ウクライナ検察が戦争中にレイプ事件を起こしたロシア兵に対する欠席裁判を開く。ウクライナはこれを通じロシア軍の戦争犯罪に対して最後まで責任を問うという意志を見せている。

英日刊紙ガーディアンによると、イリーナ・ベネディクトワ検事総長は３０日、自身のツイッターに「戦争中に初めて発生した強姦事件が法廷に立つことになった」としながら強姦容疑で起訴されたロシア軍司令官ミハイル・ロバノフ容疑者の写真を公開した。ロバノフ容疑者は３月９日にウクライナの首都キーウ近郊のブロバリである男性を殺害し彼の妻を数回にわたり強姦した容疑を受けている。

被害者のナタリヤさん（３３、仮名）は英日刊紙ザ・タイムズとのインタビューで、自身が体験したおぞましい被害を打ち明けた。夫と幼い息子と一緒に暮らしていた彼女は、ロシア軍がブロバリに進入した家の門の前に民間人であることを示する白い布をかけておいた。しかしロバノフ容疑者はナタリヤさんの夫を「ナチだ」と主張して銃で撃ち殺害し、ナタリヤさんの頭に銃口を突きつけて脅迫し他の兵士らとともに代わる代わるナタリヤさんを性暴行した。彼らはその後も数日にわたり性暴行を継続し、彼らが酒に酔って寝ている隙をついてナタリヤさんは息子を連れて逃げた。


ナタリヤさんがロバノフ容疑者の名前と顔を記憶していたことからソーシャルメディア（ＳＮＳ）で容疑者を見つけ出すことができた。ウクライナ軍はロバノフ容疑者の身柄を確保できていないが、象徴的な意味合いから欠席裁判を開くことにした。ベネディクトワ検事総長は「私たちは彼がどこにいるのかわからない。依然として戦闘中であることもあり、死んでいるかも知れない」としながらも、「戦犯に私たちがあなたたちを最後まで見つけ出すつもりであるということを見せたい」と話した。