「中国を通した輸出好況時代が終わろうとしている」
韓国大統領室の崔相穆(チェ・サンモク)経済首席がスペイン・マドリードで語った言葉だ。「中国をあまりにも直接的に刺激しているのではないか」という反論が提起されている。高位公職者が外国との関係を語る時、ワーディングに気を遣わなければならないのは間違いない。政治であろうと経済であろうと、すべて該当する。しかし崔首席の言葉は間違っていないというのが筆者の考えだ。
これくらいして中国との間に線を一度引いて進む時だ!
韓中産業協力の大きな枠組みは「垂直分業」と「追撃」だった。同じ産業・同じ製品を生産する過程で互いに垂直的に分業した。韓国坡州(パジュ)で作ったディスプレイを中国無錫カラーテレビ工場に供給するというような形だ。
韓国で中間材を作って中国に売り、中国で完成品を組み立てて現地で売ったり第三国(韓国含む)に輸出する生産分業だ。中間材は一般的に付加価値が高い。そのため中国の成長は韓国経済の福音だった。崔首席が言及した「輸出好況時代」の構図がまさにこのようなものだった。
その一方で中国は競争分野で韓国を猛スピードで追撃した。賃加工(下請加工)産業をはじめ、白色家電、機械、化学工業、造船、スマートフォン、今や自動車まで…。追撃は激しい。多くの分野で韓国は中国にすでに遅れを取っており、一部は抜きつ抜かれつの状態だ。
そのため、「このくらいして線を引く」必要があるということだ。従来の協力モデルでは長期利益を担保することができないということだ。新たな協力モデルを構築しなければならない。未来産業ではなおさらだ。
理由は充分だ。次世代半導体、AI、バッテリー、IOTなど未来産業は従来の協力モデルの適用が難しい。韓国が部品を生産して、中国で完成品を作る分業構造がここに合うはずがない。技術的な面でリードしたほうがすべてを占めるといってもよいためだ。
これらの分野は韓国も中国もほぼ同じスタートラインに立っている。半導体は少し違うとはいうが、基本的にはどれほど速く追撃するか、逃げるかのゲームでない。どちらが先にグローバルスタンダード技術を適切に取り入れて、超格差を維持できるかが核心だ。
韓中関係は技術が推動する。進んだ技術がない場合、中国は韓国のほうを振り返ることすらない。一歩進んだ技術を確保しなければならない。米国を中心にした西側サプライチェーン(供給網)に関心を持たなければならない理由だ。海を越えてきた技術を受けて自分のものにし、それを手に大陸に向かわなくてはならない。
これからは韓国のスタンスで中国と対しなければならない。「我々はあなたたちと違う。経済システムも違うし、運営方式も違う」。IPEF加入はその明らかなる宣言だ。その言葉に説得力を持たせるには必ず超格差技術を持っていなければならない。中国を協力の場に引き出すことができる唯一の道だ。繰り返し強調するが、韓国の技術優位があるときにはじめて韓中経済協力は円滑になる。
崔首席は「市場多角化」を語り、欧州を代案として提示した。欧州市場に合う産業発掘を強調した。
正しい言葉だ。韓国はこれまで市場を多角化するべきだといいながら、消極的に市場探索に乗り出した。それで探し当てたのが東南アジアだ。なんとあきれたことか。東南アジアとの交易構造はほぼ中国と重なる。ところが協力条件は中国に全く及ばない。いくら賃金が安くても何をするのか。部品調達、物流、市場などの支えがなければ話にならない。「新南方政策」が否応なく限界を有することになる理由だ。
産業が先だ。市場環境に合う競争産業を先に発掘して、それから攻略に出なければならない。崔首席は欧州に進出する競争産業として原発と防衛産業を挙げた。「向こう5年間、主力産業リストが追加され続けるだろう」とも話した。競争産業のない市場多角化は空念仏にすぎない。
一部の専門家は「韓国の輸出の30%が中国に向かう」とし、崔首席の発言が「あまりにも性急だ」と言う。理解できないわけではない。崔首席が脱中国の理由に挙げた中国の「双循環」もやや説明不足ではある。それでも筆者は崔首席が韓中経済協力の未来を正確に把握していると考える。
「中国を通した輸出好況時代は終わった!」
なんと分かりやすいメッセージだろうか。大統領経済首席であれば、韓国産業界にこれくらいの将来の方向性を提示して当然だ。さあ進むべき方向が提示されたのだから、方案もこの後に続かなければならない。より具体的かつ現実的な市場多角化対策を用意して、このために「産業必殺技」を発掘しなければならない。
現実も重要だ。中国との既存の協力構図が揺れないようにする繊細な政策も必要だ。中国市場に頼って生計を立てている数多くの企業、そのスタッフを忘れてはならない。食べていた茶碗を自ら割るのはただのバカだ。
自分の考えを書いたところ、思わず政府政策に有利な記事になってしまった。しかし筆者の考えがそうなのだから、どうすることもできない。ただし一つだけ、この文章は韓中関係経済セクターに限定されているものであることを強調しておく。
ハン・ウドク記者/チャイナラボ代表
韓国大統領室の崔相穆(チェ・サンモク)経済首席がスペイン・マドリードで語った言葉だ。「中国をあまりにも直接的に刺激しているのではないか」という反論が提起されている。高位公職者が外国との関係を語る時、ワーディングに気を遣わなければならないのは間違いない。政治であろうと経済であろうと、すべて該当する。しかし崔首席の言葉は間違っていないというのが筆者の考えだ。
これくらいして中国との間に線を一度引いて進む時だ!
