5月にソウルで開かれた韓米首脳会談の後日談だ。当時両国は共同声明を通じて宇宙協力全分野にわたって韓米同盟を強化することを約束した。米国が主導する月探査計画であるアルテミスプロジェクトをはじめ、宇宙探査共同研究を促進して韓国型衛星航法システム(KPS)開発に向けた支援協力も再確認した。
だが韓米両国の華麗な宇宙協力は言葉だけだった。裏面に隠された真実はみじめだった。科学技術界によると、当時科学技術情報通信部は首脳会談を控え米国側に国際武器取引規則(ITAR)の改定を議題に提示した。米国側は一言の下に断った。ITARとは米国政府の規定で、国防関連の米軍需品目録に対する輸出入を統制することをいう。規定によると韓国は米国の許諾なく米国の技術や部品が使われた人工衛星を韓国製宇宙ロケットで打ち上げることはできない。韓国の技術だけで作った衛星があるならば問題はないが、韓国はジャイロスコープなど人工衛星の核心技術を依然として米国に頼っている。結局米国は韓国が大陸間弾道ミサイル(ICBM)に転用可能な宇宙ロケット技術を持つことを望んでいないためというのが専門家らの解釈だ。ITARと別に、米国はこれまで韓国の宇宙ロケット開発に一切の支援をしなかった。むしろ米国の敵性国であるロシアが2003年に韓国と宇宙技術協力協定を結び羅老(ナロ)号開発など陰に陽に助けになった。
◇米国、70年代にデルタロケット技術を日本に伝授
米国はなぜ第2次世界大戦当時に敵国だった日本の宇宙ロケット開発は助け、また別の同盟関係を結んでいる韓国は助けないのか。
その疑問を解こうとするなら日本の宇宙ロケット開発史から振り返る必要がある。日本の液体燃料ロケット技術開発は1969年に発足したNプロジェクトから始まった。米デルタ宇宙ロケットの開発会社であるマクドネル・ダグラスから設計・生産・打ち上げシステムなどに対する全般的技術を受け継ぐ方式だった。米国は、核心技術は秘密を維持する条件で日本のライセンス生産を認めた。日本はNプロジェクトを始めて6年ぶりの1975年9月に初の液体ロケットであるN1を打ち上げるのに成功した。その後1994年には独自に製作した液体水素ロケットH2の打ち上げに成功し宇宙大国の隊列に加わった。
宇宙政策専門家である漢陽(ハニャン)大学政治外交学科のキム・ヨンミン名誉教授は訳書「ロケット開発『失敗の条件』―技術と組織の未来像」(五代富文著)の序文で、日本が宇宙開発で米国の協力を得られたことを下記のように説明する。「日本はどうせそのままにしておいても宇宙開発が可能なほど技術基盤が確立されていたというのが最初の理由だ。ここに国際状況も日本に有利だった。1964年に中国が核実験に成功し、宇宙開発にも拍車をかけることになると日本も宇宙開発に乗り出す計画を立てる。すると米国は日本の自力開発を見ているだけでなく、いっそ技術を協力して統制していく方が良いという政策を立て、ロケット技術を本格的に伝授したのだ」。
◇米国主導のMTCR体制後は宇宙ロケット技術の伝授不可
これに対し韓国の宇宙ロケット技術開発は徹底的に米国の懸念と無視の中で進められた。朴正熙(パク・チョンヒ)大統領当時の1978年に開発に成功した固体ロケット「NHK1」は射程距離200キロメートルまで飛ぶ成果を見せた。仁荷(インハ)大学航空宇宙工学科のホン・ヨンシク教授(故人)は自叙伝で「当時ミサイル開発目標は射程距離500キロメートル、弾頭重量500キログラムで、最終目標が核弾頭を運ぶロケット開発だった」と回顧した。その後クーデターで政権を取った全斗煥(チョン・ドゥファン)政権はロケット開発を主導した国防科学研究所(ADD)を解体した。政権の正当性を確保しなければならなかった全斗煥政権が韓国のロケット開発を望まない米国の意向に従った結果だった。チョ・グァンレ元航空宇宙研究院長は「全斗煥政権のADD解体は当時先輩たちが『事変』と表現するほど衝撃的だった」と当時を回想した。
宇宙ロケット技術は1987年に米国が主導するミサイル技術管理レジーム(MTCR)ができてから他国へ移転するルートが閉ざされる。日本を含む、MTCR発足時すでに宇宙ロケット技術を確保した主要7カ国は例外だった。韓国は航空宇宙研究院が1989年に発足し1990年に1段固体燃料科学ロケットである「KSR1」をはじめ宇宙ロケット開発に乗り出したが、すでに国同士の宇宙ロケット技術移転の扉は閉められた後だった。米国の立場では韓国と宇宙ロケット技術を協力すれば、核兵器の運送手段になる大陸間弾道ミサイル開発をしてきた北朝鮮を制裁する名分がなくなるという側面もあった。
過程はどうであれ韓国は先月21日に結局自力技術で宇宙ロケットのヌリ号開発に成功した。今後米国はITARをはじめ、宇宙ロケットと関連して韓国と協力することになるだろうか。専門家の見通しは分かれる。航空宇宙研究院のファン・ジンヨン責任研究員は「これまで米国が頑強に反対してきた韓米ミサイル指針が改定された時は驚いた。もう韓国も自力で宇宙ロケット技術独立しただけにITAR問題解決の可能性も占ってみることができる」と話した。
だがある宇宙政策専門家は「MTCR体制発足後にITARを例外的に認められる唯一の国がインド。インドは中国牽制のため米国と戦略的パートナー関係まで発展したため例外が可能だった」と話した。彼は「韓国もインドのように中国牽制に向け米国と戦略的パートナー関係まで発展しないなら、現在では人工衛星技術を完全に独立するしかないだろう」と付け加えた。
