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【コラム】NATOが東方に向かった理由

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
最近ウクライナ戦争に関連し、欧州主要国(英国・フランス・ドイツ)と当事国であるロシア・ウクライナの駐韓大使を順番にインタビューした。最も刺々しかったのはやはりロシアだった。アンドレイ・クリク大使は「歴史的な過程を理解しなければ現状を正しく知ることはできない」としながら今回の侵攻の名分を「訓戒調で」説明した。興味深かったのはクリク大使が今回の「特殊軍事作戦」(ロシア式表現)をウクライナの脱ナチス化とともにさらに大きな紛争を「予防するために」と述べた点だった。米国がイラク侵攻の時に使った「予防戦争」という名分をそのまま返すような発言だった。

クリク大使はNATO(北大西洋条約機構)東進に対する不満も打ち明けた。「冷戦が終わったが、なぜ解体どころか東欧国家を受け入れ続けたのか」だ。実際、NATO東進の問題点に対してはジョン・ミアシャイマーをはじめとする「現実主義」国際政治学者が数回指摘したことがある。米国内でこれを代表的な外交的失敗に挙げる者も少なくない。それでもNATOが漸進的な膨張をするばかりだったわけではない。1949年NATO創立メンバーだったフランスは1966年ドゴール政権の時、米国の影響圏から抜け出して独自外交路線を追求するという名分で脱退した。復帰は43年後の2009年だった。ロシアはウクライナのEU(欧州連合)加入も反対しているが、ブレグジット(英国のEU離脱)が示すようにEUもいつも一心同体だったわけではない。

同盟や連合は生命体のようにその時々で変化し、主権国家はその隙間で独自の生き残りを模索する権利がある。振り返ってみれば、ワルシャワ条約機構が解体された時、NATOの扉を開けてほしいと言ったのは東欧諸国だった。当時、彼らが何を恐れていたのかは今のウクライナ事態を見れば分かる。そうした点でロシアが行った「予防戦争」の皮肉は中立国だったフィンランド・スウェーデンをNATO側に傾斜させた点だ。何を予防しようとしたかにかかわらず、NATOの東進は周辺国家に対するロシアの影響力の後退を伴う。


さらに大きな皮肉はNATOが今や東進を越えてロシア・中国の東側まで視野に入れているという点だ。29日にスペインで開かれるNATO首脳会議には韓国を含めて日本・オーストラリア・ニュージーランドなどアジア太平洋国家も招待された。これに先立ち、NATO側は2010年以降初めて「戦略概念」再整備を予告し、ロシアの他に中国までねらうという意向を明確にした。ロシア・中国という権威主義体制国家を米国・欧州中心の自由民主主義国家がインド太平洋のパートナーとともに「巨大な包囲網」で囲む様相だ。最近、米国のジョー・バイデン大統領の訪韓および日本歴訪の時に最も強調されたのが「経済安保」だったことも偶然ではない。我々は地政学と経済地理学が目まぐるしく交差する時代に住んでいる。

カン・ヘラン/国際チーム長



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