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【コラム】「一挙飛躍」の機会を逃した金正恩…問題はタイミングだ(2)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
◆核が足かせになる「一挙飛躍」

時間を戻してみよう。2018年5月、当時のキム・ヨン世界銀行総裁(2012-19年)がソウルのホテルで国内の北朝鮮専門家2人と会った。青瓦台(チョンワデ)で文在寅(ムン・ジェイン)大統領と会談し、対北経済協力プロジェクトを議論した当時だ。北朝鮮の非核化が進んで米朝関係が改善すれば、国際社会の大規模な対北朝鮮投資を進めるというのが骨子だった。キム総裁は国内専門家の見解を聴取する席に世界銀行北朝鮮部署の責任者も同席させた。他の職員たちも聞くべきという趣旨だったのだろう。潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長(2007-16年)も在任期間に北朝鮮訪問を検討するなど、南北関係を改善して韓半島(朝鮮半島)の安定のために動いた。北朝鮮が国際社会と交流を始めるのに非常に良い時期だった。

ところが北朝鮮はこの時期、核・ミサイル開発が優先だった。核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM、火星15)発射にオールインした北朝鮮は、潘総長が国連を離れ、キム総裁が退任を控えた2018年になって動き出した。北朝鮮は2回目の米朝首脳会談の決裂後、(米国が)「黄金のような機会を逃した」と明らかにした。逆に北朝鮮が核ばかりに目を向けて自国に友好的だった「世界大統領」と「国際金融総帥」のツートップ体制という貴重な機会を逃したのではないのか。


歴史で仮定は意味がない。しかし過去の教訓から失敗を繰り返さないことは未来設計の必須条件だ。北朝鮮は今後も自分たちの方式の主体戦略を駆使する可能性が高い。国際社会の対北朝鮮人道的支援の声が出ている中でも7回目の核実験の準備を進めている。北朝鮮が核実験を強行する場合、北朝鮮に対する視線は冷たくなるしかない。金委員長が「200%のための悩み」に入ってタイミングを逃すことが繰り返されないことを願う。

そのためには尹錫悦政権の役割も大きい。次の韓国大統領選挙まで57カ月ほど残った。20分の1という時間が過ぎたということだ。北朝鮮の変化ばかりを待って時間が経過すれば、5年単任制の尹大統領は徐々に時間に追われることになる。李明博(イ・ミョンバク)元大統領は就任演説で「理念でなく実用を基準に(南北関係を)解いていく」と述べた。しかし北朝鮮の非核化が先だという前提条件が足かせになった。現政権の外交安保の核心に李明博政権当時の人たちが多く布陣している。南も北も「長考の末の悪手」でなく実用と柔軟性が求められる時だ。すべてのことにはタイミングがある。

チョン・ヨンス/統一文化研究所長


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