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【コラム】IPEF、韓国経済に必要な供給網確保チャンネルとして活用しなくては(2)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
韓国としてもIPEFが米国の中国排除戦略という前提でIPEF交渉に臨む理由はない。韓米技術同盟はIPEFの枠組みの外で推進することだ。韓国政府が「IPEFは特定国を排除するものではない」としてIPEFの開放性・透明性・包括性を強調したのもこうした意味だ。IPEFからは関税引き下げなど市場接近が抜けているが、デジタル経済、環境、クリーンエネルギー、脱炭素化などは韓国の未来競争力を左右する核心主題だ。IPEFは通商中枢国を指向する韓国が独自で自律的な交渉力を広げる絶好の機会だ。こうした観点でIPEFは普遍的価値を追求し韓国の国益を最大化する協定としなければならない。

◇国ごとに国益考えIPEF活用

このためにはいくつかの前提条件に留意する必要がある。最初に、IPEFは韓国が必要とする原材料と必須物品に対する供給網を確保するのに役立つ協定として活用されなければならない。韓国は半導体やバッテリーなど先端技術製品のほかには原材料などを主に海外から供給されなければならない境遇だ。IPEF参加国が保有する資源と食糧などの供給網を確保し韓国の供給網危機に効果的に対応できる体制を構築することが必要だ。


2番目に、IPEFが先端技術製品に対する多国間間輸出統制体制に発展しないようにする必要がある。輸出統制は供給網の安全保障に直結する。事案ごとに各国が国際関係と自国の事情を考慮して決める問題だ。ウクライナを侵攻したロシアに対する制裁がそんな例だ。世界の人口の過半数を占める国がロシア制裁に参加しなかった。米国が主導する安全保障の枠組みであるクアッドの一員のインドはロシアとの関係を考慮して制裁参加を拒否した。米国と近いサウジアラビアをはじめとする多くの中東諸国、そして多くのアフリカ諸国がロシア制裁に参加していない。さらに米国の裏庭メキシコとブラジルもロシア制裁は拒否した。国ごとにそれぞれ国益を考えて制裁に参加するかを決めている。

◇反世界化あおる協定避けるべき

3番目に、IPEFはデジタル貿易、労働、環境、クリーンエネルギー、脱炭素化、租税と反腐敗などの分野で既存の国際規範を強化したり新たな規範を導入する可能性がある。韓国はこのような新通商問題に関するルール作りに主導的に参加する必要がある。ただこのような規定の中には韓国の産業には負担になりかねないものもありえる。

例えば労働基準を強化して労働法に違反した企業の責任を強化するとか、気候変動対応に向け産業別に炭素低減計画をまとめさせるとか、貿易において環境保護要件を強化する規定が提案されるかもしれない。また、鉄鋼やセメント、発電産業などに対し低炭素クリーンエネルギーを購入するよう要求するかもしれない。特にデジタル分野で米国は最も高い水準の規範導入を要求する可能性がある。このような規範と関連して、国際社会の合理的な要求は受け入れても韓国の産業に過度な負担にならないよう注意深く対応すべきだろう。

最後に、IPEFが取り上げる内容が世界貿易機関(WTO)を中心にした既存の国際通商規範に合致させることが重要だ。IPEFが反世界化をあおる協定になってはならない。例えば、米国とEUはいま自国内の半導体供給網確保を名分にして半導体補助金競争を行っているが、適切な統制が必要だ。米国とEUもこうした批判を意識したためか5月の2回目のTTC会議の共同声明で半導体補助金を正当化するため、それなりの補助金支給原則(例えば次世代技術開発、供給網安全保障など正当な公共政策目的)を提示した。だがこの程度でWTO規範との不合致を解消できるかは疑問だ。このほかIPEFが取り上げる労働と環境保護規定や脱炭素化支援規定もWTOの規範と衝突する素地がある。こうした問題はIPEFで関連主題を議論する際にともに扱われなければならない問題だといえる。

金斗植(キム・ドゥシク)/法務法人世宗代表弁護士、国際通商法センター長


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