今回は33万ウォン(約3万3300円)の時計だ。26日にスウォッチがオメガとコラボレーションした時計「ムーンスウォッチ」を発売すると世界中の店舗に人々が殺到した。早朝からショップ前に数十、数百人が並んで待機する「オープンラン」が起きた(注:韓国でオープンランとは、開店前に列に並ぶことを意味する)。ソウル・ニューヨーク・東京・ロンドン・香港・ジュネーブ・ミラノなど世界各地での様子は皆似たり寄ったりだった。客の間で小競り合いが起きて販売が中断されたり、警察が出動したりもした。一見すると900万ウォンのオメガ名品時計「ムーンウォッチ」と似ているというから納得がいく。30日、リセール(中古)プラットフォームにはムーンスウォッチの時計が145万~290万ウォン台で登場した。
先月、歌手パク・ジェボムが手掛けたオリジナル焼酎「WON SOJU」発売時にもオープンランが起きた。若者消費者が店の前に1000人以上並んだ。焼酎としては高いが(1万4900ウォン)、発売1週間で2万本が完売した。だが高額のものだけがオープンランの対象ではない。最近、韓国の市中のコンビニでは1500ウォンのポケンモンパンのオープンランが大きな盛り上がりを見せている。ポケモンキャラクターのステッカー(ティブティブシール)15種がランダムに入っていて、お気に入りのキャラクターが出てくる時まで買って、また買う。16年ぶりのリニューアル発売によって、シール集めの思い出を胸に20~30代が熱狂している。品切れ続出で入庫時間に合わせて待機の列ができる。希少ステッカーは中古サイトで4~5万ウォン台で取り引きされることもある。ポケンモンパンは発売1カ月で700万個も売れた。
◆オープラン、どこまでやった…?
「早朝6時45~50分からモバイルアプリの接続を準備せよ。スマートフォンを数台駆使できるなら、2~3分間隔で順番に接続せよ。接続待機人数が7万人なら約20分、4~5万人なら10分をやや超えるまで待つつもりでいなければならない。7時以前に接続できそうだったら、思い切って『再読み込み』して後ろに回って7時を待て。入力がキャンセルになるかもしれないので携帯電話を絶対に揺らしたり触ったりせず、地面に置いて待機せよ」。
とある掲示板で人気記事として紹介されているスターバックスグッズを得るノウハウだ(『トレンドコリア2022』)。一種の「オンライン・オープンラン」だ。有名アイドルコンサート「ピケッティング(血が飛び散るチケット購入=激しい争奪戦が起きるチケット購入)」を彷彿させる。限定版のスターバックスグッズを買える資格(一定回数のフリークエンシー・ポイントクーポン)を獲得するために飲料を数十杯を飲まないで捨てたというエピソードまで登場した。
オープンランの元祖は映画『スターウォーズ』シリーズや小説『ハリーポッター』、あるいはアップルの熱烈なファンが新しい映画の公開や小説、新製品の発売日に並んで待つファン文化だ。シャネルなどブランド品オープンラン、ブランド品とコラボするかリミテッドエディション運動靴のような限定版オープンランを経て、最近では「人気がある、希少性がある、収集癖を刺激する、また売ってお金になる」アイテム全般に広がった。モノだけではない。有名なグルメ店などホットプレイスで待機して入場する、経験のオープンランもある。列に並ぶ代行アルバイトも生まれた。夜を徹して代わりに並んだり、さらには1等席を販売したりもする。
オープンランする(列に並ぶ)トレンディーな自分をソーシャルメディア(SNS)で公開するのは基本だ。未来よりも現在に投資して過消費を楽しむ「フレックス(高価なものを買って自慢する)」文化、普段はコスパにうるさいが気に入った製品には気前よくお金を使う「アンビシューマー(両面的消費者・ambisumer、ambiguous+consumer)」の誕生、リセール(再販・resell)マーケットの登場、制限された物量で顧客の渇望を刺激する「ハンガー(hunger)マーケティング」などが結合した新しい消費文化だ。高く転売することができ、消費ではない投資、財テクという性格も持ち合わせている。オープンランが機会の平等に敏感な20~30代とフィットしているという解釈もある。勤勉でさえあれば誰でも機会を持つことができて公平だという認識だ。