韓中産業協力の大きな枠組みは「垂直分業」と「追撃」だった。同じ産業・同じ製品を生産する過程で互いに垂直的に分業した。韓国坡州(パジュ)で作ったディスプレイを中国無錫カラーテレビ工場に供給するというような形だ。
韓国で中間材を作って中国に売り、中国で完成品を組み立てて現地で売ったり第三国(韓国含む)に輸出する生産分業だ。中間材は一般的に付加価値が高い。そのため中国の成長は韓国経済の福音だった。崔首席が言及した「輸出好況時代」の構図がまさにこのようなものだった。
その一方で中国は競争分野で韓国を猛スピードで追撃した。賃加工(下請加工)産業をはじめ、白色家電、機械、化学工業、造船、スマートフォン、今や自動車まで…。追撃は激しい。多くの分野で韓国は中国にすでに遅れを取っており、一部は抜きつ抜かれつの状態だ。
そのため、「このくらいして線を引く」必要があるということだ。従来の協力モデルでは長期利益を担保することができないということだ。新たな協力モデルを構築しなければならない。未来産業ではなおさらだ。
理由は充分だ。次世代半導体、AI、バッテリー、IOTなど未来産業は従来の協力モデルの適用が難しい。韓国が部品を生産して、中国で完成品を作る分業構造がここに合うはずがない。技術的な面でリードしたほうがすべてを占めるといってもよいためだ。
これらの分野は韓国も中国もほぼ同じスタートラインに立っている。半導体は少し違うとはいうが、基本的にはどれほど速く追撃するか、逃げるかのゲームでない。どちらが先にグローバルスタンダード技術を適切に取り入れて、超格差を維持できるかが核心だ。
韓中関係は技術が推動する。進んだ技術がない場合、中国は韓国のほうを振り返ることすらない。一歩進んだ技術を確保しなければならない。米国を中心にした西側サプライチェーン(供給網)に関心を持たなければならない理由だ。海を越えてきた技術を受けて自分のものにし、それを手に大陸に向かわなくてはならない。
これからは韓国のスタンスで中国と対しなければならない。「我々はあなたたちと違う。経済システムも違うし、運営方式も違う」。IPEF加入はその明らかなる宣言だ。その言葉に説得力を持たせるには必ず超格差技術を持っていなければならない。中国を協力の場に引き出すことができる唯一の道だ。繰り返し強調するが、韓国の技術優位があるときにはじめて韓中経済協力は円滑になる。
崔首席は「市場多角化」を語り、欧州を代案として提示した。欧州市場に合う産業発掘を強調した。
正しい言葉だ。韓国はこれまで市場を多角化するべきだといいながら、消極的に市場探索に乗り出した。それで探し当てたのが東南アジアだ。なんとあきれたことか。東南アジアとの交易構造はほぼ中国と重なる。ところが協力条件は中国に全く及ばない。いくら賃金が安くても何をするのか。部品調達、物流、市場などの支えがなければ話にならない。「新南方政策」が否応なく限界を有することになる理由だ。
産業が先だ。市場環境に合う競争産業を先に発掘して、それから攻略に出なければならない。崔首席は欧州に進出する競争産業として原発と防衛産業を挙げた。「向こう5年間、主力産業リストが追加され続けるだろう」とも話した。競争産業のない市場多角化は空念仏にすぎない。
一部の専門家は「韓国の輸出の30%が中国に向かう」とし、崔首席の発言が「あまりにも性急だ」と言う。理解できないわけではない。崔首席が脱中国の理由に挙げた中国の「双循環」もやや説明不足ではある。それでも筆者は崔首席が韓中経済協力の未来を正確に把握していると考える。
「中国を通した輸出好況時代は終わった!」
なんと分かりやすいメッセージだろうか。大統領経済首席であれば、韓国産業界にこれくらいの将来の方向性を提示して当然だ。さあ進むべき方向が提示されたのだから、方案もこの後に続かなければならない。より具体的かつ現実的な市場多角化対策を用意して、このために「産業必殺技」を発掘しなければならない。
現実も重要だ。中国との既存の協力構図が揺れないようにする繊細な政策も必要だ。中国市場に頼って生計を立てている数多くの企業、そのスタッフを忘れてはならない。食べていた茶碗を自ら割るのはただのバカだ。
自分の考えを書いたところ、思わず政府政策に有利な記事になってしまった。しかし筆者の考えがそうなのだから、どうすることもできない。ただし一つだけ、この文章は韓中関係経済セクターに限定されているものであることを強調しておく。
ハン・ウドク記者/チャイナラボ代表
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