ロシアのプーチン大統領が先月27日(現地時間)、核運用部隊に特別警戒態勢に入るように命令したという。プーチン大統領は先月24日、ウクライナ侵攻を前に、核兵器を使用する用意があることを示唆している。ウクライナ戦争が核危機に拡散する可能性があるという懸念とともに、核の脅威が徐々に高まっている。ロシアの核戦力は果たしてどの程度なのだろうか。
軍備管理協会(ArmsControlAssociation)の昨年の資料によると、ロシアの核保有量(inventory)は6257発だ。このうち、備蓄量を除いて実際に戦略的に配備・運用中なのは1458発だ。米国はこれより少ない1389発だ。
ロシアと米国の核兵器在庫量は、戦略核兵器削減条約(START、1991年)、戦略攻撃能力削減条約(SORT、2002年)、新戦略兵器削減条約(新START、2010年)の一連の軍備統制条約により減少し続けている。こうした伝統的なアプローチとは異なり、ドナルド・トランプ前米大統領が2019年8月に中距離核戦力(INF)全廃条約(1987年)を終了したが、米国のバイデン大統領とロシアは昨年2月、新戦略兵器削減条約を5年間延長することで合意した。この条約は配備核弾頭数を1550発に削減し、配備運搬プラットフォーム(ICBM、SLBM、戦略爆撃機)を計700基に制限している。ただし、発射台(launcher)は配備しているかどうかに関係なく800基に制限している。
◆3大核戦力はICBM、SLBM、戦略爆撃機
代表的な核兵器運搬プラットフォームは、地上発射の大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射の弾道ミサイル(SLBM)、戦略爆撃機だ。特にICBM、SLBM、戦略爆撃機で構成された核戦力構造を3大核戦力(nucleartriad)という。地上・海上・空中で核攻撃できる能力は、一国の高い生存性と強化された報復打撃能力を意味する。
しかし、米国とロシアだけが完全かつ信頼できる3大核戦力を構築している。米国とロシアは新STARTによって実戦配備された核兵器運搬プラットホームを計700基以内に制限している。
◆ロシアの3大核戦力は530基の運搬プラットフォームで構成
ロシアは、530基以上の核兵器運搬プラットフォームを実戦配備している。具体的には地上発射ICBM310基、10隻の戦略核潜水艦(SSBN)に搭載したSLBM160基、そして核爆弾と核巡航ミサイルを搭載した60~70基の戦略中型爆撃機で構成されている。310基のICBM戦力は最大1189発の核弾頭を搭載できる。これらのミサイルの半数以上が、多弾頭の複数個別誘導再突入体(MIRV)を搭載できる。
ロシアは今年戦力化が予定されているサルマト(RS28)を含め、7種類のICBMを配備・運用している。現代化が終われば、ICBM戦力は主にトーポリM(SS-27Mod1)とヤルス(SS-27Mod2)の2種類のミサイルに依存する見通しだ。
このうち、1985年から配備された旧型RT-2PMトーポリ(SS-25)が退役の段階にある。R-36M2ヴォイヴォダ(R-36M2)も新型サルマトに代替される予定だ。サルマトは10発以上の弾頭を装着できる超重量級ICBMで、2019年から運営中の極超音速滑空体(HGV)アバンガルドを搭載する見通しだ。
ロシア海軍は3種類(デルタ、タイフーン、ボレイ級)のSSBN10隻を運営中だ。ロシアが2010年に新STARTによって一部ミサイルの弾頭数を減らす可能性があるとみなせば、潜水艦艦隊は624基のSLBM弾頭の運用が可能だ。
ロシア空軍戦略爆撃機部隊の主力は、Tu-160(ブラックジャック)とTu-95MS(ベアH)だ。60~70機の戦略爆撃機を保有しており、このうち50機は新STARTによるものとみられる。このうち55機はTu-95MSで、残りは爆撃機Tu-160だ。
Tu95MSは、最大16基のAS-15(Kh-55)核搭載空対地巡航ミサイルを搭載することができる。Tu-160は最大12基の核兵器を運搬することができる。
ロシアは、米国の次に多くの核戦力を運用している。ともすると、実際の状況につながりかねない核の脅威は中断されなければならない。決して共倒れの愚を犯してはならない。
