BTSの今月ラスベガスコンサートには約5万個の客席がいっぱいとなった。[写真 HYBE]
専門家は「韓国の文化消費力がようやく一歩を踏み出した段階であるため」と説明する。K-POP供給者の世界的な成果をもう内需市場が追いつく番だ。観光産業に結び付ければ、成長潜在力は思ったよりはるかに大きいという分析が出ている。
韓国開発研究院(KDI)によると、2019年基準でBTS(防弾少年団)のコンサートの「チケットパワー」は世界5位だ。1年間33回の公演を通じてチケット133万枚を売った。世界的なアーティストであるボン・ジョヴィ(131万枚)、ショーン・メンデス(118万枚)、アリアナ・グランデ(109万枚)を上回った。世界1、2位はエド・シーラン(246万枚)、P!NK(182万枚)が占めた。
このようなBTSの成績が「奇跡」と見なされるほど韓国公演市場の規模は小さい。世界的なコンサルティング会社「プライスウォーターハウスクーパース(PwC)」によると、韓国公演音楽市場(2019年基準)の規模は4億4900万ドルで、世界1位である米国(108億8500万ドル)の4%、2位である日本の(29億700万ドル)の16%水準だ。経済規模と人口数を考慮しても非常に小さい規模だ。
音楽公演会場は普通ホール(5000席内外)、アリーナ(1万~2万席)、スーパーアリーナ(3万席以上)、ドーム(5万席以上)、スタジアム(7万席以上)に区分する。米国は言うまでもなく、日本にはさいたまスーパーアリーナ(3万7000席)、横浜アリーナ(1万7000席)、ぴあアリーナMM(1万2000席)、大阪アリーナ(1万5000席)など音楽専用、または公演中心に運営される多目的アリーナが4カ所以上だ。韓国には1万人以上が入るアリーナ級公演会場が1カ所もない実情だ。
文化産業は国家が豊かになるからと言って自ずと成長する産業でない。余暇時間が充分で、無形の商品に財布の紐を快く緩める消費者が多くなければならない。結局、市場の成熟度が重要だということだ。たとえば、人口大国であり所得は急速に増加した中国の公演音楽市場規模は2億5800万ドルにとどまる。これは韓国の57%水準だ。
韓国の場合、公演産業の成長を試みるためには観光産業の活性化が先行する必要がある。現代経済研究院のパク・ヨンジョン産業革新チーム長は「日本はレコード産業が韓国よりはるかに先に始まり、内需市場もかたい」として「韓国の場合、内需に限ってもアリーナ級公演会場を建てる大規模の投資が難しいが、K-POPを楽しむために韓国を訪れる外国人観光客の誘致が伴われれば十分に成長の余力がある」と話した。
実際に、韓国観光公社の「2021年潜在訪韓旅行客調査」によると、韓国旅行の意向がある消費者の訪韓の理由1位は「K-POPなどの文化体験の目的」だった。
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