2月24日にロシアがウクライナを侵攻して始まった戦争の出口はどこなのか。米国・欧州が連携してロシアに経済制裁を加える中、戦争が長期化し、各国がエネルギー・食料需給に不安を感じている。西側の一部では終戦交渉条件をめぐり異なる声が出ている。戦争当事国のロシアとウクライナは現状況をどう診断し、どんな出口を摸索中なのか、両国の駐韓大使に会った。双方の主張を当事者の肉声を通じてそのまま伝える。
◆アンドレイ・クリク駐韓ロシア大使のインタビュー
「ロシアの『特殊軍事作戦』はウクライナの極端主義がもたらす『さらに悪いシナリオ』を先制的に防ぐための避けられない措置だった。プーチン大統領が当初からウクライナで目標にしていたことが達成されてこそ(特殊軍事作戦が)終わる」。
ソウル中区(チュング)の在韓ロシア大使館でアンドレイ・クリク大使に会った日は、戦争が始まって3カ月が経過した23日だった。その5日前(18日)には中立国のフィンランドとスウェーデンが北大西洋条約機構(NATO)加盟を申請した。予想外に長引く戦争と反作用にもかかわらず、クリク大使はプーチン大統領が主張する「戦争の名分」をそのまま繰り返した。さらに「脈絡なく事案の一部だけを切り離せば歪んだ結論にいたる」とし「正しい順序と方法で歴史を把握しなければいけない」と力説した。2時間ほどのインタビューでクリク大使は「戦争」「侵攻」という言葉を使わず「特殊軍事作戦」と表現した。
--開戦から3カ月が経過した。戦争はいつ終わるのか。
「ロシアの関係者はこの質問に常に『スパイのように機密を知ろうとするな』と冗談のように答える。現在まで特殊軍事作戦は計画通り遂行されていて、プーチン大統領が強調した目標と課題を終えてこそ終わる。具体的な日は後ほど知ることになるだろう」。(クリク大使は『3つの目標』を▼ウクライナで過去8年間虐待された人たちに対する保護▼ウクライナの脱ナチ・非武装化▼民間人に流血犯罪をした人たちの裁判--と答えた。またモルドバなどへの戦争拡大の懸念については「現実と全く合わない虚偽」と話した)
--ウクライナの脱ナチ化が侵攻の名分になるのか。
「ウクライナに反ユダヤ主義とネオ・ナチ思想など極端主義が非常に危険なレベルで広がっているという証拠はあまりにも多い(クリク大使は長い時間、これを詳細に説明した)。多くの人たちが『ウクライナに数万人のナチがいるとしても、なぜロシアが特殊軍事作戦をするか』と尋ねる。この人たちが看過しているのは、極端主義がウクライナにとどまらないということだ。ヒトラーが初めて極端主義を見せた当時、多くの人々があざ笑ったが、結局、世界が悲劇的な事態を経験した」
--NATOの東進に対応しようとしたが、むしろフィンランドやスウェーデンまでがNATOに加入を申請した。
「そのように言えば『ロシアはNATO拡大を防ごうと戦争を始めた。その結果NATOはさらに拡張された。したがってロシアはバカだ』という結論が出る。この状況をそのように単純化してはいけない。NATOは冷戦時代に欧州内の共産主義に対抗するために作られた団体だ。ソ連が解体され、NATOの敵、すなわち共産主義が消えた。NATOもなくなるのが論理的に合う。しかしNATOは5回拡張した。同時に西側はロシアが提案した平和と共存のための交渉をすべて無視した。そしてNATOがフィンランドやスウェーデンに加入の説得をしてきたというのは公然たる事実だ。ロシアの忍耐と警告を無視し、安保の脅威を加えたのは西側だ。『特殊軍事作戦』は、レッドラインを越えた西側、ドンバス地域で『人種粛清』などを準備中だったウクライナを防ぐためのロシアの避けられない決定だった」
