ロシアのウクライナ侵攻事態の渦中にウクライナ義勇軍に合流した海軍特殊戦団（ＵＤＴ／ＳＥＡＬ）大尉出身のユーチューバー、イ・グンさん（３８）に対して韓国政府が「入国時通知措置」を取ったことが分かった。入国時通知措置という対象者が入国した時に入国事実を捜査機関に通知することだ。

政府はまたイさんのようにウクライナ義勇軍に合流するという意思を表明した韓国人１００人ほどに対して出国を禁じる案を検討中だという。

◆イ・グンさん、帰国し次第逮捕の可能性…初の私戦罪の処罰対象に？


１７日、中央日報の取材を総合すると、韓国法務部は最近、イさんに対して入国時通知措置を取った。イさんが韓国に帰国したら直ちにイさんを捜査中の警察に入国事実を通知する予定だ。警察は捜査経過によりイさんを入国直後に逮捕する可能性もある。

これに先立ち、外交部は１０日、イさんとその一行２人に対して旅券法違反容疑で警察に告発し、ソウル警察庁国際犯罪捜査２係は捜査に着手した。

イさん一行が渡航禁止地域であるウクライナに許可なく入ったというのが告発状の要旨だ。罪が認められれば彼らは１年以下の懲役刑、または１０００万ウォン（約９８万円）以下の罰金刑に処せられる。パスポートの無効化などの行政制裁も可能だ。警察は、旅券法違反だけでなく私戦罪なども適用される余地があるかどうかも検討中だという。

私戦罪は、国の宣戦布告や戦闘命令がないにもかかわらず、私人が外国を相手に戦闘することを意味する。私戦罪を犯した者（未遂犯含む）は１年以上の有期禁錮刑を受けることができる。予備または陰謀した者は３年以下の禁錮または５００万ウォン以下の罰金刑の宣告を受ける場合がある。私戦罪は１９５３年９月に制定されて以来、適用された事例はこれまでのところない。イ・グンさん一行が初めての処罰対象になる可能性がある。

現在イ・グンさんだけがウクライナに残っていて、一行の２人は１６日に帰国した。彼らは２２日まで自宅隔離を行った後、警察に出頭して調査を受ける展望だ。イさんは１５日、インスタグラムを通じて「隊員はウクライナから安全に撤収し、一人だけウクライナに残っている」とし「毎日の戦闘で忙しい。任務遂行完了まで投稿はないだろう」と明らかにした。

◆ウクライナ義勇軍支援者１００人は出国禁止に？

法務部はイ・グンさんに対する入国時通知措置とは別に、イさんのようにウクライナ義勇軍として参戦しようとする韓国人に対して出国禁止する案を検討中であることが分かった。

これに先立ち、在韓ウクライナ大使館は先月２７日、フェイスブックを通じて「外国人もウクライナ軍に入隊する権利があり、外国人で構成された別途の部隊を編成中」としながら「ウクライナを保護して侵略者を阻止してほしい」と明らかにした。現在までのところ、大使館に志願の意思を明らかにした人は１００人を超えるという。

法曹界では「イ・グンさんのようにウクライナ義勇軍として参戦すれば旅券法違反や私戦罪だけでなく、殺人罪や爆発物使用罪などまで適用が及ぶ危険がある」〔イ・ユンジェ明知（ミョンジ）大学法学科教授〕という警告もある。特に戦争に関連して爆発物使用罪を犯した場合、処罰は死刑あるいは無期懲役となり非常に強力だという説明だ。

万一、戦闘を行ってロシア軍に捕まった場合、韓国法とは別にロシアの法律でも処罰を受ける場合がある。ロシア国防省のイーゴリ・コナシェンコフ報道官は現地時間で３日、「ウクライナに来る外国傭兵は国際法上、軍人の地位を持っておらず、逮捕時には少なくとも刑事処罰を受けるだろう」と明らかにした。