の会議で「最近韓国の金融市場が米国など主要国の金融市場との同調化が深まった側面があるため当面は市場状況に対する注意深いモニタリングと対応が必要だ」と強調した。
市場専門家はウォン相場が当分ウォン安傾向を見せると予想した。キウム証券のキム・ユミ研究委員は「FRBの高強度緊縮とユーロ安でドル高要因がしばらく続くだろう。ドル高がウォン安圧迫要因として作用し、一次的にウォン相場は1ドル=1370ウォン水準まで進む恐れがある」と予想する。新韓銀行エコノミストのペク・ソクヒョン氏もやはり「ドル高に欧州のエネルギー危機や中国発の不動産景気沈滞の懸念など各種変数が重なれば年末にウォン相場は下段基準として1ドル=1400ウォン水準まで近接するかもしれない」と話した。
多くの専門家は為替相場そのものよりは景気鈍化に弱い輸出中心の韓国経済、通貨危機・金融危機当時より大きく増えた家計負債などが根本的問題だと指摘する。成均館(ソンギュングァン)大学経済学科のキム・ギョンス名誉教授は「最近の外貨流動性指標を見ると現在のウォン急落は以前の危機の時のようなドル不足など流動性問題に起因したものではない。金利を逆に下げている日本の円を除きウォンが主要国の通貨で最も大きく下落しているが、輸出依存度が高い韓国が米国の緊縮による成長鈍化リスクに最も大きくさらされているという対外認識のため」と分析した。
キム教授は続けて「現在韓国銀行は米国FRBに沿って金利を上げるほかないが、外国為替市場安定には寄与するかも知れないが家計負債償還リスクが大きくなることがより深刻な問題になるだろう」と診断した。
1ドル=1350ウォンも崩れ…底がわからないのがもっと恐ろしい(1)
だが過去の危機とは様相が違い、マクロ健全性指標が良好だという理由で生半可に安心する状況ではない。同じ形態の経済危機が繰り返されたことは一度もないからだ。韓国経済を冷え込ませた1970~80年代のオイルショック、1990年代後半の通貨危機、2000年代後半の金融危機のいずれも違った。原因、衝撃の強さと範囲、回復期間はまちまちだった。
通貨危機は韓国を含むアジアの一部の国の問題であり、金融危機は米国内部の不動産・金融不良が震源だった。今回は違う。コロナ禍の影響、サプライチェーン不安、ロシア・ウクライナ戦争、記録的日照りなどのさまざまなリスク変数が一気に押し寄せた。欧州、日本、中国など先進国と新興国を分かたず影響圏にある。
韓国ももちろんだ。1998年以降で最も高い5%台の消費者物価上昇率を記録すると予想されるなど嵐の真ん中にいる。政府の警戒感も以前より一層高まった。パン次官はこの日の会議で「最近韓国の金融市場が米国など主要国の金融市場との同調化が深まった側面があるため当面は市場状況に対する注意深いモニタリングと対応が必要だ」と強調した。
市場専門家はウォン相場が当分ウォン安傾向を見せると予想した。キウム証券のキム・ユミ研究委員は「FRBの高強度緊縮とユーロ安でドル高要因がしばらく続くだろう。ドル高がウォン安圧迫要因として作用し、一次的にウォン相場は1ドル=1370ウォン水準まで進む恐れがある」と予想する。新韓銀行エコノミストのペク・ソクヒョン氏もやはり「ドル高に欧州のエネルギー危機や中国発の不動産景気沈滞の懸念など各種変数が重なれば年末にウォン相場は下段基準として1ドル=1400ウォン水準まで近接するかもしれない」と話した。
多くの専門家は為替相場そのものよりは景気鈍化に弱い輸出中心の韓国経済、通貨危機・金融危機当時より大きく増えた家計負債などが根本的問題だと指摘する。成均館(ソンギュングァン)大学経済学科のキム・ギョンス名誉教授は「最近の外貨流動性指標を見ると現在のウォン急落は以前の危機の時のようなドル不足など流動性問題に起因したものではない。金利を逆に下げている日本の円を除きウォンが主要国の通貨で最も大きく下落しているが、輸出依存度が高い韓国が米国の緊縮による成長鈍化リスクに最も大きくさらされているという対外認識のため」と分析した。
キム教授は続けて「現在韓国銀行は米国FRBに沿って金利を上げるほかないが、外国為替市場安定には寄与するかも知れないが家計負債償還リスクが大きくなることがより深刻な問題になるだろう」と診断した。
1ドル=1350ウォンも崩れ…底がわからないのがもっと恐ろしい(1)
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