年初から北朝鮮の挑発が激しい。極超音速ミサイル発射を始まりに今年に入り10回以上ミサイル挑発を敢行した。先月24日には「怪物ICBM(大陸間弾道ミサイル)」とのニックネームがついた「火星17型」を高角発射したと発表したりもした。
このように北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が核とICBMモラトリアムを破棄し武力示威に出ていることから、近く発足する尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権との対立も避けられないものとみられる。そうした中で南北の軍事力と対応戦略がこれまでどのように進化し、今後どのようにアップグレードされるかも関心を集めている。在来式戦力に核とミサイルなどが追加されさらに強化された高度な軍事・国防戦略が要求されているという点からだ。
何より北朝鮮は核とミサイルに国運をかけている。現在まで北朝鮮が開発し実戦配備したミサイルだけで20種類に達する。以前はスカッドやノドンなど旧型短距離弾道ミサイルが主流だったが、いまは下降中に再び上昇するプルアップ機動が可能な戦術弾道ミサイルから米国本土を打撃できるICBMまで多様なミサイルを備えている。
注目すべきは2018年から姿を見せたKN23、KN24、KN25の「短距離ミサイル三銃士」だ。KN23は現在ロシアがウクライナ攻撃に使っているイスカンデルミサイルの北朝鮮版だ。プルアップ機動が可能で迎撃ミサイルも避けられる。KN23・KN24とも小型核弾頭を装着できる。これら短距離三銃士が危険だと評価される理由はいずれも精密打撃が可能なためだ。戦術核を搭載したKN23・24が核心標的を除去する間にKN25は在来式弾頭を浴びせながら全方向に攻勢に出ることができる。北朝鮮の次期弾道ミサイル戦力の核心ということだ。
これに対し北朝鮮の核戦争力は米国牽制が目標だ。主要打撃目標は韓半島(朝鮮半島)増援戦力である在日米軍と戦略爆撃機の最前進基地であるグアムのインド太平洋軍司令部があるハワイなどだ。しかしやはり核心は米本土を狙うことができるICBMだ。2017年にICBMとして火星14型と火星15型が開発されたがいずれもミサイル防衛(MD)システムで迎撃できる水準だった。これを克服するために開発したのが火星17型だ。
核戦争力のまた別の「ワイルドカード」は潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)だ。北朝鮮は「北極星1・3・4・5」だけでなく、潜水艦発射用KN23まで多様なミサイルを準備している状態だ。北朝鮮の究極的な目標は原子力潜水艦を開発しSLBMを搭載することにより核報復能力を確保することだ。
核脅威の完成に向けては発射体であるミサイルに核弾頭も重要だ。現在北朝鮮はミラーボール形の20キロトン級戦術核弾頭と、装具形の200キロトン級戦略核弾頭の2種類を保有している。問題は既存の弾頭が旧世代ミサイルに合わされておりKN23など次世代ミサイルには搭載が不可能という点だ。北朝鮮が7回目の核実験を実施するだろうという観測が出ているのもこうした理由からだ。
また、北朝鮮は金正恩執権後に国防改革に拍車をかけてきた。軍部の世代交代だけでなく戦略軍と特殊作戦軍という新たな兵種を定着させ、戦車や高速艦など在来式兵器も世代交代に出た。何より懸念されるのは北朝鮮の武装が次第に精密打撃を追求しているという点だ。北朝鮮は対戦車兵器だけでなく放射砲弾にも誘導装置を搭載するなど精密打撃能力を強化している。この場合韓国軍のK1・K2戦車を無力化したり指揮部を狙った精密打撃も可能になる。韓米連合軍が精密打撃能力を独占した時代が終わろうとしている格好だ。
こうした北朝鮮の脅威に新たに発足する尹錫悦政権は「韓国型3軸体系」の復元で対応する計画だ。大統領選挙公約で「先制打撃」と「THAAD追加配備」を取り挙げたのもこうした脈絡からだ。3軸体系は北朝鮮の核攻撃切迫時に攻撃原点へ先制的に反撃するキルチェーン、飛んでくるミサイルを空中で防ぐ韓国型ミサイル防衛システム(KAMD)、敵に圧倒的報復の脅威を知らせ挑発を抑止する韓国型大量報復(KMPR)などで構成されている。
キルチェーンの主力は空軍F15KとKF16など最新戦闘機、玄武2A・B・C弾道ミサイルと玄武3巡航ミサイルなどだ。ミサイル防衛の場合、地域防衛はパトリオットPAC3、広域防衛はTHAADシステムを活用し、ここにアラブ首長国連邦にも輸出された国産迎撃ミサイル天弓2が追加された。KMPR用兵器はF35ステルス戦闘機や玄武4ミサイルが代表的だ。
そうした中、核で武装した北朝鮮をKMPRで抑止するには結局は核打撃能力が重要だという声も大きくなっている。このため米国の資産を韓国のもののように使えなければならないという主張も提起される。ミサイル防衛強化に向けてはTHAAD追加導入に先立ちまず米国のMDシステムと統合ネットワークを構築する案も議論される。こうした状況で指導者が原則に基づいて強固な意志を見せるのが最善の対北朝鮮抑止力になるだろう。国の価値と国民守護、国益優先の原則に立脚した新政権の安全保障政策が重要な理由だ。