--米国・欧州の強度が高い制裁によってロシア経済が打撃を受けている。
「西側は主権を持つ強いロシアを望まない。ロシアが(侵攻を)しなくても西側はロシアを制裁したはずだ。今まで1万128件の経済制裁があり、これはイラン・北朝鮮を超える最大規模だ。世界およそ200カ国のうち48カ国だけが制裁に参加している。ラテンアメリカ、アジアの大きな国はロシアと共にしている。もちろんロシアは制裁で厳しいが、西側が期待していたほどではない」
--世界食糧危機が深刻になり、世界食糧計画(WFP)がロシアに黒海の港封鎖を解除するよう訴えている。
「西側はロシアを非難しようと『食糧危機』関連の容疑までかぶせている。専門家らは食糧危機の主な原因で新型コロナによるサプライチェーン崩壊、運送費の上昇を挙げる。また米国・欧州連合(EU)・日本が経済危機に対応するために8兆ドル(約約114兆円)以上を投入したことでインフレが進み、食糧価格を引き上げた。米国・カナダ・オーストラリア・フランスなどの気象悪化も作用した。核心要因をみると、ロシアの特殊軍事作戦は食糧危機にいかなる影響を及ぼしていない」
--戦争によって結果的に世界軍備競争が生じたのでは。
「(大きなため息の後)ロシアは今回の特殊軍事作戦で批判ばかりを受けている。しかし作戦遂行をしなかったとすれば、世界は軍備競争レベルを越える、さらに危険な状況とより大きな規模の紛争を迎えたはずだ」
--韓国も対ロシア制裁に一部参加した。
「韓国が制裁に参加するしかない対外的要因を理解する。朝鮮半島情勢は韓国の対外政策の核心だが、この部分でロシアといつも緊密に協力してきた。今も良いシグナルが多く、両国の交流は続くだろう」
--プーチン大統領の健康状態はどうか。
「大統領と私はほぼ同じ年齢だ(※クリク大使は53年生まれ、プーチン大統領は52年生まれ)。普段から彼の健康の半分だけでも真似たいと思っているほどだ。ロシア語には『キュウリのようだ』という表現があるが、若く見えるという意味であり、プーチン大統領に言えるだろう」
◆アンドレイ・クリク駐韓ロシア大使のインタビュー
「ロシアの『特殊軍事作戦』はウクライナの極端主義がもたらす『さらに悪いシナリオ』を先制的に防ぐための避けられない措置だった。プーチン大統領が当初からウクライナで目標にしていたことが達成されてこそ(特殊軍事作戦が)終わる」。
ソウル中区(チュング)の在韓ロシア大使館でアンドレイ・クリク大使に会った日は、戦争が始まって3カ月が経過した23日だった。その5日前(18日)には中立国のフィンランドとスウェーデンが北大西洋条約機構(NATO)加盟を申請した。予想外に長引く戦争と反作用にもかかわらず、クリク大使はプーチン大統領が主張する「戦争の名分」をそのまま繰り返した。さらに「脈絡なく事案の一部だけを切り離せば歪んだ結論にいたる」とし「正しい順序と方法で歴史を把握しなければいけない」と力説した。2時間ほどのインタビューでクリク大使は「戦争」「侵攻」という言葉を使わず「特殊軍事作戦」と表現した。
--開戦から3カ月が経過した。戦争はいつ終わるのか。
「ロシアの関係者はこの質問に常に『スパイのように機密を知ろうとするな』と冗談のように答える。現在まで特殊軍事作戦は計画通り遂行されていて、プーチン大統領が強調した目標と課題を終えてこそ終わる。具体的な日は後ほど知ることになるだろう」。(クリク大使は『3つの目標』を▼ウクライナで過去8年間虐待された人たちに対する保護▼ウクライナの脱ナチ・非武装化▼民間人に流血犯罪をした人たちの裁判--と答えた。またモルドバなどへの戦争拡大の懸念については「現実と全く合わない虚偽」と話した)
