先月、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領が自国安保会議でウクライナの戦況を説明しながらモルドバ侵攻計画のように見える表示がある地図を公開した。ルカシェンコ大統領が公開した地図中のロシア軍のモルドバ攻撃経路。[グラフィック キム・ジュウォン記者]
AP通信やニューヨーク・タイムズ(NYT)などによると、トランスニストリア警察はこの日、首都ティラスポリの国家安保省の建物にロケット推進手榴弾を使用したと推定される攻撃が相次いで発生したと明らかにした。人命被害はなく、攻撃背後もまだ明らかになっていない。トランスニストリア内務省はソーシャルメディア(SNS)に建物の窓が割れて煙が立ち上る様子を公開した。
人口47万人のトランスニストリアはモルドバ領土の中にあるが、ロシアの支援を受けてモルドバから分離独立を宣言した未承認国家だ。住民の大多数がロシア系で、平和維持軍を含むロシア軍が1500人以上駐留中の親露自治共和国だ。法律上はモルドバ領土だが、モルドバ中央政府との葛藤が続き、「東欧の火薬庫」と呼ばれてきた。
モルドバはロシアのウクライナ侵攻初期からジョージアとともに「戦争拡大の懸念が最も大きい国」と見られてきた。この日の連続爆発事故を巡っても、ロシアがモルドバに軍隊を進入させる口実を作ろうとする偽旗(False flag)作戦ではないかという懸念が提起されている。モルドバ外務省は声明を通じて「今日の事件の目的は憲法機関の統制を受けないトランスニストリア地域の治安状況を悪用する口実づくり」としながら「甚だ懸念される」と明らかにした。
これに先立ち、ロシア軍高位関係者が「特殊軍事作戦第2段階の目標」を明らかにする過程でトランスニストリアに言及したことがある。今月22日、ロシア中央軍管区のルスタム・ミネカエフ副司令官は防衛産業連合年例会議で「ロシア軍の次の目標はウクライナ東南部の完全な掌握」としながら「掌握できればトランスニストリアに向かうもう一つの『進入路』が確保される」と発言した。
ミネカエフ副司令官はまた「トランスニストリアでロシア語を使用する人口に対する弾圧がある」とも主張した。これに対してフィナンシャル・タイムズ(FT)は「ロシアがウクライナ侵攻直前、ウクライナ政府が東部ドンバス地域のロシア語使用住民たちを弾圧していると口実を作ったのと同じような脈絡」と伝えた。これに先立ち、米国はロシア軍が他国の領土を侵攻する口実を作るために「偽旗作戦」を開始するだろうと繰り返し警告してきた。
ワシントン・ポスト(WP)は今回の事件がロシアがトランスニストリアに駐留中のロシア平和維持軍兵力をウクライナ南西部の侵攻に引き込むために行った自作劇の可能性があると伝えた。トランスニストリアはロシアが最近攻勢程度を高めているウクライナ西部湾岸都市オデッサからわずか40キロメートルの距離にある。
ウクライナ国防省情報総局も「ロシア連邦保安庁(FSB)がトランスニストリア内に『反ウクライナ』感情を植えつけて、戦争に引き込もうとしている」としながら「このような追加挑発を継続するだろう」と述べた。
モルドバ外務省は「ロシアがトランスニストリア内でウクライナ戦争に派兵する軍隊を募集している」としながら、市民に「非常に危険で必ず食い止めなければならない」と警告した。これに対してロシア外務省は「トランスニストリアで衝突脅威が高まるリスクを全く知ることができなかった」としながらロシア介入説を一蹴した。
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