だが韓米両国の華麗な宇宙協力は言葉だけだった。裏面に隠された真実はみじめだった。科学技術界によると、当時科学技術情報通信部は首脳会談を控え米国側に国際武器取引規則(ITAR)の改定を議題に提示した。米国側は一言の下に断った。ITARとは米国政府の規定で、国防関連の米軍需品目録に対する輸出入を統制することをいう。規定によると韓国は米国の許諾なく米国の技術や部品が使われた人工衛星を韓国製宇宙ロケットで打ち上げることはできない。韓国の技術だけで作った衛星があるならば問題はないが、韓国はジャイロスコープなど人工衛星の核心技術を依然として米国に頼っている。結局米国は韓国が大陸間弾道ミサイル(ICBM)に転用可能な宇宙ロケット技術を持つことを望んでいないためというのが専門家らの解釈だ。ITARと別に、米国はこれまで韓国の宇宙ロケット開発に一切の支援をしなかった。むしろ米国の敵性国であるロシアが2003年に韓国と宇宙技術協力協定を結び羅老(ナロ)号開発など陰に陽に助けになった。
◇米国、70年代にデルタロケット技術を日本に伝授
米国はなぜ第2次世界大戦当時に敵国だった日本の宇宙ロケット開発は助け、また別の同盟関係を結んでいる韓国は助けないのか。
その疑問を解こうとするなら日本の宇宙ロケット開発史から振り返る必要がある。日本の液体燃料ロケット技術開発は1969年に発足したNプロジェクトから始まった。米デルタ宇宙ロケットの開発会社であるマクドネル・ダグラスから設計・生産・打ち上げシステムなどに対する全般的技術を受け継ぐ方式だった。米国は、核心技術は秘密を維持する条件で日本のライセンス生産を認めた。日本はNプロジェクトを始めて6年ぶりの1975年9月に初の液体ロケットであるN1を打ち上げるのに成功した。その後1994年には独自に製作した液体水素ロケットH2の打ち上げに成功し宇宙大国の隊列に加わった。
宇宙政策専門家である漢陽(ハニャン)大学政治外交学科のキム・ヨンミン名誉教授は訳書「ロケット開発『失敗の条件』―技術と組織の未来像」(五代富文著)の序文で、日本が宇宙開発で米国の協力を得られたことを下記のように説明する。「日本はどうせそのままにしておいても宇宙開発が可能なほど技術基盤が確立されていたというのが最初の理由だ。ここに国際状況も日本に有利だった。1964年に中国が核実験に成功し、宇宙開発にも拍車をかけることになると日本も宇宙開発に乗り出す計画を立てる。すると米国は日本の自力開発を見ているだけでなく、いっそ技術を協力して統制していく方が良いという政策を立て、ロケット技術を本格的に伝授したのだ」。
◇米国主導のMTCR体制後は宇宙ロケット技術の伝授不可
これに対し韓国の宇宙ロケット技術開発は徹底的に米国の懸念と無視の中で進められた。朴正熙(パク・チョンヒ)大統領当時の1978年に開発に成功した固体ロケット「NHK1」は射程距離200キロメートルまで飛ぶ成果を見せた。仁荷(インハ)大学航空宇宙工学科のホン・ヨンシク教授(故人)は自叙伝で「当時ミサイル開発目標は射程距離500キロメートル、弾頭重量500キログラムで、最終目標が核弾頭を運ぶロケット開発だった」と回顧した。その後クーデターで政権を取った全斗煥(チョン・ドゥファン)政権はロケット開発を主導した国防科学研究所(ADD)を解体した。政権の正当性を確保しなければならなかった全斗煥政権が韓国のロケット開発を望まない米国の意向に従った結果だった。チョ・グァンレ元航空宇宙研究院長は「全斗煥政権のADD解体は当時先輩たちが『事変』と表現するほど衝撃的だった」と当時を回想した。
宇宙ロケット技術は1987年に米国が主導するミサイル技術管理レジーム(MTCR)ができてから他国へ移転するルートが閉ざされる。日本を含む、MTCR発足時すでに宇宙ロケット技術を確保した主要7カ国は例外だった。韓国は航空宇宙研究院が1989年に発足し1990年に1段固体燃料科学ロケットである「KSR1」をはじめ宇宙ロケット開発に乗り出したが、すでに国同士の宇宙ロケット技術移転の扉は閉められた後だった。米国の立場では韓国と宇宙ロケット技術を協力すれば、核兵器の運送手段になる大陸間弾道ミサイル開発をしてきた北朝鮮を制裁する名分がなくなるという側面もあった。
過程はどうであれ韓国は先月21日に結局自力技術で宇宙ロケットのヌリ号開発に成功した。今後米国はITARをはじめ、宇宙ロケットと関連して韓国と協力することになるだろうか。専門家の見通しは分かれる。航空宇宙研究院のファン・ジンヨン責任研究員は「これまで米国が頑強に反対してきた韓米ミサイル指針が改定された時は驚いた。もう韓国も自力で宇宙ロケット技術独立しただけにITAR問題解決の可能性も占ってみることができる」と話した。
だがある宇宙政策専門家は「MTCR体制発足後にITARを例外的に認められる唯一の国がインド。インドは中国牽制のため米国と戦略的パートナー関係まで発展したため例外が可能だった」と話した。彼は「韓国もインドのように中国牽制に向け米国と戦略的パートナー関係まで発展しないなら、現在では人工衛星技術を完全に独立するしかないだろう」と付け加えた。
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