「おばあちゃん、病院で散歩でもしながらごはんも食べて健康に気をつけて。心配しないで楽にしていてね!」
8日午後、記録的な豪雨でソウル・新林洞(シンリムドン)の半地下住宅で惨事に巻き込まれたAさん(13)が病院に入院した祖母に残した最後のメッセージだ。祖母イさん(72)はその日午前に組織検査のため大学病院に入院して難を逃れたが、イさんを病院に見送って帰ってきたイさんの長女Bさん(48)、二女Cさん(47)と孫娘のAさんは突然家に押し寄せた水を避けられなかった。外資系アパレル流通会社の労組専従者として働いたCさんが生計の柱となりダウン症の姉Bさんまで世話しながら暮らしてきた家族だった。
イさんは「二女が私の病院日程に合わせ、よりによってこの日に休暇を取った。病院に入院さえしなければこの子は(会社にいて)生きられたはずなのに、私は母親でもない」と自分を責めた。
◇二女8時53分まで知人と通話
イさんが聞いた二女Cさんの最後の声は夜8時37分にかかってきた電話越しの「水で(開いていた)玄関ドアが閉まったが水圧で開かない」という涙声だった。Cさんは8時43分と8時53分に親しい友人のキムさんに「119番につながらない」として助けを求めた。この時間帯に119番は500件以上の通報が集中しつながりにくくなった。最後の通話でキムさんが「私もここで(119番に)電話するからあなたもかけ続けなさい」と話す間に電話に雑音が入り始め、「オンニ(お姉さん)…」というCさんの声を最後に電話は切れた。その後キムさんは「119番に住所を伝えたので待ちなさい」とメッセージを送ったが、既読にはならなかった。キムさんは「数回電話をかけたがその後はつながらなかった」と話した。
◇生き残った母「1カ月前にかわいく模様替えした家」「嘘みたいだ」
1日で2人の娘と孫娘を失ったイさんは嗚咽しながら「すべてが嘘みたいだ」と吐露した。経済的に余裕ははなくても和やかな家族だった。イさんは「二女は障害のある姉を毎日入浴させながら一度もかんしゃくを起こさなかった。休みの日には姉と娘を連れて出かけるやさしい娘だった」と話した。
事故が起きる1カ月前にCさんは娘と姉の部屋の模様替えをしたという。小学校6年生になった娘に机を新たに買って姉の部屋にもベッドを新しく入れた。イさんは携帯電話を取り出しきれいに整理された部屋の様子を写した写真を見せた。イさんは「部屋がかわいくなったとこうして写真も撮ったのに…」と言葉を続けることができなかった。
◇7年前に引っ越し、4人家族で仲良く暮らした半地下
イさん家族は7年前にこの半地下の家を安住の地に選んだ。イさんは「使ったビニール袋まで洗って再使用しながら貯めたお金で初めて整えた家だった」と話した。道林川(トリムチョン)の近くは低地帯で水害に弱い地域だったが、彼らにとって「半地下」は危険ではなく少ない金額で3部屋の家を確保する機会に見えたという。その上長女が通える福祉センターが近かった。イさんは「引っ越してきた時にはこんなことが起きるとは夢にも思わなかった」と話した。
記録的豪雨で降った雨水は道路に沿って低地帯のマンション駐車場に押し寄せ、この家の出入口をふさいだまま家の中にも入ってきた。病床で1日中号泣したイさんは「私は他人に大きく施しを与えてられなくても、借金をしたり迷惑をかけて暮らしてはいない。家族がなぜこんな目に遭わなければならないのか」としてまた泣いた。
◇繰り返される半地下浸水…「住宅環境改善が切実」
道林川周辺の半地下住宅は夏を迎えるたびに浸水の危険にさらされてきた。2001年7月には豪雨により道林川の支流が氾濫し、浸水により6人が死亡したほか、流れてきた車がガスボンベに突っ込んで発生した火災により3人が死亡した。この時も被害者の大部分が半地下居住者だった。2010年の人口住宅総調査によると、イさん家族が住む新林4洞は世帯の22%ほどが半地下住宅に住んでいる。
「韓国の(半)地下住宅の社会的表象と居住者のアイデンティティ研究」という論文を書いた社会学研究者のチャン・ジンボムさんは「水害が起きると半地下住宅をなくすべきという政策が出てきたりする。それでもむやみになくせば彼らは狭小部屋を選択するほかないのが現実」と指摘した。チャンさんは「まず住宅環境改善に向け半地下世帯に対する全数実態調査が必要だ」と話した。
国土交通部が2020年6月に発表した「2019年住宅実態調査結果」によると、地下・半地下・屋根部屋に住む世帯は26万5000世帯で全体の1.3%だ。同年に映画『パラサイト』が国際映画祭で話題になると、国土交通部は半地下世帯の住宅環境に対する全数実態調査をする計画を立てたりもしたが、新型コロナウイルスが拡散すると訪問調査は難しいという理由で事実上失敗に終わった。
