韓米の安全保障同盟が経済・技術同盟を含む包括的戦略同盟に発展している。20日のバイデン米大統領のサムスン半導体工場訪問は韓米技術同盟の背景を見せた事件だった。世界最大の半導体工場でバイデン大統領は「新型コロナウイルス大流行とウクライナ戦争で供給網確保の必要性がさらに浮上した。これが確保されてこそわれわれの経済と安全保障がわれわれと価値を共有しない国によって左右されなくなるだろう」と話した。中国に左右されない半導体供給網確保、それがサムスンの半導体工場を訪ねたバイデン大統領のメッセージだった。
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は同じ場所で「韓米関係が先端技術と供給網協力に基盤を置いた経済安全保障同盟に生まれ変わることを希望する」と前向きに答えた。尹大統領もバイデン大統領と同じく韓米間の半導体協力に言及したが、強調点は微妙に異なった。中国牽制よりは韓米間の技術協力を通じた半導体産業の未来競争力強化に傍点を置いた。半導体装備の45%を米国に依存し半導体設計技術の確保が切実な韓国の状況を反映したものだ。
韓米技術同盟の政治的な意味合いは複合的だ。もし先端技術製品の供給網で中国を排除しようという意味が込められたとすれば韓中関係の悪化を招くだろう。韓国と中国は半導体でなくとも原材料とレアメタルなど多様な分野の供給網で絡み合っている。何より中国は韓国の輸出の4分の1を占める最大の輸出市場だ。中国メディアは韓国が米国主導の中国圧迫に参加する場合、韓中の経済貿易関係と韓半島(朝鮮半島)問題で代償を払うことになるという警告を飛ばしている。
だが韓国が中国に対し半導体を供給し続ける限り中国との関係を管理するには大きな問題はないものとみられる。むしろ米国は韓国と全方向的な半導体技術協力をするのをためらいかねない。すでに米国は中国牽制で意気投合した欧州連合(EU)と技術同盟に準じた半導体技術協力を進めている。16日に2回目の会議を終えた米国とEUの貿易技術協議会(TTC)で両陣営は天文学的な資金がかかる半導体技術の研究開発に共同参加すること方針を固めた。韓米技術同盟は韓国に中国もなだめ米国とも技術協力をしなくてはならないという難しい課題を投げかけている。
◇中国主導のRCEPと相互補完
こうした状況で韓国は23日に発足したインド太平洋経済枠組み(IPEF)に参加した。韓国のIPEF参加は中国を孤立させようとする米国主導の供給網秩序に韓国が参加することを選択したとの見方がある。王毅中国外相が韓国と日本の外相とのオンライン会談で両国のIPEF参加に強く反対し、「米国のインド太平洋戦略は中国を包囲しようとする試み」と反発したのはこうした見方からだ。
米国がインド太平洋地域で中国を牽制し米国の主導権を回復しようとする戦略の一環としてIPEFを提案した事実は否めない。しかしIPEFが供給網から中国を排除するための協定という主張はIPEFに過度な意味を与えるものだ。現在米国が提案したIPEFは公正な貿易、供給網、クリーンエネルギー・脱炭素化、租税・反腐敗の4つの主題別に概略的なロードマップだけ提示された状態だ。供給網はIPEFが扱うさまざまな主題のうちひとつにすぎない。いままさに交渉が始まるIPEFに具体的にどんな内容が盛り込まれるかはまだわからない。
IPEFは中国が主導した地域的な包括的経済連携(RCEP)と競争関係というよりは相互補完関係の側面が強い。何より両協定の参加国は多く重なる。当初IPEF参加国は13カ国で、発足から3日で南太平洋の島しょ国のフィジーが合流を宣言し14番目の参加国になった。このうちマレーシア、インドネシア、シンガポール、フィリピン、タイ、ベトナム、ブルネイの東南アジア7カ国と、韓国、日本、オーストラリア、ニュージーランドはRCEP参加国でもある。RCEPにはアセアン10カ国がすべて参加している。
◇韓国が交渉力拡大する機会
さらにIPEFの参加国の中にはIPEFが「反中連帯協定」になることを懸念する国が多い。対外経済政策研究院のIPEF最新動向報告書によると、韓国の半導体競合国である台湾のIPEF参加に対し東南アジアの一部の国は「台湾がIPEFに参加すれば中国の反発を招くことになる」として反対したという。こうした状況で米国がIPEFを通じて中国排除戦略を実現する可能性は大きくない。