--ウクライナの脱ナチ化が侵攻の名分になるのか。
「ウクライナに反ユダヤ主義とネオ・ナチ思想など極端主義が非常に危険なレベルで広がっているという証拠はあまりにも多い(クリク大使は長い時間、これを詳細に説明した)。多くの人たちが『ウクライナに数万人のナチがいるとしても、なぜロシアが特殊軍事作戦をするか』と尋ねる。この人たちが看過しているのは、極端主義がウクライナにとどまらないということだ。ヒトラーが初めて極端主義を見せた当時、多くの人々があざ笑ったが、結局、世界が悲劇的な事態を経験した」
--NATOの東進に対応しようとしたが、むしろフィンランドやスウェーデンまでがNATOに加入を申請した。
「そのように言えば『ロシアはNATO拡大を防ごうと戦争を始めた。その結果NATOはさらに拡張された。したがってロシアはバカだ』という結論が出る。この状況をそのように単純化してはいけない。NATOは冷戦時代に欧州内の共産主義に対抗するために作られた団体だ。ソ連が解体され、NATOの敵、すなわち共産主義が消えた。NATOもなくなるのが論理的に合う。しかしNATOは5回拡張した。同時に西側はロシアが提案した平和と共存のための交渉をすべて無視した。そしてNATOがフィンランドやスウェーデンに加入の説得をしてきたというのは公然たる事実だ。ロシアの忍耐と警告を無視し、安保の脅威を加えたのは西側だ。『特殊軍事作戦』は、レッドラインを越えた西側、ドンバス地域で『人種粛清』などを準備中だったウクライナを防ぐためのロシアの避けられない決定だった」
--米国・欧州の強度が高い制裁によってロシア経済が打撃を受けている。
「西側は主権を持つ強いロシアを望まない。ロシアが(侵攻を)しなくても西側はロシアを制裁したはずだ。今まで1万128件の経済制裁があり、これはイラン・北朝鮮を超える最大規模だ。世界およそ200カ国のうち48カ国だけが制裁に参加している。ラテンアメリカ、アジアの大きな国はロシアと共にしている。もちろんロシアは制裁で厳しいが、西側が期待していたほどではない」
--世界食糧危機が深刻になり、世界食糧計画(WFP)がロシアに黒海の港封鎖を解除するよう訴えている。
「西側はロシアを非難しようと『食糧危機』関連の容疑までかぶせている。専門家らは食糧危機の主な原因で新型コロナによるサプライチェーン崩壊、運送費の上昇を挙げる。また米国・欧州連合(EU)・日本が経済危機に対応するために8兆ドル(約約114兆円)以上を投入したことでインフレが進み、食糧価格を引き上げた。米国・カナダ・オーストラリア・フランスなどの気象悪化も作用した。核心要因をみると、ロシアの特殊軍事作戦は食糧危機にいかなる影響を及ぼしていない」
--戦争によって結果的に世界軍備競争が生じたのでは。
「(大きなため息の後)ロシアは今回の特殊軍事作戦で批判ばかりを受けている。しかし作戦遂行をしなかったとすれば、世界は軍備競争レベルを越える、さらに危険な状況とより大きな規模の紛争を迎えたはずだ」
--韓国も対ロシア制裁に一部参加した。
「韓国が制裁に参加するしかない対外的要因を理解する。朝鮮半島情勢は韓国の対外政策の核心だが、この部分でロシアといつも緊密に協力してきた。今も良いシグナルが多く、両国の交流は続くだろう」
--プーチン大統領の健康状態はどうか。
「大統領と私はほぼ同じ年齢だ(※クリク大使は53年生まれ、プーチン大統領は52年生まれ)。普段から彼の健康の半分だけでも真似たいと思っているほどだ。ロシア語には『キュウリのようだ』という表現があるが、若く見えるという意味であり、プーチン大統領に言えるだろう」
この記事を読んで…