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「金正恩に非核化の意志ある」「トランプは悪くない」…こうした文在寅大統領の錯覚(2)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
文大統領は2017年8月の就任100日記念記者会見で北朝鮮に対するレッドラインを問う質問に「北朝鮮がICBM弾道ミサイルを完成し、そこに核弾頭を搭載して兵器化するようになること」と規定した。

禁止線を意味するレッドラインは通常、超えれば外交的状況から軍事的状況への転換を示唆する。そのようなレッドラインをはばかることなく明確に引いたのも不適切だったが、韓国を狙う短距離ミサイルは禁忌に設定しないことも議論になった。

だが5年後もこうした考えは変わっていないのだ。実際に文大統領はJTBCの対談でも「(最近)ICBMが発射され、これは明確にレッドラインを超えるもの」とまた話した。


(3)すべての外交の中心は北朝鮮だった。

トランプ前米大統領に対する文大統領の評価は厚かった。ところが理由はすべて北朝鮮だった。

「米国内では北朝鮮との交渉に好意的でないのにこれを押し切って金正恩委員長と直接会った」「北朝鮮を圧迫しようとする共和党の雰囲気の中で条件さえ合えば取引できるという態度が私たちにはとても良かった」などだ。

ことあるごとに在韓米軍撤収をちらつかせて脅迫し、ただ乗りするなと防衛費の大幅増額を要求してきたトランプが韓米同盟を損ねたという一般的評価とは乖離が大きかった。

防衛費と関連しても文大統領は「一気に5倍に上げてくれと言われて断った。彼はこうした主張の違いを当然と考え、これを別の問題と混ぜなかった。そうした点が非常に良かった」と話した。

だが実際にトランプが防衛費交渉初会議が開かれた2018年3月当時に初めて要求した金額は1.5倍の増額となる約1兆4400億ウォンだった。中間にあった5倍の要求は一種の交渉戦術だった。

ところが昨年韓国政府が米国と合意した防衛費引き上げ幅の通りならば防衛費協定最終年である2025年には韓国が出す防衛費総額が1兆5000億ウォンまで引き上げられる可能性がある。トランプが最初に望んだ総額を超える格好だ。

結局保証金を上げない代わりに月家賃を大幅に上げたも同然なのに、それでも文大統領はトランプに対して「韓国との関係においてだけは私はとても良かった」と話した。金正恩と首脳会談をしたためだ。外交の中心を北朝鮮にだけ置いているという任期中を通して提起され続けていた懸念を自ら認めたのと同じだった。

北朝鮮を対話で牽引しようとする文大統領の努力は本心だったが、こうした信念のひとつひとつが結局予想した限界を表わした結果が現在のみすぼらしい南北関係だ。

だが文大統領は「それ(南北関係改善)を最後まで成し遂げられなかったことに対し色々な物足りなさがあるものであり、その過程は批判を受けることではない」と話した。「なぜ批判するのか」という話もこうした流れで出た。

なぜ批判するのか答えるならば、冷酷な国際政治の世界で、それも北朝鮮のような相手を扱う上で「負けたけどよく戦った」は容認されないためだ。熱心にやったからといいのではない。結果が過程を正当化したり否定することもできるのが外交だ。

もし外交で「負けたけどよく戦った」に意味を持たせようとするなら、未来につながる関係が担保されなければならない。その場では残念な結果が出たとしても次を既に約束できるならば、いまよく戦った過程が影響を及ぼしかねない。だが気に食わないからと連絡事務所を爆破してしまう北朝鮮とどのように未来の関係を担保し過程そのものに意味を置けるのか。

南北関係は努力したという過程だけでも認められるオリンピックではない。「負けたけどよく戦った」は弁明にすることはできない。


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