要するに欧州はロシアと中国経済の泥沼にはまって身動きできなくなっている局面だ。ロシアにパイプラインをつなげて脱原発に出たのが最悪の悪手だったし、中国市場に依存して成長した結果袋小路に追い込まれている。それでもドイツは製造業があるが、他の欧州の国にはこれといった製造業だけでなく、グローバルプラットフォームとテック企業を見つけることはできない。日本経済新聞は、金利を上げれば通貨安の速度を防げるだろうが、イタリアやギリシャなど財政難に陥っている南欧諸国のためにそうすることもできない状況だと分析した。
◇競争力落ちた円、面目失う
日本円も状況は変わらない。一時1ドル=100円を下回るほど価値が高まった円は今年に入り140円に迫るほど面目を失った。ドーンブッシュ教授の為替相場理論の通りならば円安は「失われた30年」の現実を如実に反映していることになる。韓国と比較しても円は安い。2008年の金融危機当時100円=1600ウォンまで円高となっていた為替相場はいまは900ウォン台後半にとどまっている。ドーンブッシュ教授の為替相場理論がそのまま合致するケースだ。物価と為替相場を反映した購買力平価(PPP)基準の1人当たり国内総生産(GDP)はすでに2018年に韓国が4万3001ドルで日本の4万2725ドルを追い越した。2027年には1人当たり名目GDPそのものが日本を上回るだろうという見通しも出ている。
こうした点で最近の円安は一時的なものにとどまらない可能性が大きい。何より世界経済が揺れるたびにドルとともに円に資金が集まっていた円高が痕跡をなくした。欧州と同じように日本経済の競争力を反映しているという分析が多い。日本企業は基本技術ではリードしているが、米国のシリコンバレーで起きるように革新に成功した企業はほとんど見つからない。しかも日本企業は円高を避けて海外に工場を大挙移したために円安になっても輸出増大効果を上げられずにいる。
◇ひとまず利上げ止まる時まで持ちこたえなくては
ウォン相場は1ドル=1345ウォンまで急落している。ドーンブッシュ教授の理論通りならば韓国も日本、ドイツ、英国のように競争力の試験台を避けることはできない。今年に入って5カ月連続で増えている貿易赤字を減らすことができなければドル高の台風を避けるのは難しくなる。ブルームバーグは「当分はドルの独走を防ぐ経済的変数はないだろう」とした。インフレ鎮火に向け今年から始まった利上げが来年も続く可能性が大きいためだ。米連邦準備制度理事会(FRB)の専門家らは2024年に入ってこそ利上げの動きが止まるとみている。
強いドルは米国の公式な対外通貨政策だ。米国は1992年のクリントン政権以降、基軸通貨としての地位と通貨覇権のため強いドル政策を行ってきた。だがドルは実際には徐々に力を失っていった。中国経済の急浮上で米国経済が以前ほどではなくドルの力も弱まった。特にロシアのウクライナ侵攻はドル覇権に穴があけられる契機を作った。ロシアと中国が密着してドルを排除したまま人民元とルーブルで貿易代金を決済する割合を増やしてだ。ここにインドまでロシア側に立てばドルがなくてもこれら3カ国の間では何の問題もないようにみえる。ドル中心の国際送金システムのSWIFTからロシアを排除したが、ロシアが持ちこたえている理由もここにある。
だがこれらの国を除けばドルの力はさらに強大になっている。ドルに対する世界的な需要は2015年以降7年ぶりに最も強まっている。こうしたアイロニーは戦争や金融危機で経済が厳しくなると急増するドル需要のためだ。ロシアが2014年のクリミア半島侵攻後に米国の制裁を受けた時もドル不足のためこれといった抵抗ができなかった。だがウクライナ侵攻前にはドルを確保していた。中国の規模が大きくなり米国の力は以前ほどではないがドルの威力は相変わらずだという話だ。
キム・ドンホ/論説委員
【コラム】当分はドル高の流れ折る通貨はどこにもない(1)
◇競争力落ちた円、面目失う
日本円も状況は変わらない。一時1ドル=100円を下回るほど価値が高まった円は今年に入り140円に迫るほど面目を失った。ドーンブッシュ教授の為替相場理論の通りならば円安は「失われた30年」の現実を如実に反映していることになる。韓国と比較しても円は安い。2008年の金融危機当時100円=1600ウォンまで円高となっていた為替相場はいまは900ウォン台後半にとどまっている。ドーンブッシュ教授の為替相場理論がそのまま合致するケースだ。物価と為替相場を反映した購買力平価(PPP)基準の1人当たり国内総生産(GDP)はすでに2018年に韓国が4万3001ドルで日本の4万2725ドルを追い越した。2027年には1人当たり名目GDPそのものが日本を上回るだろうという見通しも出ている。
こうした点で最近の円安は一時的なものにとどまらない可能性が大きい。何より世界経済が揺れるたびにドルとともに円に資金が集まっていた円高が痕跡をなくした。欧州と同じように日本経済の競争力を反映しているという分析が多い。日本企業は基本技術ではリードしているが、米国のシリコンバレーで起きるように革新に成功した企業はほとんど見つからない。しかも日本企業は円高を避けて海外に工場を大挙移したために円安になっても輸出増大効果を上げられずにいる。
◇ひとまず利上げ止まる時まで持ちこたえなくては
ウォン相場は1ドル=1345ウォンまで急落している。ドーンブッシュ教授の理論通りならば韓国も日本、ドイツ、英国のように競争力の試験台を避けることはできない。今年に入って5カ月連続で増えている貿易赤字を減らすことができなければドル高の台風を避けるのは難しくなる。ブルームバーグは「当分はドルの独走を防ぐ経済的変数はないだろう」とした。インフレ鎮火に向け今年から始まった利上げが来年も続く可能性が大きいためだ。米連邦準備制度理事会(FRB)の専門家らは2024年に入ってこそ利上げの動きが止まるとみている。
強いドルは米国の公式な対外通貨政策だ。米国は1992年のクリントン政権以降、基軸通貨としての地位と通貨覇権のため強いドル政策を行ってきた。だがドルは実際には徐々に力を失っていった。中国経済の急浮上で米国経済が以前ほどではなくドルの力も弱まった。特にロシアのウクライナ侵攻はドル覇権に穴があけられる契機を作った。ロシアと中国が密着してドルを排除したまま人民元とルーブルで貿易代金を決済する割合を増やしてだ。ここにインドまでロシア側に立てばドルがなくてもこれら3カ国の間では何の問題もないようにみえる。ドル中心の国際送金システムのSWIFTからロシアを排除したが、ロシアが持ちこたえている理由もここにある。
だがこれらの国を除けばドルの力はさらに強大になっている。ドルに対する世界的な需要は2015年以降7年ぶりに最も強まっている。こうしたアイロニーは戦争や金融危機で経済が厳しくなると急増するドル需要のためだ。ロシアが2014年のクリミア半島侵攻後に米国の制裁を受けた時もドル不足のためこれといった抵抗ができなかった。だがウクライナ侵攻前にはドルを確保していた。中国の規模が大きくなり米国の力は以前ほどではないがドルの威力は相変わらずだという話だ。
キム・ドンホ/論説委員
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