権容守(クォン・ヨンス)/元国防大学教授
軍備管理協会(ArmsControlAssociation)の昨年の資料によると、ロシアの核保有量(inventory)は6257発だ。このうち、備蓄量を除いて実際に戦略的に配備・運用中なのは1458発だ。米国はこれより少ない1389発だ。
ロシアと米国の核兵器在庫量は、戦略核兵器削減条約(START、1991年)、戦略攻撃能力削減条約(SORT、2002年)、新戦略兵器削減条約(新START、2010年)の一連の軍備統制条約により減少し続けている。こうした伝統的なアプローチとは異なり、ドナルド・トランプ前米大統領が2019年8月に中距離核戦力(INF)全廃条約(1987年)を終了したが、米国のバイデン大統領とロシアは昨年2月、新戦略兵器削減条約を5年間延長することで合意した。この条約は配備核弾頭数を1550発に削減し、配備運搬プラットフォーム(ICBM、SLBM、戦略爆撃機)を計700基に制限している。ただし、発射台(launcher)は配備しているかどうかに関係なく800基に制限している。
◆3大核戦力はICBM、SLBM、戦略爆撃機
代表的な核兵器運搬プラットフォームは、地上発射の大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射の弾道ミサイル(SLBM)、戦略爆撃機だ。特にICBM、SLBM、戦略爆撃機で構成された核戦力構造を3大核戦力(nucleartriad)という。地上・海上・空中で核攻撃できる能力は、一国の高い生存性と強化された報復打撃能力を意味する。
しかし、米国とロシアだけが完全かつ信頼できる3大核戦力を構築している。米国とロシアは新STARTによって実戦配備された核兵器運搬プラットホームを計700基以内に制限している。
◆ロシアの3大核戦力は530基の運搬プラットフォームで構成
ロシアは、530基以上の核兵器運搬プラットフォームを実戦配備している。具体的には地上発射ICBM310基、10隻の戦略核潜水艦(SSBN)に搭載したSLBM160基、そして核爆弾と核巡航ミサイルを搭載した60~70基の戦略中型爆撃機で構成されている。310基のICBM戦力は最大1189発の核弾頭を搭載できる。これらのミサイルの半数以上が、多弾頭の複数個別誘導再突入体(MIRV)を搭載できる。
ロシアは今年戦力化が予定されているサルマト(RS28)を含め、7種類のICBMを配備・運用している。現代化が終われば、ICBM戦力は主にトーポリM(SS-27Mod1)とヤルス(SS-27Mod2)の2種類のミサイルに依存する見通しだ。
このうち、1985年から配備された旧型RT-2PMトーポリ(SS-25)が退役の段階にある。R-36M2ヴォイヴォダ(R-36M2)も新型サルマトに代替される予定だ。サルマトは10発以上の弾頭を装着できる超重量級ICBMで、2019年から運営中の極超音速滑空体(HGV)アバンガルドを搭載する見通しだ。
ロシア海軍は3種類(デルタ、タイフーン、ボレイ級)のSSBN10隻を運営中だ。ロシアが2010年に新STARTによって一部ミサイルの弾頭数を減らす可能性があるとみなせば、潜水艦艦隊は624基のSLBM弾頭の運用が可能だ。
ロシア空軍戦略爆撃機部隊の主力は、Tu-160(ブラックジャック)とTu-95MS(ベアH)だ。60~70機の戦略爆撃機を保有しており、このうち50機は新STARTによるものとみられる。このうち55機はTu-95MSで、残りは爆撃機Tu-160だ。
Tu95MSは、最大16基のAS-15(Kh-55)核搭載空対地巡航ミサイルを搭載することができる。Tu-160は最大12基の核兵器を運搬することができる。
ロシアは、米国の次に多くの核戦力を運用している。ともすると、実際の状況につながりかねない核の脅威は中断されなければならない。決して共倒れの愚を犯してはならない。
権容守(クォン・ヨンス)/元国防大学教授
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