8日午後、記録的な豪雨でソウル・新林洞(シンリムドン)の半地下住宅で惨事に巻き込まれたAさん(13)が病院に入院した祖母に残した最後のメッセージだ。祖母イさん(72)はその日午前に組織検査のため大学病院に入院して難を逃れたが、イさんを病院に見送って帰ってきたイさんの長女Bさん(48)、二女Cさん(47)と孫娘のAさんは突然家に押し寄せた水を避けられなかった。外資系アパレル流通会社の労組専従者として働いたCさんが生計の柱となりダウン症の姉Bさんまで世話しながら暮らしてきた家族だった。
イさんは「二女が私の病院日程に合わせ、よりによってこの日に休暇を取った。病院に入院さえしなければこの子は(会社にいて)生きられたはずなのに、私は母親でもない」と自分を責めた。
◇二女8時53分まで知人と通話
イさんが聞いた二女Cさんの最後の声は夜8時37分にかかってきた電話越しの「水で(開いていた)玄関ドアが閉まったが水圧で開かない」という涙声だった。Cさんは8時43分と8時53分に親しい友人のキムさんに「119番につながらない」として助けを求めた。この時間帯に119番は500件以上の通報が集中しつながりにくくなった。最後の通話でキムさんが「私もここで(119番に)電話するからあなたもかけ続けなさい」と話す間に電話に雑音が入り始め、「オンニ(お姉さん)…」というCさんの声を最後に電話は切れた。その後キムさんは「119番に住所を伝えたので待ちなさい」とメッセージを送ったが、既読にはならなかった。キムさんは「数回電話をかけたがその後はつながらなかった」と話した。
◇生き残った母「1カ月前にかわいく模様替えした家」「嘘みたいだ」
1日で2人の娘と孫娘を失ったイさんは嗚咽しながら「すべてが嘘みたいだ」と吐露した。経済的に余裕ははなくても和やかな家族だった。イさんは「二女は障害のある姉を毎日入浴させながら一度もかんしゃくを起こさなかった。休みの日には姉と娘を連れて出かけるやさしい娘だった」と話した。
事故が起きる1カ月前にCさんは娘と姉の部屋の模様替えをしたという。小学校6年生になった娘に机を新たに買って姉の部屋にもベッドを新しく入れた。イさんは携帯電話を取り出しきれいに整理された部屋の様子を写した写真を見せた。イさんは「部屋がかわいくなったとこうして写真も撮ったのに…」と言葉を続けることができなかった。
◇7年前に引っ越し、4人家族で仲良く暮らした半地下
イさん家族は7年前にこの半地下の家を安住の地に選んだ。イさんは「使ったビニール袋まで洗って再使用しながら貯めたお金で初めて整えた家だった」と話した。道林川(トリムチョン)の近くは低地帯で水害に弱い地域だったが、彼らにとって「半地下」は危険ではなく少ない金額で3部屋の家を確保する機会に見えたという。その上長女が通える福祉センターが近かった。イさんは「引っ越してきた時にはこんなことが起きるとは夢にも思わなかった」と話した。
記録的豪雨で降った雨水は道路に沿って低地帯のマンション駐車場に押し寄せ、この家の出入口をふさいだまま家の中にも入ってきた。病床で1日中号泣したイさんは「私は他人に大きく施しを与えてられなくても、借金をしたり迷惑をかけて暮らしてはいない。家族がなぜこんな目に遭わなければならないのか」としてまた泣いた。
◇繰り返される半地下浸水…「住宅環境改善が切実」
道林川周辺の半地下住宅は夏を迎えるたびに浸水の危険にさらされてきた。2001年7月には豪雨により道林川の支流が氾濫し、浸水により6人が死亡したほか、流れてきた車がガスボンベに突っ込んで発生した火災により3人が死亡した。この時も被害者の大部分が半地下居住者だった。2010年の人口住宅総調査によると、イさん家族が住む新林4洞は世帯の22%ほどが半地下住宅に住んでいる。
「韓国の(半)地下住宅の社会的表象と居住者のアイデンティティ研究」という論文を書いた社会学研究者のチャン・ジンボムさんは「水害が起きると半地下住宅をなくすべきという政策が出てきたりする。それでもむやみになくせば彼らは狭小部屋を選択するほかないのが現実」と指摘した。チャンさんは「まず住宅環境改善に向け半地下世帯に対する全数実態調査が必要だ」と話した。
国土交通部が2020年6月に発表した「2019年住宅実態調査結果」によると、地下・半地下・屋根部屋に住む世帯は26万5000世帯で全体の1.3%だ。同年に映画『パラサイト』が国際映画祭で話題になると、国土交通部は半地下世帯の住宅環境に対する全数実態調査をする計画を立てたりもしたが、新型コロナウイルスが拡散すると訪問調査は難しいという理由で事実上失敗に終わった。
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