日本憲法は改正要件がきわめて厳しい硬性憲法に属する。憲法改正を発議するためには衆議院と参議院でそれぞれ3分の2の賛成がなければならない。現実的に非常に高い障壁だが、安倍任期中に僅差で3分の2を突破したことに続き、今回の選挙で余裕で発議ラインを越えることになった。だが、発議ラインの確保がすぐに改憲につながるわけではない。「改憲勢力」と呼ばれる4つの政党の立場が各論ではそれぞれ違う。特に公明党は仏教系列の宗教団体を母胎とする政党なので、平和憲法の見直し自体に対する支持者の反発を意識せざるをえない。野党である国民民主党の立場も改憲自体には賛成だが憲法9条に対する立場は不確かだ。
国会で政党間の異見を調整して改正案を発議するといっても国民投票を通過できるかどうかは依然と予想できない。今年朝日新聞の調査で改憲賛成比率が53%に出てくるなど、時間が経過するほど改憲賛成意見が高まっているが、まだ圧倒的に多いと見ることはできず、護憲世論も相変らず根強い。万一、国民投票で否決される場合、発議を推進した首相は職を辞す危機に陥りかねない。岸田氏が参議院選挙直後、安倍氏の意志を継ぐという意向を明らかにしてはいるが、どれくらい急ぐかは予断できない。
【コラム】平和憲法改正、安倍氏のライフワークは死後に実現するのだろうか(1)
国会で政党間の異見を調整して改正案を発議するといっても国民投票を通過できるかどうかは依然と予想できない。今年朝日新聞の調査で改憲賛成比率が53%に出てくるなど、時間が経過するほど改憲賛成意見が高まっているが、まだ圧倒的に多いと見ることはできず、護憲世論も相変らず根強い。万一、国民投票で否決される場合、発議を推進した首相は職を辞す危機に陥りかねない。岸田氏が参議院選挙直後、安倍氏の意志を継ぐという意向を明らかにしてはいるが、どれくらい急ぐかは予断できない。
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