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文政権の安保室「脱北漁民、亡命意思問わず現場で退去・送還」 海軍・海警に指針

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

2019年11月7日午後3時ごろ、板門店で脱北漁民が強制送還される場面。警察特攻隊など現場関係者が抵抗する脱北者の両腕をつかんで軍事境界線側に引っ張っている。脱北漁民は同月2日、木船に乗って南下し、海軍に拿捕された。当時、文在寅(ムン・ジェイン)政権は合同調査を3日間で終了した後、北側に「漁民と船舶を送還する」と伝え、北側が承諾した。 [写真=統一部]

文在寅(ムン・ジェイン)政権の青瓦台(チョンワデ、大統領府)国家安保室が「脱北民強制送還」の直前、38度線を越えた北朝鮮の船舶と住民への対応指針を定め、関連事案を直接統制していたことが明らかになった。特に該当指針には海軍・海警などが初動段階で亡命意思確認手続きなどを「自制すべき」という内容があり、論議を呼ぶと予想される。

国民の力の韓起鎬(ハン・ギホ)議員(国家安保紊乱実態調査TF委員長)によると、文政権の国家安保室は「北船舶・人員管轄水域内発見時の対応マニュアル」という指針を脱北民強制送還事件が発生する2カ月ほど前の2019年9月に制定した。それ以前までは北朝鮮の船舶・住民が南側に入れば国家情報院が主管したが、安保室が直接管理するよう変更した。当時は三陟(サムチョク)港木船入港(2019年6月)、東海(トンヘ、日本名・日本海)北方限界線(NLL)を越えた北朝鮮船舶の拿捕(2019年7月)などが相次いで発生した時期だった。青瓦台はこの指針を厳格に適用し、「安保室の指示に反して北の船舶を拿捕した」として、青瓦台民情秘書官室行政官が当時の軍作戦最高責任者の朴漢基(パク・ハンギ)合同参謀本部議長を調べた。

該当指針の全文は文政権が退きながら大統領記録物に指定され、最長15年間は閲覧できなくなった。しかし韓議員室で入手した一部の指針内容には、当時の青瓦台の意中が見える内容があった。まず「状況処理担当機関(海軍・海警・海洋水産部)は北の船舶が単純進入と確認される場合、現場で退去または現地に送還する」と明示し、不審な船舶と人員を発見してもひとまず北に帰すべきという意味と解釈できる。


安保室は指針を通じて「現場情報に基づき合同調査の必要性が認められたり、北側住民の恣行、気象悪化などで近接検索が難しい場合、主管機関(安保室)に報告し、国家情報院と協議して措置を取るべき」と指示した。政府筋は「国家情報院でなく安保室が直接報告を受けて、コントロールタワーの役割をしながら、詳細な部分にまで関与しようとした状況」と解釈した。

韓議員によると、安保室の指針は海軍・海警の初動措置に関連し「その他の不必要な内容は確認を控える」とも明示した。韓議員は「亡命の意思などを問わず、ひとまず安保室に渡せば処理するということだ」とし「このマニュアルを見れば脱北民強制送還は予見されていた」と批判した。大統領室の関係者はこの日、「現在の龍山(ヨンサン)大統領室には強制送還に関する安保資料が何も残っていない」と話した。

脱北漁民送還当時、「亡命の意思に信頼性を欠く」とした文政権の判断基準をめぐっても問題が提起される。脱北者2人は自筆で亡命意向書を作成した。この日、国民の力国家安保紊乱タスクフォース(TF)委員の太永浩(テ・ヨンホ)議員室で入手した資料によると、文政権当時の2020年9月、統一部は亡命意思を判断する基準に「亡命意向書」を挙げた。当時、太議員室が「北住民送還時に亡命の意思がないと判断した基準」を尋ねると、統一部は「越境した北住民の人道的送還する際、合同情報調査の過程で北の住民が本人の自由意思に基づき作成する確認書を基準に亡命の意思を判断している」と答えた。



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