米国ブルームバーグ通信は昨年末、韓国のオープンラン現象にスポットライトを当てて「パンデミック状況で韓国では肉やトイレットペーパーの列の割り込みではなく、早朝5時からデパートの前に並んで9500ドル(約116万円)のカバンを買う慣習ができた」と報じた。その背景として「コロナ報復消費」とともに「住居価格の急騰で家を買うことができないという喪失感に陥った20~30代が現在を楽しむ消費をしている」と分析した。
【コラム】われ「トクテム」、ゆえにわれあり…韓国MZ世代オープンランの本音(2)
先月、歌手パク・ジェボムが手掛けたオリジナル焼酎「WON SOJU」発売時にもオープンランが起きた。若者消費者が店の前に1000人以上並んだ。焼酎としては高いが(1万4900ウォン)、発売1週間で2万本が完売した。だが高額のものだけがオープンランの対象ではない。最近、韓国の市中のコンビニでは1500ウォンのポケンモンパンのオープンランが大きな盛り上がりを見せている。ポケモンキャラクターのステッカー(ティブティブシール)15種がランダムに入っていて、お気に入りのキャラクターが出てくる時まで買って、また買う。16年ぶりのリニューアル発売によって、シール集めの思い出を胸に20~30代が熱狂している。品切れ続出で入庫時間に合わせて待機の列ができる。希少ステッカーは中古サイトで4~5万ウォン台で取り引きされることもある。ポケンモンパンは発売1カ月で700万個も売れた。
◆オープラン、どこまでやった…?
「早朝6時45~50分からモバイルアプリの接続を準備せよ。スマートフォンを数台駆使できるなら、2~3分間隔で順番に接続せよ。接続待機人数が7万人なら約20分、4~5万人なら10分をやや超えるまで待つつもりでいなければならない。7時以前に接続できそうだったら、思い切って『再読み込み』して後ろに回って7時を待て。入力がキャンセルになるかもしれないので携帯電話を絶対に揺らしたり触ったりせず、地面に置いて待機せよ」。
とある掲示板で人気記事として紹介されているスターバックスグッズを得るノウハウだ(『トレンドコリア2022』)。一種の「オンライン・オープンラン」だ。有名アイドルコンサート「ピケッティング(血が飛び散るチケット購入=激しい争奪戦が起きるチケット購入)」を彷彿させる。限定版のスターバックスグッズを買える資格(一定回数のフリークエンシー・ポイントクーポン)を獲得するために飲料を数十杯を飲まないで捨てたというエピソードまで登場した。
オープンランの元祖は映画『スターウォーズ』シリーズや小説『ハリーポッター』、あるいはアップルの熱烈なファンが新しい映画の公開や小説、新製品の発売日に並んで待つファン文化だ。シャネルなどブランド品オープンラン、ブランド品とコラボするかリミテッドエディション運動靴のような限定版オープンランを経て、最近では「人気がある、希少性がある、収集癖を刺激する、また売ってお金になる」アイテム全般に広がった。モノだけではない。有名なグルメ店などホットプレイスで待機して入場する、経験のオープンランもある。列に並ぶ代行アルバイトも生まれた。夜を徹して代わりに並んだり、さらには1等席を販売したりもする。
オープンランする(列に並ぶ)トレンディーな自分をソーシャルメディア(SNS)で公開するのは基本だ。未来よりも現在に投資して過消費を楽しむ「フレックス(高価なものを買って自慢する)」文化、普段はコスパにうるさいが気に入った製品には気前よくお金を使う「アンビシューマー(両面的消費者・ambisumer、ambiguous+consumer)」の誕生、リセール(再販・resell)マーケットの登場、制限された物量で顧客の渇望を刺激する「ハンガー(hunger)マーケティング」などが結合した新しい消費文化だ。高く転売することができ、消費ではない投資、財テクという性格も持ち合わせている。オープンランが機会の平等に敏感な20~30代とフィットしているという解釈もある。勤勉でさえあれば誰でも機会を持つことができて公平だという認識だ。
米国ブルームバーグ通信は昨年末、韓国のオープンラン現象にスポットライトを当てて「パンデミック状況で韓国では肉やトイレットペーパーの列の割り込みではなく、早朝5時からデパートの前に並んで9500ドル(約116万円)のカバンを買う慣習ができた」と報じた。その背景として「コロナ報復消費」とともに「住居価格の急騰で家を買うことができないという喪失感に陥った20~30代が現在を楽しむ消費をしている」と分析した。
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