ヤン・ウク/峨山政策研究院副研究委員
このように北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が核とICBMモラトリアムを破棄し武力示威に出ていることから、近く発足する尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権との対立も避けられないものとみられる。そうした中で南北の軍事力と対応戦略がこれまでどのように進化し、今後どのようにアップグレードされるかも関心を集めている。在来式戦力に核とミサイルなどが追加されさらに強化された高度な軍事・国防戦略が要求されているという点からだ。
何より北朝鮮は核とミサイルに国運をかけている。現在まで北朝鮮が開発し実戦配備したミサイルだけで20種類に達する。以前はスカッドやノドンなど旧型短距離弾道ミサイルが主流だったが、いまは下降中に再び上昇するプルアップ機動が可能な戦術弾道ミサイルから米国本土を打撃できるICBMまで多様なミサイルを備えている。
注目すべきは2018年から姿を見せたKN23、KN24、KN25の「短距離ミサイル三銃士」だ。KN23は現在ロシアがウクライナ攻撃に使っているイスカンデルミサイルの北朝鮮版だ。プルアップ機動が可能で迎撃ミサイルも避けられる。KN23・KN24とも小型核弾頭を装着できる。これら短距離三銃士が危険だと評価される理由はいずれも精密打撃が可能なためだ。戦術核を搭載したKN23・24が核心標的を除去する間にKN25は在来式弾頭を浴びせながら全方向に攻勢に出ることができる。北朝鮮の次期弾道ミサイル戦力の核心ということだ。
これに対し北朝鮮の核戦争力は米国牽制が目標だ。主要打撃目標は韓半島(朝鮮半島)増援戦力である在日米軍と戦略爆撃機の最前進基地であるグアムのインド太平洋軍司令部があるハワイなどだ。しかしやはり核心は米本土を狙うことができるICBMだ。2017年にICBMとして火星14型と火星15型が開発されたがいずれもミサイル防衛(MD)システムで迎撃できる水準だった。これを克服するために開発したのが火星17型だ。
核戦争力のまた別の「ワイルドカード」は潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)だ。北朝鮮は「北極星1・3・4・5」だけでなく、潜水艦発射用KN23まで多様なミサイルを準備している状態だ。北朝鮮の究極的な目標は原子力潜水艦を開発しSLBMを搭載することにより核報復能力を確保することだ。
核脅威の完成に向けては発射体であるミサイルに核弾頭も重要だ。現在北朝鮮はミラーボール形の20キロトン級戦術核弾頭と、装具形の200キロトン級戦略核弾頭の2種類を保有している。問題は既存の弾頭が旧世代ミサイルに合わされておりKN23など次世代ミサイルには搭載が不可能という点だ。北朝鮮が7回目の核実験を実施するだろうという観測が出ているのもこうした理由からだ。
また、北朝鮮は金正恩執権後に国防改革に拍車をかけてきた。軍部の世代交代だけでなく戦略軍と特殊作戦軍という新たな兵種を定着させ、戦車や高速艦など在来式兵器も世代交代に出た。何より懸念されるのは北朝鮮の武装が次第に精密打撃を追求しているという点だ。北朝鮮は対戦車兵器だけでなく放射砲弾にも誘導装置を搭載するなど精密打撃能力を強化している。この場合韓国軍のK1・K2戦車を無力化したり指揮部を狙った精密打撃も可能になる。韓米連合軍が精密打撃能力を独占した時代が終わろうとしている格好だ。
こうした北朝鮮の脅威に新たに発足する尹錫悦政権は「韓国型3軸体系」の復元で対応する計画だ。大統領選挙公約で「先制打撃」と「THAAD追加配備」を取り挙げたのもこうした脈絡からだ。3軸体系は北朝鮮の核攻撃切迫時に攻撃原点へ先制的に反撃するキルチェーン、飛んでくるミサイルを空中で防ぐ韓国型ミサイル防衛システム(KAMD)、敵に圧倒的報復の脅威を知らせ挑発を抑止する韓国型大量報復(KMPR)などで構成されている。
キルチェーンの主力は空軍F15KとKF16など最新戦闘機、玄武2A・B・C弾道ミサイルと玄武3巡航ミサイルなどだ。ミサイル防衛の場合、地域防衛はパトリオットPAC3、広域防衛はTHAADシステムを活用し、ここにアラブ首長国連邦にも輸出された国産迎撃ミサイル天弓2が追加された。KMPR用兵器はF35ステルス戦闘機や玄武4ミサイルが代表的だ。
そうした中、核で武装した北朝鮮をKMPRで抑止するには結局は核打撃能力が重要だという声も大きくなっている。このため米国の資産を韓国のもののように使えなければならないという主張も提起される。ミサイル防衛強化に向けてはTHAAD追加導入に先立ちまず米国のMDシステムと統合ネットワークを構築する案も議論される。こうした状況で指導者が原則に基づいて強固な意志を見せるのが最善の対北朝鮮抑止力になるだろう。国の価値と国民守護、国益優先の原則に立脚した新政権の安全保障政策が重要な理由だ。
ヤン・ウク/峨山政策研究院副研究委員
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