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【コラム】よみがえるTHAADの悪夢=韓国

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

2017年3月、中国浙江市のロッテマートが中国政府の営業停止措置で廃業した様子。[中央フォト]

中国外交部が10日、THAAD(高高度ミサイル防衛システム)に関して、「韓国政府が(過去に)対外的に三不・一限政策を宣誓した」と主張した。「一限」とは、すでに配備されたTHAAD運用に制限を設けるという意味だ。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政府発足後に始まったTHAAD正常化措置の中断を露骨に要求したものだ。

THAADの配備と運用は主権に関わる問題のため、絶対に中国政府の要求に押されることはできない事案だ。韓国政府も10日に続き11日、THAADは協議対象ではないという強力なメッセージを出した。しかし、韓国企業にとって「THAAD」という単語は言及するだけで悪夢であり恐怖だ。中国市場で韓国製品の占有率と影響力が大幅に減った決定的な契機が、THAADの韓国配備にともなう中国の報復だったためだ。

2017年を振り返ってみよう。THAAD配備に尚州(サンジュ)のゴルフ場敷地を提供したロッテは、全方位的な圧迫を受けた。消費者のデモ、製品の納品拒否、さらに発電施設の押収、店舗閉鎖のような措置まで続いた。踏ん張り続けたロッテは、結局、中国に投資した資産の大半を安値で売却し、身一つで出て来なければならなかった。


また、THAAD報復前の中国市場シェアが10%を超え、外資系トップ3に入っていたヒョンデ(現代自動車)と起亜(キア)自動車はどうだろうか。納品業者を現地企業に変えることを要求したかと思えば、消費者不買運動に、巧妙な営業妨害まで続いた。この時始まったシェア下落は続き、昨年2.7%まで落ち込んだ。今年は1%台に下がるという見方も出ている。

韓国のゲーム会社は中国市場でサービスできる免許を全く発給されておらず、韓国のドラマ・映画は中国のテレビや映画館では見られなくなった。当時、ヒョンデの高位関係者は「両国の合弁会社にまで露骨に圧力をかける中国市場になぜこだわり続けなければならないのですか」という筆者の質問にこのように答えた。「トップティアグローバル完成車メーカーを目指すと言いながら、どうやって世界最大の中国自動車市場を諦めるのですか」

この言葉は、韓国企業があらゆる圧迫と妨害にもかかわらず、これまで中国市場攻略を止められなかった理由を一言で表現している。このような一連の報復措置は驚くほど一糸乱れず行われたが、中国政府はこれを撤回してほしいという韓国企業と政府の再三の要求に対し、一度も政府レベルで報復措置を認めていない。

5年が過ぎた今、未だ中国は韓国企業にとって最大の輸出市場だ。輸出額全体で中国が占める割合は23.4%(5月基準)で、海外の全ての国で1位だ。しかし、これまでの輸出畑の役割はもはや期待できなくなった。いや、中国輸出があまりにも急速に減っているのに、中国ほどの代替市場をまだ見つけられずにいることを韓国貿易の根本的危機原因と見る見方が大多数だ。対中輸出は5月から減少に転じ、4カ月連続で対中貿易収支赤字が有力だ。

細かく調べると、その原因は一層残念だ。5年前、露骨な中国政府の報復に押され始めた中国市場シェアの下落は、もはや他人のせいにできない立場になった。恐ろしい勢いで浮上している中国企業の製品競争力やブランドパワーのため、韓国製品が低迷しているからだ。

これは一時、中国市場を牛耳っていた韓国化粧品メーカーの処遇を見れば分かる。6月、中国オンライン商取引業者の京東(JD)ドットコムが開催した中国の上半期最大ショッピングイベント「618ショッピングフェスティバル」で韓国化粧品は1社も10位圏内に入ることができなかった。輸出企業は米国が日本・台湾と合同のチップ4(4カ国半導体サプライチェーン協議体)に参加することを要求したことから、ただでさえ中国政府が報復に出るのではないかと懸念している局面だった。THAAD配備の時のような報復が現実化するならば、ただでさえ脆弱になった中国市場での韓国製品の競争力がさらに崩れることは火を見るより明らかだ。

台湾を見れば示唆点が見える。ペロシ米下院議長の訪台をきっかけに、中国は台湾を全方位から圧迫しているところだが、台湾のハイテク製品の中国輸出には全く手をつけられずにいる。自分達にとって必ず必要な製品だからだ。中国ハイテク市場で台湾製品は25.2%の割合を占め、韓国(15.9%)と日本(7.2%)を大差で抑えている(2021年基準)。

中国の報復の時も、中国政府と民間が一斉に打撃を加えた韓国製品は、中国と韓国が熾烈な競争を繰り広げている分野だった。このため、中国が切り捨てたがらない、中国にとって必ず必要だから下手に扱えない製品を作って売らなければならないという点が明らかになる。もちろん、一朝一夕でできることではないということに韓国経済の悩みがある。

チェ・ジヨン/経済エディター



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