韓国流通・ファッション企業が中国内需事業を次々と整理している。ロッテは中国に一つだけ残っていたデパートを整理中で、化粧品・ファッション企業も一つ二つと現地から撤退している。

◆「ＴＨＡＡＤ（高高度防衛ミサイル）報復措置の余波、依然と」

１８日、ロッテショッピングは先月の理事会で中国成都のデパート株式の売却を決議したと明らかにした。ロッテ成都店は過去に中国でデパート５カ所を運営していたロッテにとって、現在残っている唯一の店舗だ。


ロッテ百貨店は２００８年中国市場に進出してから、天津や威海、成都、宣揚などに支店を置き、販売網を広げた。しかし２０１７年に始まった中国のＴＨＡＡＤ報復措置で事業は困難に直面し、その後店舗を整理してきた。

上海にあるロッテ中国ヘッドクォーター（ＨＱ）法人の清算も最終段階に来ている。ここは中国に進出したロッテ系列会社をサポートしてきた法人だ。ロッテ関係者は「法人事務室もなく、人材も撤収した状態」と話した。

◆「ゼロコロナ政策も悪材料」

アモーレパシフィックも中国事業を縮小している。同社が運営するエチュード・ハウス（Ｅｔｕｄｅ　Ｈｏｕｓｅ）は昨年中国市場にあるすべてのオフラインショップをたたみ、ヘラ（ＨＥＲＡ）も撤退した。イニスフリー（ｉｎｎｉｓｆｒｅｅ）は２８０軒あった中国内の店舗のうち半分を年内に撤収することにした。

実績も下落傾向だ。アモーレパシフィックが最近発表した４－６月期の実績によると、中国事業の売上は前年同期に比べて５０％以上減った。ゼロコロナ政策により上海など主要都市の封鎖措置で、生産・物流および店舗運営が制限された影響が大きかった。地元ブランドの躍進や中国の若年層を中心に吹いている「国潮（愛国消費）」ブームも原因に挙げられる。

ファッションブランド「ベーシックハウス（ＢＡＳＩＣ　ＨＯＵＳＥ）」「マインドブリッジ（Ｍｉｎｄ　Ｂｒｉｄｇｅ）」などを保有しているＴＢＨグローバルも今年に入って中国内の法人と商標権を中国現地企業に売却した。同社関係者は「一時中国内に１７００店舗を運営していたが、ＴＨＡＡＤ、新型コロナウイルス感染症（新型肺炎）などを経て結局整理した」と話した。

◆中国進出企業５５．３％「事業の縮小・中断を考慮」

このように中国での事業を縮小あるいは中断する企業はさらに増える見通しだ。韓国貿易協会上海支部が今年６月に中国に進出した企業１７７社を対象に調査したところ、５５．３％は今後中国事業の縮小・中断・撤退・移転などを考慮していると明らかにした。回答企業のうち９７．４％は今年上半期に売上が減少したとし、９５．５％は売上減少が今年下半期まで続くだろうと予想した。

対中輸出の実績も良くない。貿易協会国際貿易通商研究院はこの日、報告書「最近の対中国貿易収支赤字の診断」を通じて「愛国主義志向を帯びている中国の２０～３０代を中心に自国産の消費が拡散し、中国への化粧品輸出が１１年ぶりに減少に転じた」と明らかにした。特に輸出の８５％を占める基礎化粧品の輸出が２０．６％急減した。

◆「新しい生存戦略の模索を」

中国での事業を縮小したり中国から撤退する企業は他の国家への事業拡張を摸索中だ。ロッテショッピング関係者は「中国での事業はたたんでも、インドネシア・ベトナムなど東南アジア事業は拡大する予定」と話した。ロッテショッピングは半期報告書で「成長の可能性が高い東南アジア地域を中心に、買収合併（Ｍ＆Ａ）とあわせて新規出店を並行して推進中」と明らかにした。ＴＢＨも東南アジア市場への進出を加速する考えだ。

アモーレパシフィックは北米と欧州市場に注目している。北米市場は４－６月期売上が昨年同期比６６％増えた。「雪花秀」など主要ブランドがアマゾンなどｅコマースチャネルに入店して好実績をあげた。欧州でも「ラネージュ（Ｌａｎｅｉｇｅ）」のオンラインチャネルの多角化などを通して売上が１５％伸びた。

企業が既存の戦略を転換しなくてはならないという分析もある。大韓貿易投資振興公社（ＫＯＴＲＡ）瀋陽貿易館はＫビューティーに関連して「韓国企業も激変する中国市場で現住所を冷静に診断して、新たな生存戦略を模索しなければならない時点」と話した。貿易協会のホン・ジサン研究委員は「現地の環境変化に弾力的に対応できるオーダーメード型輸出マーケティング戦略を強化しなければならない」と助言した。