【コラム】IPEF、韓国経済に必要な供給網確保チャンネルとして活用しなくては(2)
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は同じ場所で「韓米関係が先端技術と供給網協力に基盤を置いた経済安全保障同盟に生まれ変わることを希望する」と前向きに答えた。尹大統領もバイデン大統領と同じく韓米間の半導体協力に言及したが、強調点は微妙に異なった。中国牽制よりは韓米間の技術協力を通じた半導体産業の未来競争力強化に傍点を置いた。半導体装備の45%を米国に依存し半導体設計技術の確保が切実な韓国の状況を反映したものだ。
韓米技術同盟の政治的な意味合いは複合的だ。もし先端技術製品の供給網で中国を排除しようという意味が込められたとすれば韓中関係の悪化を招くだろう。韓国と中国は半導体でなくとも原材料とレアメタルなど多様な分野の供給網で絡み合っている。何より中国は韓国の輸出の4分の1を占める最大の輸出市場だ。中国メディアは韓国が米国主導の中国圧迫に参加する場合、韓中の経済貿易関係と韓半島(朝鮮半島)問題で代償を払うことになるという警告を飛ばしている。
だが韓国が中国に対し半導体を供給し続ける限り中国との関係を管理するには大きな問題はないものとみられる。むしろ米国は韓国と全方向的な半導体技術協力をするのをためらいかねない。すでに米国は中国牽制で意気投合した欧州連合(EU)と技術同盟に準じた半導体技術協力を進めている。16日に2回目の会議を終えた米国とEUの貿易技術協議会(TTC)で両陣営は天文学的な資金がかかる半導体技術の研究開発に共同参加すること方針を固めた。韓米技術同盟は韓国に中国もなだめ米国とも技術協力をしなくてはならないという難しい課題を投げかけている。
◇中国主導のRCEPと相互補完
こうした状況で韓国は23日に発足したインド太平洋経済枠組み(IPEF)に参加した。韓国のIPEF参加は中国を孤立させようとする米国主導の供給網秩序に韓国が参加することを選択したとの見方がある。王毅中国外相が韓国と日本の外相とのオンライン会談で両国のIPEF参加に強く反対し、「米国のインド太平洋戦略は中国を包囲しようとする試み」と反発したのはこうした見方からだ。
米国がインド太平洋地域で中国を牽制し米国の主導権を回復しようとする戦略の一環としてIPEFを提案した事実は否めない。しかしIPEFが供給網から中国を排除するための協定という主張はIPEFに過度な意味を与えるものだ。現在米国が提案したIPEFは公正な貿易、供給網、クリーンエネルギー・脱炭素化、租税・反腐敗の4つの主題別に概略的なロードマップだけ提示された状態だ。供給網はIPEFが扱うさまざまな主題のうちひとつにすぎない。いままさに交渉が始まるIPEFに具体的にどんな内容が盛り込まれるかはまだわからない。
IPEFは中国が主導した地域的な包括的経済連携(RCEP)と競争関係というよりは相互補完関係の側面が強い。何より両協定の参加国は多く重なる。当初IPEF参加国は13カ国で、発足から3日で南太平洋の島しょ国のフィジーが合流を宣言し14番目の参加国になった。このうちマレーシア、インドネシア、シンガポール、フィリピン、タイ、ベトナム、ブルネイの東南アジア7カ国と、韓国、日本、オーストラリア、ニュージーランドはRCEP参加国でもある。RCEPにはアセアン10カ国がすべて参加している。
◇韓国が交渉力拡大する機会
さらにIPEFの参加国の中にはIPEFが「反中連帯協定」になることを懸念する国が多い。対外経済政策研究院のIPEF最新動向報告書によると、韓国の半導体競合国である台湾のIPEF参加に対し東南アジアの一部の国は「台湾がIPEFに参加すれば中国の反発を招くことになる」として反対したという。こうした状況で米国がIPEFを通じて中国排除戦略を実現する可能性は大きくない。
【コラム】IPEF、韓国経済に必要な供給網確保チャンネルとして活用しなくては(2)
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